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飲食店の経営を安定させるには? 経営が難しい理由と黒字経営化のポイント

2024年1月24日

飲食店経営は難しいとされるポイントと、経営において見るべき数字や黒字化の方法についてまとめました。経営について悩んでいる飲食店経営者の皆さんは必読です!

もくじ
  1. ◯飲食店の経営が難しい6つの理由
  2. ◯飲食店が赤字になる原因とは?
  3. ◯飲食店の経営を安定させるために見るべき数字3つ
  4. ◯飲食店の売上をアップさせる3つの方法
  5. ◯飲食店の利益アップさせるコストカット、3つのポイント

飲食店の経営が難しい6つの理由

日々、どこかで新たな飲食店が生まれています。その一方で、廃業する飲食店も多いものです。中小企業庁による「2022年版小規模企業白書」によると、全体の開業率5.1%、廃業率3.3%に対し、「宿泊業・飲食サービス業」の開業率は17.0%、廃業率は5.6%と、すべての業種の中で最も開業率、廃業率が高い業種であることが読み取れます。これはコロナ禍以前である2019年は開業率は9%台、廃業率は6%程度となっており、開業率はアフターコロナ時代で上昇傾向にあると言えます。

廃業率が高い原因にはいくつかの理由が考えられますが、一言でいえば「経営を安定させることが難しいこと」です。それを噛み砕いて考えると、下記のような理由が考えられます。

■飲食店経営が難しい理由①利益率が低く、売上に上限がある

飲食店の利益率は10%程度と言われており、他業種と比べても低い水準です。また、毎月の固定費がかかるため、内部留保(貯めておく利益)を増やしづらく、景気や流行といった社会の変化に対応しづらいのが現状です。

また、店舗の席数やかかる時間でおおよその上限が決まるため、売上には上限があります。そのため、先月の分を今月で取り返す、といったことが難しく、一度業績不振になると取り返すことが困難になります。

■飲食店経営が難しい理由②競合が多い

新しい飲食店は、日々生まれています。せっかくライバルのいない良い立地を見つけたとしても、すぐにライバル店が開業するなんてことも。例え料理やサービスのジャンルが違っていたとしても、競合他社と日々しのぎを削らなくてはなりません。値付けやサービス面で優位に立つには日々のたゆまぬ努力が必要です。

■飲食店経営が難しい理由③初期費用や、改装の費用がかさむ

物件のテナント契約費、店内機器、厨房機器など、初期投資費用が大きくかかる飲食店開業。それらの費用を回収するため利益が出づらく、黒字化までには相当の時間がかかります。また、新しい機材の導入や店舗の改装などで開業後も大きな投資が発生し、常に借金を返済している状態に陥ることも。

■飲食店経営が難しい理由④集客が難しい

多くの飲食店が存在する中で、自店を選んでもらうことは簡単ではありません。立地、価格、サービス、味……顧客はすべての面で競合店舗との比較をし、飲食店を選びます。そこで優位に立つには内容で勝つことだけではなく、その内容を「認知」してもらうことが大切です。広告やネットを使った集客施策は、自店に合うものを見つけるまでが難しく、費用対効果を常に検討しながら実施する必要があります。

■飲食店経営が難しい理由⑤人手不足に陥りやすい

飲食店における固定費の代表的なものが人件費です。飲食業界は一般的に給料が低く、長時間労働に陥りやすいイメージがあり、慢性的な人手不足が業界全体の課題にもなっています。人を入れるために給与水準を上げれば利益率が下がり、さらに資金繰りは難しくなります。

■飲食店経営が難しい理由⑥在庫管理が困難

飲食店で提供する生鮮食品は在庫管理が難しく、客足が伸びないと廃棄せざるを得ない状況になることも。だからといって少なめの在庫では、せっかく来た客に提供する料理が足りなくなる可能性があります。客足を予測しながらの在庫管理は、飲食店経営において難しい事柄の一つです。
Photo by 画像素材:PIXTA

飲食店が赤字になる原因とは?

アフターコロナの時代となり、数々の制限が撤廃された後でも「思うように客足が戻らない」「物価上昇で仕入れコストがかさむ」などの理由で、依然として赤字経営を強いられている店舗も少なくありません。本項では飲食店が赤字になる原因とその予防策、黒字化のポイントについて解説します。

■内的要因と外的要因

基本的に飲食店は固定費が多いため、売上(収入)がその固定費を上回らなければ赤字になります。飲食店の売上が減少する理由は以下の「内的要因」と「外的要因」に分けて考えられます。

<内的要因>
・客単価が低く利益率が悪い
・来店客数が少なく、売上そのものが足りていない
・顧客満足度が低く、売上につながっていない

客単価が低ければ、来店客数が多くとも利益にはなりません。また、そもそもの来店客数が少ない場合も考えられます。料理やサービスの質が低下し、顧客満足度が下がることで売上が減少する場合もあります。

