1. 店舗物件探しトップ
  2. 物件タイムズ
  3. 飲食店を開業するのに向いている人は? 具体的な準備まで解説

飲食店を開業するのに向いている人は? 具体的な準備まで解説

2023年10月13日

画像素材:PIXTA
飲食店ドットコムがこれまでのノウハウを活かし、「飲食店を開きたいと考えている」「飲食店を経営したい」と考えている人が最初に読むべき、知っておきたい情報をまとめました。コンセプト作りから物件探し、資金作りの方法など、知りたい情報はすべてここに!

もくじ
  1. ◯飲食店開業に向いている人はどんな人?必要な能力・スキルを解説
  2. ◯最初に飲食店の「コンセプト」を考える
  3. ◯資金はいくらかかるか/資金調達の方法を検討する
  4. ◯飲食店の出店を決めたら「事業計画書」を作る
  5. ◯開業する飲食店の「メニュー」を作る
  6. ◯飲食店を開業するための「物件」を探す
  7. ◯仕入れや備品購入の「取引業者」を選ぶ
  8. ◯飲食店を開業する時に必要な資格を取得する
  9. ◯飲食店を開業する際に必要な申請を行う
  10. ◯飲食店の開業に役立つ便利なツール
画像素材:PIXTA

飲食店開業に向いている人はどんな人?必要な能力・スキルを解説

飲食店を開業したいと考える時、その理由にはどのようなものがあるでしょうか。お金のためなのはもちろん、料理を作るのが好きだから、客商売が好きだから…さまざまな理由がある中で、ここでは飲食店に向いている人や必要なスキルを解説します。

■飲食店開業・経営に向いている人

1.コミュニケーション能力が高い
2.柔軟性と適応力がある
3.料理の知識や情熱を持っている
4.経営感覚がある

飲食店を経営するには、客やスタッフと円滑に対話できる高いコミュニケーション能力が求められます。客相手の商売であることから、不測の事態やマニュアル通りにはならない対応が求められることもあり、柔軟性や適応能力を持っている人が対応しやすいと言えるでしょう。料理に対する知識や情熱はもちろん、そこに経営感覚が備われば、人々に喜ばれるサービスやメニューを追求できるため、良い飲食店を作ることができるでしょう。

■飲食店開業・経営に向いていない人

1.コミュニケーションが苦手
2.ストレスに弱い
3.飽きっぽい
4.マルチタスクが苦手

飲食店は、毎日さまざまな人とコミュニケーションを取る仕事のため、基本的なコミュニケーションが苦手な人は飲食店に向きづらい特性であるといえます。状況の変化や人間関係の構築がストレス負荷になるため、ある程度耐性があることが望ましいでしょう。また、現場では多くのルーティンワークはマルチタスク的に進めなければならない状況が多く、それらが苦手な人も飲食店経営には向きません。

■飲食店開業・経営に必要なスキルとは?

・経営能力
効果的な経営戦略の構築、コスト管理、収支のバランスなどを理解し、ビジネスを持続可能なものにする力です。集客目標・収益目標・返済計画などの数字や、市場動向を把握し、柔軟な経営判断を下すことが求められます。また、会計や法律の知識のほか、最低限の飲食店の現場に関する知識も必要です。

・資金調達能力
自己資金がない限り、ほとんどの飲食店では、開業資金と運転資金を調達する必要があります。適切な資金調達手段を見つけ、計画的かつ効果的に経営資金を確保するスキルが必要です。多くの場合「日本政策金融公庫」というところから借り入れをするケースがほとんどです。融資を受ける際には綿密な資金計画や返済計画を立てる必要があります。

・メニュー開発能力
魅力的なメニューは飲食店の個性を表現し、顧客を引き付けるための「競争力」を担ってくれます。トレンドや食材のバリエーション、調理法に対する深い知識と理解が必要です。

・マネジメント能力
スタッフやリソースを効果的に組織し、円滑に運営する要素です。タスクの優先順位をつけ、リーダーシップを発揮してチームを鼓舞することが求められます。スタッフや取引業者さんを巻き込みながら飲食店を経営する能力が求められます。

・調理能力
飲食店でへ何十人・何百人ぶんの料理を仕込むこともザラにあるため、個人で行う料理とは違うスキルが求められます。作り手によって味がブレることもあるため、レシピや工程を整理し、大量に品質の安定した料理を作りだせる能力が必要です。

・接客能力
店と客との信頼関係を築く上で不可欠な能力です。笑顔や礼儀正しさ、柔軟な対応が求められます。お客様のニーズを理解し、サービスの向上に努めることで、リピーターの獲得や口コミによる集客が期待できます。

