「旨味」と「美味しさ」は違う？ 旨味を感じる成分や食材、引き出すポイントを解説

だしやスープなどに感じる「旨味」は、料理を美味しく食べるために欠かせない要素の一つです。しかしながら、旨味が実際どんなものなのかわからない方も多いのではないでしょうか。今回は旨味とは何か、旨味を感じる成分や食材、さらに旨味を引き出すポイントをご紹介します。

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旨味は、美味しさを感じるための感じるための要素の一つです。しかし「旨味がある＝美味しい」ではありません。何かを食べて美味しいと感じるかどうかは、食べる人の体調や気分、料理のにおいや見た目、食べる場所や同席している人など、実にさまざまな要因が関係しています。旨味が強いものを食べても、体調が悪かったり清潔感のない場所で食べたりすると「美味しい」とは感じにくいため、同様に定義することは難しいでしょう。

ではそもそも旨味とは何かというと、味の分類の一つになります。もともと味とは、甘味・酸味・塩味・苦味の4つと考えられていました。しかし池田菊苗博士や小玉新太郎氏、国中明博士らの研究により、旨味が第5の味として認められました。1985年には第1回うま味国際シンポジウムが開かれ、今ではUMAMIという言葉が海外でも使われています。

旨味成分を分析すると、グルタミン酸、イノシン酸、グアニル酸の3種類に分けられます。 人体の2割はたんぱく質ですが、これを作る20種類のアミノ酸のうちの一つが、グルタミン酸です。グルタミン酸濃度が高い食材は、昆布、トマト、パルメザンチーズ、生ハム、醤油、アンチョビ、味噌など。さらに、母乳にも多く含まれていることがわかっています。 グルタミン酸と同じく、グアニル酸も核酸の抗生物質の一つ。グアニル酸は他の旨味成分よりも、含まれる食材が限定されています。豊富に含まれているのは干しシイタケで、他には海苔やドライトマト、乾燥ポルチーニ茸などにも若干含まれています。 さらに人間の体は毎日新しい細胞が生まれていますが、この生まれ変わりに必要なのが核酸であり、核酸を作る成分の一つがイノシン酸です。イノシン酸が豊富な食材として、煮干し、鰹節、まぐろ、鶏肉、豚肉、牛肉などがあります。

旨味は掛け合わせることによって相乗効果が生まれます。「グルタミン酸×イノシン酸」またはと「グルタミン酸×グアニル酸」を組み合わせると、単体で食べるより7～10倍も旨味を感じるといわれています。

食材でいうと、例えば「鰹節×昆布」などが挙げられるでしょう。合わせ出汁は昆布と鰹節のグルタミン酸とイノシン酸が掛け合わせられる王道の組み合わせです。また、「トマト×ベーコン」も相乗効果が発生する組み合わせ。ピザやパスタなどでよく見かける食材です。

これらの例はいずれも、日本や海外では古来から食べられている組み合わせです。昔の人は旨味成分そのものを知らずとも、経験からこうした組み合わせが美味しいと学び、定番化していったといえます。

他には例えば「鶏肉×トマト」。チキンソテーにトマトソースをかけたり、鶏もも肉をトマトで煮込んだりといった調理法が考えられるでしょう。「味噌×鯖」で鯖の味噌煮、「豚肉×干しシイタケ」で豚肉のうま煮、「醤油×干しシイタケ」の筑前煮なども旨味を引き出す組み合わせです。掛け合わせる食材さえわかれば、旨味を感じるレシピを考えやすくなります。

「旨味＝美味しさ」ではないものの、人が「この料理は美味しい」と感じる大切な要素の一つであることに違いはありません。どんな食材に旨味が詰まっているのかを知り、どんな掛け合わせがベストなのか研究してみるのも良いのではないでしょうか。

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