<外的要因>
・近くに競合店がある
・大型商業施設などが建設され、人がそちらに流れてしまう

店舗の周辺施設は売上に大きく影響する要素です。近隣に競合店があったり、新しく大型商業施設などが建設されたりした場合はそちらに人が流れてしまい、売上が減少することもあります。
Photo by 画像素材:PIXTA

飲食店の経営を安定させるために見るべき数字3つ

経営を安定させるためには、数字を見て「今取るべき対策」を検討・実行していくことが必要不可欠です。ここでは、飲食店経営で見るべき3つの数字について解説していきます。

■飲食店経営で見るべき数字①損益分岐点

損益分岐点とは、「損失」と「利益」の分かれ目、つまりお店の経営が赤字か黒字かのどちらかになる境目のことです。損益分岐点を把握することができれば、赤字が続いていてもどれくらいの売上で黒字経営になるのかがわかります。

損益分岐点の計算に必要なのは「固定費」と「変動費」の数値です。固定費とは、売上が変わっても変わらないコストで、月額固定金額の賃料などに代表されます。飲食店であれば概ね下記が固定費として扱われます。

・家賃
・通信費
・リース料
・支払利息
・減価償却費

店舗を賃貸ではなく所有している場合は、返済費用ではなく減価償却費用として計上する。ただしローンを返済している場合、支払利息は固定費に当たる。業務用の冷蔵庫や厨房機器などを減価償却している場合は減価償却費として、レンタルしている場合はリース契約料として固定費に分類することになる。

一方の変動費は、売上など状況に応じて変わるコストのこと。代表的なのは原材料費ですが、以下のものも変動費として計算します。

・消耗品費
・販促費
・人件費
・光熱費

人件費や光熱費は状況によって変動することがあるため、変動費として計算していくのが一般的です。

・飲食店の損益分岐点の計算方法とは? 固定費と変動費について把握すると、損益分岐点を計算できます。計算式は下記の通りです。

損益分岐点=固定費÷(1-変動費÷売上高)

例えば、毎月の売上が300万円という飲食店で、固定費が100万円、変動費が210万円かかっている場合の計算式は以下のようになります。

損益分岐点=固定費÷(1-変動費÷売上高)=210万円÷(1-100万円÷300万円)

上記では210万円÷0.67となり、損益分岐点は313.4万円。つまり毎月300万円の売上では損益分岐点には届いておらず、黒字経営するにはあと売上を14万円増やすか、経費を抑える必要があることがわかります。

このように毎月の経費を固定費と変動費に分類すると、損益分岐点を明確にすることができ、黒字経営か赤字経営かということがわかります。利益が出ているかどうか、いくら売上があったら黒字経営なのか、自店舗の数字を使って損益分岐点を確認してみるといいでしょう。

・黒字化をより明確にするための損益分岐点比率とは?

損益分岐点を明確にしたら「損益分岐点比率」も計算できます。損益分岐点比率とは、現在の売上がどのくらい上回っているのかがわかる指標のことで、計算式は下記の通りです。

損益分岐点比率=(損益分岐点÷売上高)×100

損益分岐点比率は低いほど収益性が高いことを示しており、一般企業であれば80〜90%、飲食店であれば90%が目安になる。前述した飲食店の損益分岐点を当てはめてみましょう。

損益分岐点比率=313万円÷300万円×100=104.3%

赤字経営なので、目安である90%を大きく上回っています。そのため早急に経営を改善する必要があると考えられます。

このように利益率の悪い飲食店の傾向としては、下記のことが想定される。

・料金設定に問題がある
・人件費が高い
・家賃が高い、など

この状況で黒字化を目指すのであれば、売上を上げるか、コストを削減するかのどちらかを検討する必要があります。

Photo by 画像素材:PIXTA

■飲食店経営で見るべき数字②売上高

損益分岐点を計算する際はもちろん、飲食店を経営するうえで大切な数字が売上高です。年間の売上、1か月の売上、1日の売上といったように期間ごとに分け把握しておく必要があります。

・客数×客単価で考える
また、売上の変化や、そこから課題や問題点を見つけるためには、売上を分解して考える必要があります。その場合の基本の考え方は「客数×客単価」です。例えば売上が減っているのであれば、客数が減っているのか、客単価が減っているのかによって打つべき手が変わります。客数が減っているのであれば、集客に力を入れる必要があり、一方、客単価が減っているのであれば、来てくれたお客様がより多く注文してくれるようなサービス面・メニュー面における施策を検討する必要があります。

・客数と客単価をさらに分解して考える
さらに、客数を新規客と既存客に分けることができます。どちらを増やしたいかによって打ち手は変わります。また、客単価はさらに数と価格、つまり買い上げ数と1品単価に分解することができる。これらの数字を把握しておくと、より細かい分析ができます。