もちろん、これらを一人ですべてやれる人が向いているというわけではありません。経営が得意な人、メニュー開発が得意な人、接客が得意な人…さまざまなスキルを持つ人が協力し合うことで飲食店経営を軌道に乗せることができるでしょう。

開業したい飲食店の「コンセプト」を考える

飲食店をやりたいと思ったら、まず考えたいのはその飲食店の「コンセプト」。コンセプトとは「店舗を開業するためのすべての基盤となる考え方」のこと。どこで、だれに、なにを売るのかを明確にして、それに沿って店づくりを行う、開業のための指針となるものです。

■「コアコンセプト」(コト)と「サブコンセプト」(モノ)に分けて考える

コアコンセプト…その店舗でどのような「付加価値」を与えていくか。例えば体験や学び、その空間で味わえる「気持ち」など。

サブコンセプト…ターゲットや出店場所、商品とその価格帯など、コアコンセプトを実現するために具体的に必要なもの。

■コンセプト作りのポイント3つ

1…自分のやりたいことや、気持ちに忠実に
自分のやりたいことやアイデアをすべて書き出してみましょう。自分が“やりたい”という気持ちが店づくりの大きな原動力になります。ここで自分の原動力がなにかをじっくり考えることが大切です。

2…「売れるもの」を見極める
斬新なアイデアでもニーズがなければ商売として成り立ちません。客観的な視点を持って出したアイデアを精査しましょう。また、毎年さまざまな食トレンドがありますが、トレンドは移ろうものなので、取り入れる場合はバランスを考えましょう。

3…繁盛店を研究する
繁盛店がなぜ繁盛しているのか。その「なぜ?」を研究し根幹をさぐることで、自店のコンセプトに生かせるところが見つかることもあります。日頃繁盛している飲食店を視察するほか、当サイトの「インタビュー記事」でも繁盛店の店作りのポインㇳを多数紹介しています。

▼飲食店ドットコム ジャーナル「インタビュー」
画像素材:PIXTA

飲食店を開業するにはいくらかかる? 資金調達の方法とは

飲食店の事業計画において特に苦労するのが「資金繰り・資金調達」といわれています。開業資金で必要な金額は、飲食店の規模にもよるが1,000万前後といわれることも。具体的な開業前の計画で、最も大切な資金計画について解説します。

■「開業資金」と「運転資金」に分けて考える

飲食店の資金計画は大きく分けて「開業資金」と「運営資金」に分けて考えられます。

・開業資金…物件取得費、内装費、機器・備品代、求人広告費、宣伝費など

・運転資金…家賃、光熱費、通信費、人件費、仕入れ代、消耗経費など

飲食店が軌道に乗るまでは半年〜1年間はかかることを覚悟して、特に運転資金はしっかりと用意したいところです。

■資金調達は、自己資金と融資、助成金などを組み合わせて

事業を始めるための資金は大きく分ければ自分で用意する自己資金、そして融資や出資など他人から集める資金の2つがあります。飲食店の場合は初期投資が大きいため、全額自己資金というケースは多くありません。銀行や公的機関などからの融資を受けることになる場合は「自己資金3割」を目安に計画を立てるとよいでしょう。

資金調達の方法としては、以下のようなものが挙げられます。

1、自己資金
2、親族からの借り入れ
3、公的機関からの借り入れ
4、銀行などの金融機関からの借り入れ
5、補助金、助成金の活用
6、その他(クラウドファンディング等)

借り入れを行う場合、しっかりと事業計画を立てる必要があります。コンセプトを練り上げるのはもちろん、客単価や回転率なども想定しながら綿密な予測を立てましょう。いかに綿密な計画かが融資を受ける際の信頼性に繋がるため、必要であればコンサルタントから事業計画書作成のアドバイスを受けるのもいいでしょう。
画像素材:PIXTA

飲食店の出店を決めたら「事業計画書」を作る

飲食店を出店するまでに必要な準備は多岐にわたるため、なるべく綿密に計画をまとめておく必要があります。事業計画書は周囲や金融機関からの協力を得るための資料となる大きな役割を担っているほか、開業へ向けて順調に進んでいるかの指標になるため、コンセプトを考えたらなるべく早い段階に作りはじめましょう。

■事業計画書に必要な「事業コンセプト」と「数値計画」

事業コンセプト…どのような顧客(ターゲット)に、欲しいと思う商品・サービス(ニーズ)を、どのように提供するか(独自性)、という3つの軸で考えて作成します。

数値計画…事業を始めるにあたりいくら必要か(投資計画)、どれくらいの客数と客単価を考えて売上はいくらを見込んでいるか(売上計画)、利益はいくらくらいになりそうか(収支計画)、投資計画に則って投資をするためにどのように資金を調達するか(資金調達計画)、調達した借入金をどのように返済するか(返済計画)、などがあります。それぞれの計画において互いに矛盾が無いように考えることがポイントです。

