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【新型コロナ】飲食店の雇用を守る! 社労士が解説する「雇用調整助成金」申請の流れ

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画像素材:PIXTA

■いくら助成されるのか?

よく「雇用調整助成金は休業手当の最大9割が助成される」と言われるが、厳密には異なっている。休業手当は直近3か月の平均賃金をもとに計算するため1人ひとり異なるが、雇用調整助成金の額は一律であり、日額8,330円という上限額が設定されている。仮に賃金の高い労働者を休ませて休業手当を3万円払ったとしても、雇用調整助成金は8,330円までしか出ない。そこに注意して、「誰を優先的に休ませるか」を考えてほしい。

■雇用調整助成金の計算方法

雇用調整助成金は、前年度に支払った給与総額から、1人あたりの平均給与額を計算し、休業手当支払い率と助成金をかけて求める。特例期間は、従業員を一人も解雇していないことを条件に、最大で9割助成される。

雇用調整助成金の計算方法

例えば、まだ従業員を解雇していない飲食店が、4月1日から休業したとする。一人あたりの助成額はこのように計算する。

①会社の平均給与額:日額8,000円
②休業手当の支払率:80%
③助成額単価:①×②=6,400円×90%(助成率)=5,760円

この金額に、休業した人数や日数などから算定した「休業延べ日数」をかけて総額を求める。

■教育訓練で最大2,400円の加算も!

休業中に教育訓練を行うと、中小企業で2,400円、大企業で1,800円が加算される。先ほどの例で言うと、休業手当の額が5,760円+2,400円=8,160円にアップするということだ。

長期間従業員を休ませると、仕事に関する感覚も鈍ってしまう。その間に新しい調理方法を学んだり、調理師免許などの取得を目指したりすることで、雇用調整助成金の金額も、従業員のモチベーションもアップする。ぜひ有効活用してほしい。教育訓練の範囲も以前より拡大されており、自宅からインターネットで講習を受けることも可能となっている。

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■雇用調整助成金を使いたいときは?

まず休業等に関する計画届と、確認に必要な添付書類を提出する。通常時は休業の開始前に書類を出さなければならない。しかし、今回は特例的にすでに休業を開始している場合でも、6月30日までに計画届を提出すれば、遡及適用されることになっている。ただし、さかのぼって申請できるのは「初回だけ」ということに気をつけてほしい。

2回目以降は休業の開始前に計画届を出さなければいけない。そのため数か月分まとめて出すのがおすすめだ。計画届を提出し、休業期間が終わったら2か月以内に申請するという流れである。

雇用調整助成金を受給するまでの流れ。厚生労働省ホームページ「雇用調整助成金」より

■雇用調整助成金のデメリットは?

雇用調整助成金の注意点は、要件を満たしていないと不支給になる可能性があること。申請から振込みまでに数か月かかることである。休業手当は先払いなので、その間は人件費の負担が重くなることが考えられる。状況に応じてつなぎ資金として融資などを検討することを考えてほしい。

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三原明日香

ライター: 三原明日香

編集プロダクションに勤務し、フリーライターとして10年以上活動。ふとしたことから労働基準法に興味を持ち、4年間社労士の勉強に打ち込む。2014年に試験に合格し、20年4月に開業社労士として独立した。下町の居酒屋で出されるモツ煮込みが好物。