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坪月商59万円を売る『farm studio #203』。カウンター中華割烹で悪立地を克服

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中華のイメージと覆すスタイリッシュな内容。コンクリート打ちっぱなしの壁面と黒いカウンターによってモダンで落ち着きのある雰囲気を醸成している

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フードメニュー25品はお客の意表を突く料理の目白押し

そうした考えが中華業態にカウンター割烹の要素を採り入れるきっかけになったわけだが、特筆すべきはメニューの落とし込みにおいても既存の中華料理の枠に縛られない大胆な発想で商品をつくり込んでいることだ。

たとえば、看板メニューとして投入したのが、黒毛和牛の四川麻婆豆腐2,090円とヴィーガンサラダ1,540円。

山椒を強烈に効かせた麻婆豆腐には、濱田氏の故郷である徳島名産の阿波牛を使い、2種の豆板醤とラー油を自家製して品質を追求しているが、さらに冬季には白子、その他のシーズンにはシマチョウを具材に追加できるメニューを用意している。「中華料理で生の白子を使うことはほとんどありません。ただ、味わいが似た食材として羊の脳みそを用いた中華料理もありますから、実は相性がいいんです」と濱田氏は説明する。

看板メニューの黒毛和牛の四川麻婆豆腐2,090円とヴィーガンサラダ1,540円。いずれもテーブルオーダー率は50%を超える

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20種を超える野菜やフルーツを色鮮やかに盛り付けたヴィーガンサラダは、女性客の目を強く意識した商品だ。中華料理のエッセンスを盛り込むため、ドレッシングのオイルの香りを「葱」と「山椒」から選べるようにしていたが、2023年2月にはメニューをブラッシュアップ。「看板メニューの2品が山椒で被ることが気になっていました。広東料理ではレモングラスに風味が近い木姜油(ムージャンユ)をよく使用することから、オイルの香りをよりサラダと相性のよいレモングラスに切り替えました」(濱田氏)

ユニークな商品づくりは看板メニューだけにとどまらない。ビーツを合わせた甘酢に漬け込み、赤く色づけしたくらげ550円、阿波尾鶏のムネ肉、砂肝、レバーをピリ辛のソースで和えたよだれ鶏880円、上湯スープで炊いた粥に卵黄をトッピングしたTKG1,870円など、約25品を揃えたフードメニューにはお客の意表を突く商品が目白押しだ。

中華料理のオーダーパターンを踏まえたメニューカテゴリー

独自性の高い商品とともに『farm studio #203』のフードメニューで目を引くポイントがメニューカテゴリーだ。看板メニュー2品を含む「recommendation」3品、ご飯・麺メニューと蒸しパの「meal」7品、前菜や点心メニューを揃えた「snack」14品、そして「dessert」2品という構成になっている。

「これは中華料理のオーダーパターンを踏まえたカテゴリー分けなんです。お客さまのメニューに関する質問は3つのパターンに集約されます。『おすすめメニューはなにか』『締めはなにがあるか』『軽くつまめるメニューはなにか』ということ。その質問に答えたのが、recommendation、meal、snackというわけです」

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栗田利之

ライター: 栗田利之

フリーランスの記者として、15年以上にわたって外食経営誌の記事を執筆。大手、中堅の外食企業や話題の繁盛店などを取材してきた。埼玉県下を中心に店舗網を拡げている「ぎょうざの満洲」が贔屓の外食チェーン。