これらの計画はすべて関連性があるものなので、以下では数値計画で特に重視すべき「売上計画」「収支計画」について解説します。

■売上計画は「客数×客単価」で考えるのが基本

「売上計画」はより正確な数値を設定しましょう。。 計算で売上高を求めるには「客数×客単価」が基本の考え方ですが、より正確な売上高を求める場合、以下のような計算方法があります。

売上高=席数×満席率×客席稼働回数×客単価

それぞれの数字を以下で解説します。

・席数……想定している席数。
・満席率……総客数を総客席数で割った数字。 例えば、4人掛けの席に客数が4人なら稼働率は100%だが、2人だと50%となります。
・客席稼働回数……実際に客の来店が見込める時間を考慮して、客席稼働を考えます。計算方法は、「店舗営業時間÷平均滞留時間」。滞留時間については、類似業態を目安にするほか、近隣店舗の視察など、客の流れを見て現実的に考えましょう。
・客単価……店の業態、コンセプトによって異なります。希望するエリアにある他店舗の価格感を知ることも大切です。まずはメニュー表を作って合計金額のシミュレーションをしましょう。

客数は新規客とリピーター、客単価は商品単価と買上げ点数のように細分化できるので、業態に合わせて詳細に検討しましょう。時間や曜日、月ごとの繁閑の差を考慮していくと、売上計画の精度は上がります。

注意点としては、飲食店には店舗の面積、席数などには制限があることです。売上の計画値と坪当たりの売上や席の回転率などに無理が無いように売上計画を立てることが必要になります。

■投資額が高くなっても、売上計画の「水増し」はNG

開業計画を順調に進めるためには、投資額の見積もりが高くなったからといって売上計画を水増しすることなく、計算を守ることが大切です。

通常、飲食店の満席率(客席稼働率)は70%が一般的で、回転数は業態によって異なります。カフェは1時間で2回転、高級料理店なら1日1回転、居酒屋なら1日3回転、ファストフードや牛丼店などは10回転以上ということも珍しくありません。業態によって正しい回転数を把握し、売上予測を正しく導きましょう。

また、曜日や休日も考慮する必要もあります。立地によって、曜日ごとの忙しさが違うのが普通です。例えばカフェを一例に、立地による忙しさの違いを見てみましょう。

・オフィス街…平日は忙しいが、土日はほとんど忙しくない。
・商業施設内…土日は忙しい。平日はそれほど忙しくないが、夜は忙しいこともある。
・郊外…土日は忙しい。場所によって平日のランチタイムは忙しい。

■飲食店の売上予測は3つのパターンを想定しよう

飲食店はずっと同じ売上を維持できるとは限りません。前述したように時間帯や曜日によって客層は変わるし、そうすればおのずと数字にも変化が現れます。昼と夜、平日と週末、店内利用かテイクアウトかなど……それらを別々に計算して「月間売上高」を予測するのがセオリーです。さらに、以下の3パターンを想定しておくことをおすすめします。

1…低調時売上
最低限、これだけは売れるという計画。開業直後や計画通りにならないときを想定。

2…通常時売上
普通に経営していれば、間違いなく達成できる計画。数値は、近隣の店舗や売上基準値を参考にします。

3…好調時売上
努力目標としての数値。開業後の目標とするため、高めに設定しましょう。

3つのパターンのうち、低調時売上でも資金繰りできる計画が理想です。何度もシミュレーションが必要ですが、「売上予測」の検証をしっかり行っておけば、開業後にも役立ちます。そして、計画よりも少し上に設定した「売上目標」も一緒に考えておきましょう。毎日の経営に張り合いをもたらすのは“計画”ではなく“目標”なのです。

■「収支計画」のために、開業してからのコストを把握する

「売上計画」が練れたら、次は「収支計画」を立てましょう。そのためには、経営を続けていくためのランニングコストを把握する必要がある。飲食店にはどのようなコストが掛かるのか、その種類と売上額に対しての目安となる割合を紹介します。

<飲食店にかかる主な費用>
名称 目安割合 内容
原料費 合計30%前後 料理・飲料の原価、テイクアウト原価
人件費 合計30%前後 社員・パートアルバイト給与手当、通勤交通費、福利厚生、求人費など
諸経費 合計12% 水道光熱費、販売促進費、消耗品費、事務用品費など
初期条件 18%以下 店舗家賃、減価償却費、支払金利など
※個人店の場合、オーナー給与も初期条件(売上が変動しても変わらない家賃などの固定費のこと)に入れる。

