飲食店の約6割が「マスク会食」等を呼びかけ。コロナ禍のイートイン状況を調査

2021年5月21日

画像素材:PIXTA
新型コロナウイルスの感染が拡大するなか、飲食時の飛沫対策として「マスク会食」や「黙食」の徹底を推奨・要請している自治体もある。こうしたコロナ禍の新しい飲食ルールについて、お客様に対応を呼びかけている飲食店も多いだろう。

そこで今回の「飲食店リサーチ」では、飲食店経営者や運営者に対し、コロナ禍で新たに推奨・要請されている飲食ルールやイートインの現状についてアンケートを実施。飲食店のリアルな声をお届けする。

■調査概要
調査対象:飲食店.COM会員(飲食店経営者・運営者)
回答数:445名
調査期間:2021年4月16日
調査方法:インターネット調査
アンケート結果:コロナ禍で推奨・要請される飲食ルールとイートインの現状に関するアンケート

■回答者について
回答者のうち68.5%が1店舗のみを運営。また、回答者のうち東京にある飲食店の割合は55.1%(首都圏の飲食店の割合は69.9%)となっており、こうした背景が結果に影響していると推測される

6割超のお客様が新ルールを実施。ただし飲食が進むとおざなりになるケースも


まず、2021年3月の売上について、コロナ禍以前(2019年)の3月と比べてもらったところ、最多となったのは「2019年3月より70%以上減った(17.5%)」という回答。次いで、「30%減った(13.7%)」、「60%減った(13%)」、「50%減った(12.8%)」が続く。飲食店の約4割が50%以上減ったと回答しており、依然として厳しい状況が続いている。
続いて、マスク会食や黙食といったコロナ禍の新しい飲食ルールについて、お客様への推奨状況とお客様の実践状況を尋ねた。最も多かったのは、「店からも呼びかけており、ある程度のお客様が実践している(27.4%)」という回答。また、「店からは呼びかけているが、実践するお客様はあまりいない(21.8%)」、「店からは呼びかけていないが、ある程度のお客様が実践している(20%)」という飲食店も2割ほどいる。結果を見ると、飲食店の60.9%がお客様に対して呼びかけを実施、お客様の66.1%が実践していることが判明した。
「飲食ルールを推奨している」と回答した店舗に、その方法を尋ねたところ、66.8%が「店頭や店内の壁にポスターを掲示する」と回答。これに、「お客様の話し声の大きさ等、状況に応じてお伝えする(35.8%)」、「入店時に口頭でお伝えする(34.3%)」、「テーブルにPOPを設置する(25.8%)」等が続く結果となった。
加えて、飲食ルール推奨時のお客様の反応について自由回答形式で尋ねた。すると、協力的なお客様がいる一方で、いざ飲食が始まると「雑になってしまう」というケースも。また、なかには、嫌な顔をされたり、SNSで最低評価をつけられたりといったように、トラブルに発展した飲食店もあるようだ。

■方針を理解し、協力してくれる

・トラブルになったことは一度もなく、ご協力くださいます(東京都/カフェ/1店舗)
・当店にお越しのお客様については、ある程度お店の方針を理解していただいたうえでご来店いただいているので、ほとんどの方に快くご協力いただけていると思います(埼玉県/バー/1店舗)

■協力的な一方で、飲食が始まると適当に

・ほとんどのお客様は快く応じてくれるが、やはり酒が進むとおざなりになってくる(東京都/バー/1店舗)
・おおむね快くご承諾いただけるが、実際に飲食が始まると皆さんマスクを外して会話をしています(東京都/その他/11~30店舗)

■嫌な顔をされた

・大体のお客様は好意的に対応していただいているものの、トラブルまではいきませんが、嫌な顔をされる場合はあります(東京都/そば・うどん/51~100店舗)
・トラブルにはならないが、こちらから指摘した場合は二度と来ない(神奈川県/ラーメン/2店舗)

■トラブルに発展した

・トラブルになったことがある(京都府/その他/3~5店舗)
・お客さん同士で、あの人たちはマスクを外して喋り過ぎだ、とトラブルになった(神奈川県/アジア料理/3~5店舗)

さらに、こうしたコロナ禍の新しい飲食ルールについて、政府や自治体に望むことを自由回答形式で答えてもらった。様々な意見を得られたので、一部回答を紹介する。

■実行可能・科学的根拠に基づいた対策

・実験等によりデータとして根拠や効果が確認された対策を提案してほしい(兵庫県/専門料/1店舗)
・現実離れした提案より、現実的・実行可能な提案をお願いしたい(東京都/カフェ/1店舗)

