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新宿『食堂わた』、オープン半年で坪月商40万円。三つ星の技術で夜は和食居酒屋、昼は定食店に

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店主の櫻井 航さんは、オープンしてまもなくメディアにも多く登場する人気ぶり

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銀座の名店を皮切りに、『赤坂おぎ乃』『西麻布野口』など、錚々たる名店で研鑽を積んだ櫻井 航さん。28歳でオープンした『食堂わた』が目指すのは高級割烹ではなく、町の定食屋だ。昼はおばんざい、夜は居酒屋風和食を提供。2024年9月24日、新宿御苑近くにオープンして半年で月商は450万円を売り上げる。業界やメディアも注目する櫻井さんの店づくりについて聞いた。

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高級店での経験に違和感を覚え、“食堂風”の店を着想

祖父が地元静岡で大宴会ができるような飲食店を経営していたことから、幼少時より料理人が将来の選択肢の一つだったという櫻井さん。自分で作った料理をふるまい、「おいしい」と言ってもらえた経験から、高校卒業後は、静岡の専門学校へ進むことにした。

卒業後は、銀座の名店を皮切りに、『赤坂おぎ乃』『西麻布野口』などミシュランの星付き和食店で研鑽を積む。

「静岡で居酒屋をやろうと思っていたのですが、その前に一度、東京にある一流店で修業したい、と同郷の店主に受け入れてもらい、三つ星店で修業をスタート。最初の1年は、サービスに明け暮れ、合間に唎酒師の資格も取りました」

この時点での最終目標は、静岡で小さな居酒屋を開店すること。そのために、着々と準備を進めていた。思いがけず、料理の技術はもちろん、サービスを一流店で学べたことが大きかった。その後、 先輩に引き抜かれて会員制の店に移るが、食材も贅沢、料理も豪華。自分のやりたいこととは違う……と違和感を拭えず、今の店のような業態を思い描くようになった。

「僕が“食堂風”の店を作ろうと思ったのは、お客様同士が会社の愚痴を言ったり、友人と話が弾んでいるときに料理が添えられて、『おいしいな』と話が盛り上がればいい、と考えたからなんです。自分の料理が主役ではない、会話の添え物として楽しんでいただければ理想的です」

三つ星店を皮切りに錚々たる日本料理店で修業、カウンター内では手際よく料理を準備する

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割烹店での修業を経て東京での一勝負を決める

『赤坂おぎ乃』の荻野聡士さんは、一番お世話になった師匠。「静岡に帰る」と話すと、ちょうど『赤坂おぎ乃』を開業するタイミングだった荻野さんに、「立ち上げだけでもいいから手伝ってくれないか」と声をかけられた。

「技術は誰よりも優れているし、手先も器用。厳しいが、言ってることは理不尽ではない。そういうところを尊敬しています。『料理の技術はまじめに精進したらある程度はついてくる。その前に大切なのは、人としての礼儀』という荻野さんの言葉は座右の銘です」

『赤坂おぎ乃』で2年ほど経験を積んだあと、『西麻布野口』へ移る。夜は日本料理を学びつつ異なる業態も経験したいと、昼は定食屋でアルバイトをした。その経験が今の昼定食に繋がった。

「料理をやっている限り、1回東京で自分がどこまで通用するか試してみたい、という思いもあり、一度は東京で勝負してみようと決めました。開業資金は、自力で300万円程度、あとは親からの支援と金融公庫の制度を利用しました」

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Miki D'Angelo Yamashita

ライター: Miki D'Angelo Yamashita

コロンビア大学大学院国際政治学修士、パリ政治学院欧州政治学修士。新聞社にて、新聞記者、雑誌編集記者、書籍編集として勤務。国際情勢、文化一般を取材執筆。食関連取材、料理本編集多数。