上記費用の合計が90%以下になるように計画しましょう。つまり、目標とするのは“売上比10%以上の利益確保”です。そのほかにも「収支計画」を立てるうえでのポイントがいくつかあるので押さえておきましょう。

・原価率と人件費率の合計値は、売上の60%以下が理想
ただし、よく言われている「飲食店の原価率=30%」という概念にとらわれてはいけません。業態によって原価率は変わり、利益の出ている優良店ほど高い傾向にあります。実際に原価率を60%と発表している大手チェーン店もあります。

・諸経費の合計は12%以下に収める
たくさんの項目がある諸経費ですが、その50%を占めるのが“水道光熱費”。必要経費ではあるものの、抑える努力は欠かせません。節水・節電の意識を持って店舗運営しましょう。

・家賃は賃料や共益費も含め8%以下に
店舗家賃は固定費の中で最も大きいもの。「店舗家賃÷0.08」で計算した金額を売上として達成できるかどうかが判断ポイントです。
画像素材:PIXTA

■モデルケース:開業1415万円のラーメン店の場合

ここまで様々な説明をしてきたが、ここで一度、具体的な数値例を紹介します。例えば、開業資金が1,415万円のとあるラーメン店の場合、下記のようなモデルとなります。

・ラーメン店の概要
店舗面積:15坪15席
営業時間:11時〜23時
従業員体制:正社員1名、パート2名

・収益モデル
項目 金額 構成比
月間売上高 400万円 100%
原価 144万円 36%
人件費 108万円 27%
減価償却費 16万円 4%
店舗家賃 26万円 6.5%
その他 58万円 14.5%
営業利益 48万円 12%

原価率が36%と高めなのは、バラエティ豊かなメニューを用意しており、食材にこだわっているため。原価率が高くても充分な利益を確保できるのは、店舗のコンパクト化やオペレーションの効率化が成功しているということが数字にあらわれています。

■収支計画~最低限の目標売上高を把握する

ランニングコストを把握できたら、「収支計画」を立てます。飲食店を経営していくためには当然、利益を出さなければならない。税引き前利益で10%以上の利益をまずは目標としましょう。

そして、目標を達成するためには「損益分岐点売上高」を意識することが大切です。「損益分岐点売上高」は、それ以下の金額なら赤字で、以上なら黒字になるという数値です。下記の計算式で算出します。

損益分岐点売上高=固定費額÷(1−変動比率)

例えば、「固定費(家賃など)の必要月額=100万円」、「変動比率(売上に対する食材費や人件費の割合)=売上対比75%」という飲食店があったとします。この条件を、先ほどの計算式に当てはめると、100万円÷(1−0.75)=400万円が損益分岐点売上高。つまり赤字を出さないようにするためには、400万円を売り上げなければいけません。この計算を覚えておけば、借入金の返済に必要な売上や目標達成のための売上も算出できるようになるでしょう。

■売上予測を立てるために、競合店を調査する際の7つのポイント

売上予測を立てるには、地域の状況を把握することが不可欠です。競合となりそうな店舗の強みを見極めることで、自店の経営にも活かせることがあります。そこで競合店を調査する際のポイントを7つ紹介します。

1…立地
人気店は最寄り駅から近い、1階路面店などといった強みを持っています。人の流れをどのように掴んでいるかなども確認したいところです。

2…店舗環境
ターゲットニーズに合った店舗環境を備えているかどうか。例えば、子ども連れでも大丈夫、個室がある、テラス席がある、内装や小物にこだわっている、などの強みがあるかどうかがポイントです。

3…商品力
味の品質はもちろん、素材が良い、SNS映えするなどの付加価値があるかどうか。

4…価格
メインターゲット層にふさわしい価格になっているかどうか。

5…販促
広告戦略をどのように行っているか。Webや店内販促の仕方なども確認したいところです。

6…接客
ターゲット層に合わせた接客品質になっているかどうか。

7…固定客化
リピーター化、固定客化するためにどのような施策を行っているか。

もちろん競合店を調査しただけでは意味がありません。競合店との差別化を図り、さらに上回るために、どのように自店に取り入れるか、どうすれば違いが出せるかアイデアや工夫が必要になります。自店の特色を出すには、まずは自店のコンセプトをしっかり確認し設定することが大切です。
画像素材:PIXTA

開業する飲食店の「メニュー」を作る

コンセプトに沿った商品、およびメニュー構成は資金計画や売上計画の根拠にもなるため、メニュー作りは事業計画のひとつとして取り組みましょう。

■メニューを考案するため意識したい3つのポイント

実現可能で、かつ魅力的なメニューの考案には以下の3点を意識します。

1…顧客満足の視点
来店客に満足してもらえる魅力的なメニューの考案のために料理の味はもちろんのこと、オリジナリティーや話題性といったものも必要になってきます。

2…そのメニューを実現させるための開業準備と初期投資
出したいメニューによって出店地域や店舗、厨房のレイアウトが具体化します。さらに仕入業者の選定、スタッフの人数など細かい内容が決定すると、初期投資費用も決まります。