■消耗品や備品の支給・費用負担

・飲食店へのマスクやシールドの無料配布を要請したい(愛知県/居酒屋・ダイニングバー/3~5店舗)
・アクリル板やCO2センサー等の必須アイテム設置の金額を負担して欲しい(大阪府/洋食/1店舗)

■お客様に対するルールの整備

・飲食店の規制だけでなく、消費者に対しても罰則付きの規制を明示してほしい。科学的な根拠をもった施策を提示してほしい(埼玉県/カフェ/1店舗)
・ルールを守らないお客様に対しては、法や条例等で罰則を設けてほしい(東京都/バー/3~5店舗)

■お客様へ新しいルールの周知徹底

・飲食店側からはなかなか注意しづらいので、自治体や政府の方からもっとルールの周知を徹底して欲しい(大阪府/中華/1店舗)
・お客様側に意識をもたせるよう働きかけてほしい(大阪府/カフェ/1店舗)

■感染拡大防止徹底のために、休業要請

・感染拡大の抑止を徹底するのであれば、時短や新しい飲食ルールの提案等ではなく、それなりの補償とセットで「休業要請」にしてほしい(東京都/バー/1店舗)
・これだけ感染者が増えているので、飲食店含め感染が拡大すると思われる業種全てに、休業要請をしてほしい。真綿で、首を締め付けられているようだ…。(東京都/その他/1店舗)

売上の9割以上をイートインが占める飲食店は全体の64.9%。今後の需要は?


今回のアンケートでは、イートインの実情についても調査。はじめに、全体売上において、イートインが占めるおおよその割合を尋ねたところ、33%が「90%」と回答。次に、「100%(31.9%)」という回答が続き、飲食店の64.9%において、イートインが売上の9割以上を占めているという結果になった。
また、イートイン以外の販路として活用しているものについて聞いたところ、最多となったのが、「テイクアウト(69.0%)」という回答。「デリバリー(業者委託)」という回答も31.2%あった。なお、「イートイン以外のサービスは行っていない」という店舗は16.6%だった。コロナ禍で外食需要が落ち込むなか、多くの飲食店でイートイン以外の販路を活用しているようだ。 次に、イートイン以外の販路について、新規、又は継続して活用していく意向があるのか聞いたところ、57.1%が「活用したい」と回答。テイクアウトやデリバリーといったイートイン以外の販路は、飲食店の新たな売上確保手段として、今後も重視されていきそうだ。 さらに、外食業における、イートインの価値の変化や今後注力していきたいことを自由回答形式で回答してもらった。すると、「コロナ以前に戻る」、「需要が減る」、「付加価値が求められるようになる」等、飲食店によって意見が分かれる結果となった。以下に、一部を抜粋して紹介する

■コロナ禍以前の価値に戻る

・我慢をし続けているので、コロナが収束すれば、また元に戻りそう(神奈川県/居酒屋・ダイニングバー/1店舗)
・現在は特殊な環境下だと思いますが、コロナ後にある程度不安なく外食できる環境になれば、日常とは異なる空間での飲食需要というのは必ず戻ってくると思います(埼玉県/バー/1店舗)

■イートインの需要が減る

・一層イートインは減ると思われるので、デリバリーに力を入れていく(兵庫県/テイクアウト/3~5店舗)
・需要が無くなることはないが、オフィス街はコロナ禍以前の7割程度の回復に留まるかもしれない。技術導入による効率化と、イートイン以外の販路拡大に注力する必要がある(東京都/カフェ/2店舗)

■付加価値が重要になる

・イートインでないと味わえない魅力がより必要になる。ただ料理が美味しいというだけではイートインの価値を見出せなくなるので、接客や雰囲気、料理の演出等の工夫が今まで以上に求められる(兵庫県/居酒屋・ダイニングバー/3~5店舗)
・需要が無くなることはないが、オフィス街はコロナ禍以前の7割程度の回復に留まるかもしれない。技術導入による効率化と、イートイン以外の販路拡大に注力する必要がある(東京都/カフェ/2店舗)
・イートインがなくなることはないが、中食需要が高まり、飲食店のライバルは近隣の店舗さんではなく、コンビニやスーパーになると思う。お惣菜やレトルト食品にはない価値のある料理やサービス力が必要になるでしょう(兵庫県/専門料理/1店舗)

■特別な日に利用する傾向が高まる

・日常使いは減り、特別な時のみの利用になっていくと思う(東京都/居酒屋・ダイニングバー/1店舗)
・普段使いが減り、記念日やイベントの利用が増える。専門店や注目のお店が残っていく(東京都/カフェ/1店舗)

今後のイートインの価値については、見解が分かれるところだが、いずれにしても大切なのは、外食市場の動向を見極め、お客様に選ばれる店になるということだ。日々移り変わる情報をいち早くキャッチし、店舗運営に役立ててほしい。

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