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飲食店を開業する際のコンセプトづくり。出店者が押さえておきたい4つのポイント

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飲食店を開業しようと思ったら、まず考えなければいけないのはコンセプトだろう。ご存知だろうが、コンセプトとは店舗を開業するためのすべての基盤となる考え方のこと。どこで、だれに、なにを売るのかを明確にしながら、その方向性に沿った店づくりを行っていく。これをしっかりと考えずに行動をおこすと、ゴールがわからず迷走してしまう。コンセプトは開業における地図のようなものだ。

ここだけは押さえたい! コンセプトづくりのポイント

失敗しないコンセプトづくりのために、押さえておきたいポイントをいくつかご紹介しよう。

■自分のやりたいことや気持ちに忠実に
コンセプトは紙の上での店作りだ。言い換えれば、この時点では可能性は無限大。まずは自分がやりたいと思っていることや、アイデアを存分に書き出してみよう。この“やりたい”という気持ちが店づくりの大きな原動力となる。ここで自分の原動力がなにかをじっくり考えておきたい。

■売れるものを見極める
さまざまなアイデアを出したところで考えたいのは、それが売れるものかどうかということ。斬新なアイデアもニーズがなければ意味がないので、客観的な視点をもって慎重に考えておきたい。

■トレンドとのバランスを考える
毎年さまざまな食トレンドが話題になり、その話題性が人気を呼ぶ飲食店も数多くあるが、トレンドとは移ろいやすいもの。売れるものを考えるとついトレンドに寄りがちになるが、とらわれすぎず冷静にコンセプトを考えよう。

■人気店を研究する
繁盛店がなぜ繁盛しているのか、その理由は食材や味だけではないはずだ。さまざまな人気店の“なぜ?”を研究しその根幹をさぐることで、自店のコンセプトに生かしたい。『Foodist Media』でも人気店へのインタビューや人気のポイントを探る記事があるのでぜひ参考にしてほしい。

コアコンセプトを考える

以上のポイントをおさえて早速コンセプトを決めよう。コンセプトはコアコンセプトとサブコンセプトに分けて考えたい。

まずとりかかりたいのはコアコンセプト。コアコンセプトとは、これから開業する店舗でどんな“コト”を提供するかを考えること。飲食店にとって、美味しい料理を提供するのは当たり前ので、そこに他店とは違う付加価値が付くことによって話題性を生んだり、リピーターを増やしたりすることができるのだ。2010年代に入ってから、「“モノ”より“コト”の時代である」とよく言われるようになった。このコアコンセプトは重要になってくるのでしっかりと検討したいところだ。

「このお店に来るとこんな気持ちになれる」、「こんな体験ができる」、あるいは「こんなことが学べる」など、さまざまな“コト”が考えられるだろう。小規模経営の専門店が注目されているいま、“コト”のアイデアも多様化し細分化してきている。まずは自分がやりたいことや得意としていることから他店にはない個性を探り、そのうえで現実的なコアコンセプト作りを心がけたい。

コアコンセプトの具体化

コアコンセプトが決まったら、どのように実現させるかを考えたい。そのために必要なのがサブコンセプトだ。サブコンセプトは“コト”に対する“モノ”だと考えよう。こんな“コト”ができる店にするためにどんな“モノ”が必要かを具体的に考えていく。

サブコンセプトを決めるうえでまず考えたいのは以下の4項目だ。

■ターゲット
どのような人に来てもらいたいかを考えよう。その際、年齢や性別はもちろん、そのひとの家族構成や年収、趣味など、より具体的に考えることが望ましい。

■場所
どういう場所に出店すれば、ターゲットは足を運んでくれるのか? 考える際にはより具体的に、商業地なのかオフィス街なのか住宅街なのか、路面店なのかビル内のテナントなのか詳細まで考えよう。

■商品
何を売るか、あるいはどういったメニューを“売り”にするのか。ただ美味しいだけでなく、その商品のどこに価値があるのかを考えることが大切。

■価格
商品やメニューが具体化したら、その商品をいくらで売るのかを考えよう。このとき、単品ごとの試算ではなく、メニュー全体の価格バランスも忘れずに。例えばドリンクと食べ物のバランスや、昼のメニューと夜のメニューのバランスなど。また、その店が「通いやすい気さくな店」なのか「特別な日の店」なのかによっても価格は違ってくる。コアコンセプトに添って考えてみよう。

基本的なコンセプトが固まってきたら、店舗イメージや、接客・サービスの方法などを考え、より具体的なサブコンセプトを作ってほしい。

コンセプト作りで大切なのは、すべての項目に矛盾がないことだ。例えば、サブコンセプトの各項目内で、トレンドに敏感な若い世代をターゲットにしながら、商品価格が著しく高かったり、若者が足を運ばないような立地では意味がない。また、サブコンセプト作りに固執しすぎて肝心なコアコンセプトを見失っては元も子もない。コアとサブの相互的関係をこまめに確認しながら、満足がいくまで何度でも繰り返しブラッシュアップし、実現可能なコンセプトを決めよう。

■参考
翔泳社『自分でパパッとできる はじめての飲食店開業&経営』

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イシイミヤ

ライター: イシイミヤ

フリーライター。ファッション誌やカルチャー系のウェブサイトでライフスタイルに関わる記事を執筆。現在はフードカルチャーに焦点を絞り、その最旬事情から老舗の妙味まで多岐にわたり執筆中。週3でアンテナショップに通い、全国の郷土菓子と未知の食材の収集を日課にしている。ビールとコーヒーのトレンドに詳しい。