3…開業後の経営指標
原価率や人件費のほか、顧客の満足度は来客数や回転率、売上高に反映されます。以上の3点を踏まえメニューを考えましょう。

■メインメニューとサブメニュー

具体的なメニューづくりの手順として、まずメインメニューとサブメニューに分けて考えます。メインメニューは店の顔となるいわゆる「看板メニュー」。あの料理を食べに、あの店に行こう……と言われるようなメニューを考案しましょう。サブメニューは、ドリンクメニューやおつまみ、サラダ、デザートなどメインに付随するメニュー。メインメニューとのバランスや、関連性などを意識して決めます。

・メインメニューづくりのポイント
メインメニューは、店の顔。必ず守りたいのはコンセプトに沿ったメニューであることです。コンセプトづくりの際に考えた、ターゲットや立地、価格などをイメージしながら考えましょう。

メインメニューは、他店にないオリジナリティーや話題性のあるインパクトが必要になるが、一方でわかりやすさも重要です。つまり、誰でもある程度のイメージがわく馴染みのあるものに、オリジナリティーや個性をプラスして他店との差別化を図るということが重要になってきます。

そうした魅力的なメインメニューの考案には、五感に訴えかける演出も不可欠です。顧客は五感によって「美味しさ」を感じます。この場合の五感とは、見た目、食感、匂い、味、音のこと。どれかひとつではなく、五感すべてを満たす料理を考案したいものです。

また、料理の魅力はメニューの名前にも反映させ、食べる前からその料理の「美味しさ」を想像できるように演出しましょう。美味しさを伝える言葉は、“もちもち”、“とろとろ”、“ふわふわ”、“カリカリ”などの食感に訴えかけるものや、“限定”、“朝どれ”、“直送”、“特選”などの新鮮さ、希少性をイメージさせるものをはじめさまざまなものがあります。メインメニューのプランに合う魅力的なネーミングを考えましょう。

・サブメニューづくりのポイント

サブメニューの役割は、メインメニューを引き立てるものであると同時に、来店客に選択肢のバリエーションを提供するということです。サブメニューは、先ほども挙げたとおり、ドリンクやおつまみ、サラダ、デザートなど多岐にわたります。それぞれの業態に合わせて、よりメインメニューを引き立てることのできるサブメニューを考えましょう。

例えば、ラーメン店など、メインがはっきりと決まっている業態ならトッピングやボリュームの増減をサブメニューとし、メインメニューの楽しみ方に幅を広げることができます。様々な組み合わせを選べることにより顧客の満足度が上がり、リピート率も増えるでしょう。

メインメニューがいくつかある場合には、前菜やスープ、デザートなどにこだわり、食前食後の選択肢を増やすことで顧客の満足度につながります。居酒屋のような業態の場合には、一品料理がどれもメインでありサブである場合が多いので、すぐに提供できる、いわゆる“とりあえず一品”のメニューを作ったり、アルコール類に注目し、他店にはない種類を仕入れてみるのもいいかもしれません。

■原価と販売価格の決定

メインメニューとサブメニューが決まったら原価を算出します。原価が算出できたらメニューごとの販売価格を決めていきます。この時大切なのは、顧客満足と利益を両立させなければいけないことです。小規模経営の飲食店の場合は、多少高めの値段設定でもいいかもしれません。しかしその分、質の良いメニューの提供が必要になってきます。

原価率はおおよそ30%前後に抑えるのが目安ですが、すべてのメニューを一律30%にするのではなく、看板メニューには原価をかけ、サブメニューでコストを抑えるなど、メリハリのあるメニューづくりが必要です。

メニューづくりは、様々な要素から多角的に検討するもの。開業後の成功を決める重要なポイントなので、しっかり考えて失敗のないメニューづくりを心がけましょう。

飲食店を出店する上で大事な「物件」「立地」はどう選ぶ?

