14坪で月商700万円の大人居酒屋『飯酒トモエ』。日吉で客単価8,000円の成功戦略
東急東横線、東急目黒線、東急新横浜線、横浜市営地下鉄グリーンラインの4路線が乗り入れる日吉駅。都心からのアクセスが良く、慶應義塾大学のキャンパスや活気ある商店街が広がるこのエリアは、高所得者層も多いとされる。そんな日吉エリアで業態の異なる3店舗をドミナント展開するのが、江川広樹氏が代表を務めるマルエ株式会社だ。
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「あなたの日常に小さな幸せと居場所」をテーマにした1店舗目『イザカヤエガチョ』は、創業5年目で12坪・月商500万円を売る繁盛店に成長。2024年1月に開業した『飯酒トモエ』は、「居酒屋以上割烹未満」をコンセプトに本格和食を隠れ家的な空間で提供し、14坪22席で月商600~700万円を達成。さらに2025年2月には、日本ワインを売りにした『ワイン酒場 サンカク』を開業し、洋業態でも抜群の集客力を発揮している。独自の店づくりで地域の潜在需要を掘り起こす江川氏に、業態開発のポイントを聞いた。
三つ星店出身の料理人による、本気の居酒屋
『飯酒トモエ』は、江川氏と小学校の同級生であり総料理長を務める地曵翔太氏との再会から生まれた。コロナ禍の自粛ムードの中、「街を盛り上げたい」と江川氏が企画したさまざまなイベントの一つが、地曵氏とのコラボレーションだった。
地曵氏は15歳で和食の道に進み、京都『京懐石 吉泉』(当時三つ星)や銀座『Kuma3』などの名店で腕を磨いてきた生粋の料理人。そんな地曵氏が「本気で居酒屋をやったら」をテーマに「巴江茶寮」の名で開催したイベントは、瞬く間に予約が埋まり、「それまでのイベントの中でもトップクラスだった」と江川氏が語るほどの大成功を収めた。
その後、地曵氏は蒲田で独立し2022年に『和食巴』を開業していたが、「気の合う仲間とともに会社を成長させたい」という江川氏の思いに地曵氏が賛同し、『飯酒トモエ』の開業が実現することとなる。
敷居は下げずに、間口を広げる戦略
すでにファンも獲得していた『和食巴』をクローズし、江川氏と共に歩む選択をした理由について、地曵氏はこう説明してくれた。
「もともと2年くらいで移転するつもりでいたのと、僕も彼も家庭があって家族との時間も大事にしたいという思いや、気の合う人と一緒に仕事がしたいという価値観が同じでした。自分一人では売上の限界もあるし、思いきって誰かと一緒にやった方が、未来が楽しくなるのではないかと考えました」
『飯酒トモエ』の客単価は、8,000~10,000円。この価格帯を実現したのは地曵氏の料理の力によるものだが、そもそも独立前から沿線の飲食店で店長を務めてきた江川氏は、日吉のマーケットは「イケる」と勝算を持っていたという。
「日吉は、沿線のなかでも街にブランド力があり、富裕層が多い。都内で1~2万円の飲食を楽しむ層が住む一方、駅前にはチェーン店が多く、感度の高い和食の居酒屋があまりないと感じていましたが、自分はそのマーケットで勝負できる料理クオリティを持ち合わせてなかった。地曵君の料理があれば、間違いなく勝てると確信しました」(江川氏)
また、お客一組の単価が10万円を超えるような高級店を経験してきた地曵氏にとっても、幅広い客層に自分の料理を提供できることは魅力に映ったという。
「居酒屋のように、より多くの人に楽しんでもらえる店なら、自分の技術がより価値になるのではないか。それに、現代は料理の修業はいらないとも言われる時代ですが、自分はそうは思いません。若い世代に少しでも良いものを残してあげたいという思いもあり、スタッフの育成に関われる点も魅力だと感じました」