・時間帯や曜日の売上高を考える
業態や立地によっては、売上を時間帯や曜日で分解することも必要となります。ランチとディナーの時間帯で客単価や客数が大きく異なる店舗も多いため、例えば客数の変化を考えてみても、ランチの時間帯の客数が減っているのか、ディナーの時間帯の客数が減っているのかなどを把握することで、より効果的な打ち手を考えられます。

■飲食店経営で見るべき数字③FLコスト

飲食店経営で特に大切な数字が、「FLコスト」です。Fとは食材原価、Lは人件費のことであり、この2つの合計をFLコストと呼び、変動費の中でも飲食店経営にとって重要な要素です。また売上に対するFLコストの割合をFL比率と呼ばれ、それぞれ下記の計算式で求めることができます。

FLコスト=食材原価+人件費 FL比率=(食材原価+人件費)÷売上高

一般的な飲食店ではFLコストは60%以内におさまると、利益が出ると言われている。逆に65%を超えると赤字の可能性が高くなると言われているので、基準の数字として把握しておくといいでしょう。

・原価率と人件費率
売上高に占める食材原価の割合を原価率、人件費の割合を人件費率という。原価率は飲食業平均で30%程度と言われるが、同じ飲食業でも業態やビジネスモデルによって変わります。原価率を20%程度に抑える分、人件費をかけてサービスを重視する店舗もあれば、原価率を50%程度に設定して料理の品質を重視する店舗もあります。計画通りの原価率になっているか、予定外に原価率が高い、あるいは低くなっていないかを確認しましょう。

人件費に関しては、特にアルバイトの人件費の管理がポイントです。売上計画に対して適正なスタッフ配置ができず人件費率が高すぎる場合、スタッフが多すぎるという判断になる。逆に人件費率が低すぎると、スタッフが少なすぎてお客様に十分なサービスを提供できていない可能性があります。
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飲食店の売上をアップさせる3つの方法

経営の指標となる数値において問題を見つけたら、赤字を防止し黒字化を図る施策を実施しましょう。ここでは売上アップの方法についてそれぞれ解説する。

■飲食店の売上をアップさせる方法①新規顧客の獲得

売上をアップさせるのに有効なのが新規顧客の獲得だ。チラシやSNS、口コミサイトを利用するなど、自店にあった販促方法を探してみよう。

■飲食店の売上をアップさせる方法②リピーターの獲得

新規顧客とともに増やしたいのが、リピーターの獲得。リピーターへの販促費用は新規顧客の5分の1程度と言われており、売上を安定させるためには、お客様の半分がリピーターという状態を目指したい。顧客満足度を高め、着実にリピーターを増やそう。

■飲食店の売上をアップさせる方法③マーケティングに基づくメニューの刷新

競合店があるなら差別化できるメニューに力を入れるほか、顧客アンケートを取り、メニューを人気の数種に絞って原価率を低く抑えるなど、周辺環境の変化や顧客のニーズに柔軟に対応することも売上アップに繋がります。また、販売単価を刷新することで、売上・利益をアップさせることもできます。

飲食店の利益をアップさせるコストカット3つのポイント

売上が変わらないと仮定した場合、利益をアップさせるために行うのは「コストカット」です。経費の中で見直すべきポイントを解説します。

■飲食店の利益をアップさせるコストカット①固定費、変動費

家賃や減価償却費などの固定費は削減が難しいが、削減できれば大きな変化が見込まれます。固定費の削減ができない場合は、食材の原価やアルバイトの人件費などの変動費に無駄がないかを見直そう。安易に削減するだけでは提供するサービスや品質に影響が出るため、慎重に検討したいものです。

■飲食店の利益をアップさせるコストカット②効果のない集客ツールをやめる

広告やチラシは効果の見えづらい集客ツールです。顧客層やリーチしたい層へ効果的かどうかを検討して力を入れるものを絞りましょう。また、利用している集客ツールと同様のことが無料で行えるかどうかを調べてみてもよいでしょう。

■飲食店の利益をアップさせるコストカット③余剰在庫を減らす

仕入れの量やメニュー数を見直して余剰在庫を減らすことも重要です。また、仕入先を検討することでコストカットできる場合もありますが、こちらも提供する料理に関わる部分なので、安易に安いものを仕入れるのは避けたいところです。

飲食店経営はさまざまな経営上の数字から仮説を立て、現状行うべき施策を選択していく必要があり、そこが「難しい」と言われる理由のひとつだと考えられます。飲食店で経営を安定させるには、売上アップと利益アップの双方が欠かせません。赤字に悩む店舗は、顧客獲得とコストカットの両輪で黒字化を目指してください。

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