画像素材:PIXTA

■物件の探し方

飲食店を出店する上で大切なのが物件探しです。物件を探すにはさまざまな方法がありますが、まずはインターネット上の物件サイトを利用するのが手軽です。しかし、基本的に物件数よりも出店希望者の方が多いため、良い物件はすぐに借り手が見つかってしまいます。こまめにチェックをするとよいでしょう。

しかし、Web広告などを使わずに取引を済ませてしまう物件も数多く存在します。その情報を得るためには出店希望エリアの不動産会社に足を運ぶことも重要です。不動産会社を回る際には、希望エリアや希望家賃などの条件を書いた紙を持参して渡すとよいでしょう。条件の合う物件が出た時に、連絡を貰える可能性へと繋がります。

■内見の際に注意すべきポイント

物件が見つかって内見をする際は、目指すべき業態が営業できるかをチェックすることです。重飲食向け・軽飲食向けといった基本的な確認から、ダクトの設置場所、電気・ガスの容量をチェックし、設置する予定の厨房機器が使用できるかどうかをしっかりと見ておきましょう。

■出店計画に合った「立地」を選ぶ

物件そのものと同じくらい重視すべきなのは「立地」です。設定したコンセプトやターゲットによって、どの街がいいのか、周辺に何があるか、駅からの距離はどうかなどを検討して出店エリアを決めるべきでしょう。

現在はグルメサイトなどのWebサービスによって、そのお店を目がけて来る「目的来店」が増えているといわれています。しかしながらWebサービスはあくまでも集客術のひとつであって、その店舗の立地による「衝動来店」を無視して出店するのはリスクを伴います。例えば立ち食いそば店であれば、人通りが十分見込める立地であれば商売として成り立ちますが、完全予約制のフレンチなどは必ずしも立地にこだわらなくても営業が可能です。

■当初の予算を「厳守」する

ここでいう「予算」とは、物件取得に掛かる費用ではなく、月々の家賃、共益費、光熱費などを含めた1か月に掛かる費用のこと。飲食店はランニングコストがどれだけかかるかによって営業利益に大きく差が出るため、この計画を厳守していく必要があります。

店のコンセプトやメニューなどは、開店後も少しずつ調整していくことが可能ですが、物件は一度選んでしまったら、そう簡単に変えることができません。少しでも予算をオーバーしたら、その物件は諦めた方が無難でしょう。

飲食店ドットコム「店舗物件探し」では、不動産会社からの物件情報のほか、直接お店を譲りたい飲食店オーナーからの「譲渡情報」も取り扱っています。

また、駅ごとに家賃の相場を調べられる『相場情報を調べよう』という機能が便利です。そのエリアの平均坪単価がわかるほか、近年の家賃動向も確認できます。具体的な出店検討に際して、このようなツールを利用してイメージを持ってみるのもいいでしょう。

▼飲食店ドットコム「店舗物件探し」
画像素材:PIXTA

仕入れや備品購入の「取引業者」を選ぶポイントは?

■必要なものをカテゴライズする

仕入れ業者を決める前に、開業にあたって必要なものを把握することが必要です。このとき、以下の3つのカテゴリーを設定するとより具体的なイメージに近づきます。

1…食材
自店のメニューに必要な食材を考えます。食材だけでなく調味料やドリンクの類も忘れずに。また、単純に食材を書き出すだけでなく、品質や銘柄、ブランド、産地など、より具体的に検討しておくと後の業者選びがスムーズになります。

2…備品
次に、調理用の備品、店舗の衛生にかかわる器具等をリストアップします。カトラリーや調味器具など、テーブルに置かれるものは、その店の印象にも大きく影響するので、店舗イメージを明確にして慎重に決定しましょう。

3…サービス
この場合のサービスとは、食材や備品のようなもの以外に、店舗運営にあたって必要なものだと考えましょう。接客に関連することとして、店内のBGMやメニュー等のデザイン制作、決済の選択肢としてクレジットカードを導入する場合にはその手続きなどを含みます。また、従業員に対して制服を用意するならその準備や、店舗の定期清掃を専門業者に依頼するかどうかなど細かな部分まで考えましょう。

■取引業者を探す方法

必要なもののリストアップが済んだら、項目ごとに取引業者を探します。仕入れ業者のマッチングサービスを利用するなどインターネットを使って探してみるのも良いでしょう。その他、すでに開業している店舗から情報を得たり、先に決定している業者があれば別ジャンルのものについて相談してみるのも良いかもしれません。

また、メインメニューなどに必要な食材で、産地やブランドなど譲れないポイントがあるようなら、生産者と直接契約を交わすことで、より確かな食材を仕入れることができる場合もあります。しかし、生産者とのコミュニケーションや、供給の安定性、価格面などリスクがあることも視野に入れておきましょう。

「飲食店ドットコム 仕入れ先探し」では、業務用食材・酒類の仕入れ業者とのマッチングサービスを提供しています。また、業態別のおすすめ業者の特集もあるため、ぜひ一度チェックしてみてください。

