飲食店が売上や利益向上のために工夫していることを分析。 原価やメニューで差をつける

2019年2月7日

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10年で生き残るのは1割といわれる飲食業界。人気店、老舗店と呼ばれる飲食店がある一方で、「売上を伸ばす」「利益を出す」ことが目下の悩みとなっている飲食店経営者も少なくない。そこで今回はこれまで飲食店.COMが調査したアンケート結果をもとに、売上や利益向上について分析。原価率やランチ営業などさまざまな角度から、売上を伸ばし利益を出す工夫を紹介する。

原価率を下げ、利益に繋げる


利益を出すために、まず注目したいのが「原価率」だ。原価率を下げることができれば、そのぶん利益に繋げることができる。では、飲食店の原価率はどのラインが理想なのだろうか? 売上に対する原価率を調査したアンケートによれば、最も多かったのが「30~34%(40.8%)」という回答。次いで、「35~39%(26.6%)」「25~29%(17.8%)」という回答が続いた。


アンケートの平均原価率は32.1%と、30%前後が飲食店の原価率の目安となっているようだ。業態により原価率に差があるため一概にはいえないが、平均よりも大幅に原価率が高い店は、今一度原価率の見直しを図ってみる必要があるといえるだろう。

アンケートでは、自由回答にて原価率を下げるための工夫についても尋ねた。いくつか紹介するので、参考にしてほしい。

「普段仕入れている業者に交渉したり、新しい取引先を探したりしている」(愛知県/鉄板焼き・お好み焼き/原価率33%)

「原価の高い目玉商品と原価を抑えるメニューをバランスよく織り交ぜて、原価低減に繋げている」(大阪府/和食/原価率34%)

「ロスをなくす。販売数のデータ分析をしっかりして、売れ筋、死に筋を明確にする」(東京都/カフェ/原価率27%)

複数の業者を導入し、仕入れコスト削減を図るという声のほか、販売戦略を立てメニューを工夫するという声も聞かれた。全てのメニューの原価率を抑えるのは難しいため、原価率の高いメニューと低いメニューを上手く取り入れ、バランスを取ることが大切だ。また在庫管理を徹底し、仕入れた食材のロスを減らすのも原価率を下げる一案といえそうだ。

メニュー戦略を工夫し、売上アップに繋げる


売上アップを目指し、注文を増やすための工夫を取り入れる店舗は多い。なかでも定番かつ簡単にできるのが、声掛けだろう。メニューを渡す時などに声掛けすることで、おすすめメニューを印象付けることができる。

メニューブックに料理の写真を掲載するのも、そんな工夫の一つだ。実際、約6割の飲食店がメニューに写真を掲載。写真を載せることで、おすすめメニューを視覚的にアピールできる。店内の壁やボードなどにメニューを掲載する店舗も多いようだ。


「メニューをご覧になっているお客様に、積極的に『コースが人気です』とおすすめしています」(居酒屋・ダイニングバー/原価率30%)

「メニュー表でのアピール強化。写真の大きさや文面が特徴となる」(イタリア料理/原価率33%)

人気メニューの構築や販売戦略を工夫することも、売上アップにおいて重要。気になるコメントともに、紹介していく。

「原価率関係なくSNS受けする目玉メニューを月替わりで用意している」(その他/原価率30%)

「おつまみの5種盛り合わせ。30種類くらいの前菜から3つを選んでもらい2つはお店のおまかせに。残りの2つをおまかせにすることによって、提供時間や原価率、賞味期限が近いものを使う事ができる」(居酒屋・ダイニングバー/原価率29%)

SNS映えを狙ったインパクトのあるメニューや、独自メニューが人気となっているケースは多い。とくに前者は、口コミでの宣伝効果による売上アップが期待できる。またお得感のある盛り合わせ系メニューが人気のお店は多いが、内容をお店のおまかせにするのもおすすめ。原価率や消費期限など店側の融通が利きやすい、人気メニューを作ることができる。

利益に繋げるランチ営業


売上アップのためランチ営業をしている飲食店も多いだろう。実際、ランチ営業の目的で最も多いのは「利益を上げるため(72.7%)」という回答。次いで、「ディナー営業の集客のため(50.0%)」「食材を有効活用するため(42.2%)」という回答が続いた。


しかし、ランチ営業が月商に占める割合を尋ねたところ「11~21%(21.1%)」「21~30%(21.1%)」がトップ。客単価の高いディナーに比べると売上を確保しにくい様子が伺える。


では、ランチ営業で利益を出すためにはどうすれば良いのだろうか。以下に、ランチ営業実施店の工夫を紹介していくので、参考にしてほしい。

「セルフサービスを増やしたり、接客が減るようなメニューを作ったりして人件費を減らせるよう工夫している」(埼玉県/居酒屋・ダイニングバー)

「回転数を上げ、省力出来るようにメニューを一本化」(東京都/フランス料理)

「いかにお客様を飽きさせない『日替わりメニュー』を作れるのかが大切」(神奈川県/居酒屋・ダイニングバー)

「セットドリンクを値引きして販売するなどして、少しでも客単価を上げる」(神奈川県/専門料理)

セルフサービスを取り入れ省力化を図るほか、オペレーションの効率化やメニューの絞り込みで回転率アップを目指す声も聞かれた。リピーターを確保のための日替わりメニューや原価率の低いドリンクのセットメニューを導入するなど、ランチに強いメニューの構築を図るのもランチ成功の鍵と言えるだろう。

またアンケートでは、ランチが利益に繋がらないという声も多く聞かれた。経営を圧迫する状況が続くようであれば、ランチ営業を「辞める」ことも視野に入れるべきだろう。

各店さまざまな工夫を凝らし、売上や利益アップを目指していることがわかる。売上を伸ばす、利益を出すことは、一朝一夕にできることではない。まずは、原価率やメニュー戦略、ランチの見直しなど、今回ご紹介した内容を参考に、売上や利益の向上を図ってみてはどうだろうか。

<調査結果引用元>
「飲食店の原価率」に関するアンケート調査
「飲食店のランチ営業の状況」に関するアンケート調査
「飲食店のメニュー戦略」に関するアンケート調査

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