原材料費の高騰、9割以上の飲食店に影響。8割の店舗が10%未満の値上げを実施・検討

6月2日

画像素材:PIXTA
コロナ禍やロシアによるウクライナ侵攻、世界の自然災害といったさまざまな理由により、原材料の価格高騰が続いている。今年4月には経済産業大臣が関係事業者に対し、原材料価格、エネルギーコストなどの上昇にかかる適切な価格転嫁の配慮について要請したが、この傾向は簡単に解決できるものではない。

そこで今回は、原材料の価格高騰による飲食店の実情を調査するため、アンケートを実施。価格高騰の中で行っている工夫や、具体的な懸念点など飲食店の声をお伝えする。

<本調査について>

■調査概要

調査対象:飲食店.COM会員(飲食店経営者・運営者)
回答数:502名
調査期間:2022年4月25日~2022年4月26日
調査方法:インターネット調査

■回答者について

本調査にご協力いただいた回答者のうち71.3%が1店舗のみを運営している。また、回答者のうち東京都内の飲食店の割合は53.8%(首都圏の飲食店の割合は70.4%)となっており、こうした背景が結果に影響していると推測される。

<調査結果について>

90%以上の飲食店が、原材料費の高騰を実感。仕入総額も増加傾向


まず原材料費の高騰による影響を尋ねたところ、最多は「影響している」で、59%。次いで「やや影響している」が31.1%と、90%以上の飲食店が、原材料費の高騰を実感していることがわかった。
次に「影響している」「やや影響している」と回答した店舗に、価格が高騰している品目を尋ねた。最も多かった回答は「食用油」で68.4%、次いで「小麦粉、小麦加工品」が63.3%という結果に。さらに「牛肉・牛肉加工品」、「アルコール類」、「乳製品」、「鶏肉・鶏肉加工品」、「野菜」がすべて30%以上で続いた。
また昨年3月と比べた今年3月の仕入総額を尋ねると、約60%の店舗が「10%~30%増えた」と回答。さらに10%以上の店舗が「40%以上増えた」と回答していることからも、価格高騰が仕入状況に大きく関係していると考えられる。
しかし価格高騰による商品やサービスの価格変更についての質問では、「値上げした」という回答は26.5%にとどまった。最も多かったのは「値上げを検討中(46.6%)」となり、73%以上の店舗が現状では値上げをしていないことがわかった。 続いて、「値上げをした」、「値上げを検討中」と回答した方に、どれくらい値上げしたか(または値上げする予定か)を質問すると、最多は「5%から10%未満」との回答で、57.5%。集計すると、76.6%の店が「10%未満」の値上げを行う意向であることがわかった。

値上げ実施にあたり「お客様に状況を説明し、理解してもらう」店舗も


では、経営状況はどうか。今年の1月から4月までの売上と利益について、昨年同期間と比較してもらったところ、僅差で最多となったのは「減収減益(22.1%)」だった。次いで、「売上も利益も横ばい(17.7%)」、「増収増益(17.5%)」と続く。仕入総額が増えるなか、集計すると23.7%が「増益」だったこともわかった。 次に利益を出すために実施している対策について聞いたところ、「メニュー価格の値上げ」が最も多く、43.6%。次いで「人件費・光熱費などの削減」が42.8%。さらに「集客に力を入れて売上向上を目指す(39.8%)」、「食材をより原価の安いものに変える(27.3%)」と続いた。 また、それらの対策に踏み切るうえで工夫したことを尋ねたところ、以下のようなコメントが寄せられた。

メニュー価格の値上げを行った店舗

  • 今より高価な食材を使用し、皿数を増やす。今より手間をかけた料理の提供(東京都/イタリア料理/1店舗)
  • お客様に「仕入れ価格の値上がりが半端ないから、当店も仕方なく値上げする」ということを伝え、納得してもらった(東京都/居酒屋・ダイニングバー/1店舗)
  • ひとつのメニューだけを値上げするのではなく、価格を下げるものも入れ、メニュー全体で約10%上げる工夫をした(愛知県/居酒屋・ダイニングバー/6~10店舗)

コスト削減を行った店舗

  • 機械化など人件費のかからないものを検討している(東京都/中華/3~5店舗)
  • メニュー数だけでなく、工数の削減を実施。従業員の給与カットはせず、残業がなくなるようにコントロールした(東京都/その他/11~30店舗)
  • スタッフの数を減らし、冷凍できるものは冷凍して、食材ロスを減らした(福岡県/洋食/1店舗)

集客増、売上向上を目指した店舗

  • 値下げした(東京都/お弁当・惣菜・デリ/2店舗)
  • 営業時間の延長、SNS等の活用を活発化(群馬県/バー/1店舗)
  • 定期的に新作を出す(福岡県/その他/1店舗)

食材をより原価の安いものに変えた店舗

  • なるべく気づかれないよう、料理のポーションを少なくしたり、飾り付けを数点減らしたりした。食材は、小まめに安い店舗を探して仕入れる(東京都/居酒屋・ダイニングバー/3~5店舗)
  • 仕入先の比較検討と見直しを行いました(大阪府/カフェ/1店舗)
  • メニューの見直し、付け出しの工夫(大阪府/居酒屋・ダイニングバー/2店舗)

イートイン以外の販路を増やした店舗

  • バーチャルレストランの専門店を新規開店した(大阪府/居酒屋・ダイニングバー/2店舗)
  • ECサイトの開設(東京都/居酒屋・ダイニングバー/1店舗)
  • テイクアウトやデリバリーの導入(東京都/ラーメン/3~5店舗)
最後に、原材料費の高騰について今後最も懸念することを聞いてみると、以下のような意見が寄せられた。

先行きの不透明さ

  • 色々な食材が一時的に高騰するのは仕方がないが、このままの価格でずっと下がらないこと(大阪府/居酒屋・ダイニングバー/2店舗)
  • 上げ止まりが見えないのが不安・コンセプトから変更しなければならない(東京都/フランス料理/1店舗)
  • 戦争も含めて、どこまで、いつまで高騰が続くか分からないこと。物価が上がる一方、給与が据え置きかダウンになれば、購買意欲はますます下がる(東京都/居酒屋・ダイニングバー/6~10店舗)

外食へのイメージダウンや客離れ

  • エンドユーザーの消費意欲の減衰(東京都/カフェ/2店舗)
  • 更なる価格高騰により、外食産業が衰退するのではないか(埼玉県/フランス料理/1店舗)
  • 客離れ。特に常連様の離脱(東京都/洋食/1店舗)

さまざまな要因が複雑に絡み合って起こる原材料費の高騰。先の見えない不安はあるが、通常営業が再開した今、地道に売上を作る努力で利益へとつなげていきたい。

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