▼飲食店ドットコム 仕入れ先探し

■取引業者を決めるために必要な条件6つ

実際に取引業者を決定する際には、取引条件を決定しその条件に合う業者を選定しましょう。決めておきたい取引条件は、以下の6項目です。

1…品質
仕入れる商品のクオリティはとても重要なことです。安定して高いクオリティーの商品を提供できる業者を選びましょう。

2…単価と単位
商品の単価と、その商品を発注する際の最小ロット(単位)を決定しましょう。

3…納期
商品を発注してから納品されるまでのタームを決めましょう。

4…納品方法
納品の方法や、送料等の条件を決めましょう。

5…支払方法
締め日はいつで、どのように支払うのか、また振込み等の場合手数料はどちらが負担するのかなど後々トラブルを招かないように細かく決定します。

6…トラブルの対応方法
商品の欠品や、納期が遅れる際の対応、不良品の処理(返品条件や返品の際の送料負担はどちらがするのかなど)を決めましょう。

■カテゴリー別におさえておきたい業者選びのポイント

事務的な条件とともに大切なのはその業者の「信頼度」です。開業する店舗のコンセプトを理解し、協力してくれるパートナーたりうるかどうかを見極め、選定する必要があります。

例えば、不測の事態が起こったときにフレキシブルに対応してもらえるかどうか、開業する店舗の業種に対する経験や知識がどの程度あるか、担当者とのコミュニケーションがスムーズか、発注した商品以外への提案や応用力があるかどうか、などポイントはさまざまあるでしょう。特に、食材の業者選びでは、上記のようなポイントが重要になります。

また、備品の業者選びの際には、使用頻度の高い消耗品類をいかに低価格で仕入れられるかもポイント。ロット数や単価から無駄のない仕入れができる業者を選択しましょう。そしてサービスに関する業者選びは、工事や審査が必要なものもあるので、早めの選定が必要です。早い段階から店舗イメージを膨らませ、必要な業者を探しておきましょう。いずれにも共通していえるのは、なるべく多くの業者リストアップと情報収集です。積極的にコミュニケーションをとり、相見積もりを多めにとるなどして精査しましょう。

信頼できる業者選びにはまず自身が信頼されるオーナーになることが大切です。長く取引できるビジネスパートナーに出会うために、しっかりと時間をかけて作業を進めましょう。
画像素材:PIXTA

飲食店の開業に必要な資格を取得する

まず、飲食店の営業には「食品衛生責任者」がひとり必要です。調理師や栄養士といった資格を持っている人、もしくは食品衛生協会が行っている講習を受ければ取得できます。また、建物の収容人数によっては「防火管理者」の資格も必要です。

■食品衛生責任者

飲食店等を営業する場合、衛生の自主管理を行う必要があり、その責任者として食品衛生責任者を置くことが義務付けられています。この食品衛生責任者になるには、下記のいずれかを満たす必要があります。

・栄養士、調理師、製菓衛生師、ふぐ包丁師、食品衛生管理者等の資格を持っている者
・食品衛生責任者養成講習会の課程を修了した者
・その他、知事が食品衛生に関して同等以上の知識を有すると認めた者

食品衛生責任者養成講習会とは、各都道府県の食品衛生協会が開催している講習。公衆衛生学、食品衛生学など計6時間の講習を受講すれば取得できる資格食品衛生責任者の資格が取得でき、受講費は1万円ほど。

全国共通の資格なので、例えば神奈川県で取得して、東京都内で開業するといった場合も問題ありません。また、保健所に店舗の営業許可申請を出す際には、交付された食品衛生責任者手帳などを提示する必要があります。開業する3か月くらい前までには取得しておきましょう。1~2か月先まで予約が埋まっていることもあるので、早めの確認がおすすめです。また、eラーニングによる講習会も開催されています。

■防火管理者(甲種・乙種)

日本防火・防災協会が全国各地にて講習を開催しています。収容人数が30名以上の飲食店を開業する場合には取得が必要。収容人数30名以下の場合は不要です。ただし、店舗の席数ではなく、従業員を含めての30名以上となるため注意が必要です。

防火管理者資格は、「乙種防火管理者」「甲種防火管理者」の2種類。収容人数が30名以上、延べ面積が300平方メートル以上の場合の甲種講習では、防火管理にかかる訓練及び教育、消防計画など、2日で約10時間の受講。収容人数30名以上、延べ面積300平方メートル未満の乙種講習は、甲種の基礎的な知識及び技能を1日約5時間で学ぶ講習です。また、受講料は、甲種講習は8000円、乙種講習は7000円です。

■飲食店の開業に調理師免許は必要?

飲食店の開業に必ずしも調理師免許必要ありません。「調理師」とは名称独占資格と言われる国家資格であり、有資格者以外が調理師を名乗ることは法令で禁止されています。

調理免許を取得するメリットとしては、先述の「食品衛生責任者」の講習が免除される点がひとつ挙げられます。また「ふぐ調理師」になるためにも必要な資格です。飲食店開業に必ず必要な資格ではありませんが、資格保有者がいることで信頼面にもメリットがあるといえるでしょう。
画像素材:PIXTA

飲食店を開業する際に必要な申請を行う

飲食店を開業するための申請は、最寄りの保健所や消防署で行います。基本的には下記が必要なのだと覚えておきましょう。

■飲食店営業許可申請

・申請をする場所:店舗を出店する地域の保健所
・書類提出の期限:竣工、もしくはオープンの10日〜2週間前まで
・申請に必要なもの:店舗の見取り図、手数料(東京では18,300円)、食品衛生責任者手帳、水質検査成績書など

申請をする前に、計画を保健所へ事前相談することをおすすめします。自分の考えている店が、営業可能かどうかを担当者に判断してもらうプロセスです。

保健所の職員が完成済みの店舗まで来て行うチェックでは、流しや手洗いの数、壁や床の材質などといった箇所も見られることを覚えておきましょう。その時になって、“やり直し”になるのは避けたいものです。

■防火対象物使用開始届

・申請をする場所:消防署
・書類提出の期限:開業から1か月以内
・申請に必要なもの:防火対象物使用開始届出書、案内図(店舗近辺の地図)、消防用設備が記入された店舗の平面図・立体図・断面図、建物の仕上げ表など

焼肉店などで、裸火を使うような場合に必要な防火対象物使用開始届は、通常なら施工業者が申請します。ただし、業者に施工を依頼しない場合には、申請を自分で行わなくてはいけないので忘れないようにしてください。

■開業届

個人事業で開業する場合に必要な届出で、税務署の管轄です。特に事前に準備するものなどはなく、直接窓口まで行って、その場で済ませることもできます。また、最高65万円の控除が受けられる青色申告にする場合には、「青色申告承認申請書」も同時に提出しましょう。

開業・廃業等届出書は事業開始から1か月以内、青色申告承認申請書は2か月以内に提出する必要があります。営業スタートした最初の定休日などに、忘れずに税務署で手続きを行いましょう。

■その他、業態によって必要な申請

希望する営業時間や提供したいメニューによっては、他の申請も必要な場合があります。

■深夜酒類提供飲食店提供許可

・申請をする場所:警察署
・申請に必要なもの:申請書、店舗の平面図、照明・音響・防音の設備図、食品営業許可証の写しなど

深夜0時以降も酒類を提供する場合に必要な届出。届け出先は、保健所ではなく警察署です。お店の周囲の略図や見取り図、営業許可証や賃貸契約書のコピーなど多くの提出物が必要です。ただし、主食と認められる食事を提供している場合は、届出の必要はないとされています。

■菓子製造業許可申請

いわゆるパン屋やケーキ屋など、菓子等を製造する営業をする際に必要な許可。こちらも設備面で細かい基準が決められています。イメージとしては小さな工場のように、厨房を密室状態に囲う必要があるため、通常の飲食店よりも内装工事費が高くなる傾向があります。

ちなみに、カフェやレストランでパンやケーキを提供する場合は菓子製造業にあたらないケースが多いです。菓子製造業に該当するのは、テイクアウトを中心で営業する場合、卸業を行う場合です。詳しくは保健所に相談をしてみましょう。

■風俗営業許可

・申請をする場所:警察署
・申請に必要なもの:申請書、案内図(店舗近辺の地図)、店舗の図面など

スタッフが隣に座って接客をするなど、いわゆる「接待」を伴う飲食店の場合、飲食店営業許可と併せて風俗営業許可を得る必要があります。許可申請は管轄の警察署で行います。

飲食店の開業に役立つ便利なツール

飲食店ドットコムでは会員登録(無料)することで出店・開業に役立つコンテンツを利用することができます。「出店開業マニュアル」では、開業までの流れがまとまっており、このページと併せてチェックしてください。

また、「出店開業チェックシート」では、開業予定日を入れれば時期ごとにやるべきタスクがわかり、開業への準備の抜け・漏れをチェックすることができるので、開業を考えている方はぜひお試しを。

飲食店ドットコムでは、飲食店舗物件件を公開中です!!

物件タイムズについて

飲食店ドットコムが出店希望者の方々へお届けする店舗物件マガジン。
出店エリアの立地動向、独自の調査データに基づくトレンド情報やランキング、物件探しのコツ、開業者の体験談など、店舗物件探しをテーマに、飲食店舗の物件探しに役立つ情報を定期配信しています。

ページトップへ↑

飲食店ドットコム 【首都圏版 |  関西版 |  東海版 |  九州版

飲食店ドットコム 居抜き売却 物件を掲載したい不動産会社さまへ