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新橋『スタンドバイミー』ヒットの裏に戦略あり。なぜ一流シェフの味を250円に!?

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営業中は、キッチン2人、ドリンク&洗い場1人、ホール3人の体制。煮込みやオーブン焼きなど加熱時間が長い料理も多いので、3~4時間かけて仕込みを行う

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映える「名物ドリンク」&本格的な「お通し」でドリンク比率を押し上げ

1品250円~1,280円のメニューは、新橋駅前という立地と、昨今の物価高騰の影響を考えると、安すぎると感じる価格設定だ。「ひと口おつまみは、基本は自家製で、かつ提供時間を短縮するためにも仕込みのウエイトは重くなります」と北山氏。当然、人件費もかさむが、「ひと口おつまみ」は盛り合わせも含めて複数皿の注文が多いことや、シェフの監修料理も注文する客が多いことから客単価は3,000~4,000円と一般的な立ち飲みよりも高単価を確保している。加えて、ドリンク比率も高いため、それが経営を成り立たせるポイントとなっている。

お酒は、一人客や女性客がオーダーしやすい内容を意識した品揃えで、グラスワインは赤・白に加え泡とオレンジワインを含む10種類を常時用意。さらに、「バイミーサワー」などオリジナルの「名物ドリンク」は、思わず写真に撮りたくなるようなグラスデザインも功を奏し、ワイン以上に売れる一番人気のドリンクとなっている。店長の猪瀬氏は「ワインだけでは原価率は高くなりますが、割り物系のドリンクが多く出ることで低減されています」と説明する。

ワインハイボールをイメージした「大人のすっきりファンタぶどう」530円(左)と、フレッシュオレンジや自家製シロップ入りの「バイミーサワー」580円(右)

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さらに、追加ドリンクの注文を巧みに誘うのが、季節替わりのお通しだ。夏はトウモロコシのムース、秋はパセリのパウンドケーキを添えた温かいきのこのポタージュなど、フランス料理のテクニックを活かした本格的な味わいの品を提供し、その後の注文につなげている。「当店は、ワインの注文比率も半数以上。料理が本格的なのでお酒とのマリアージュを楽しむお客様が多く、それが当店ならではの楽しみにつながっているようです」(猪瀬氏)

お通しは380円。写真は、温かいきのこのポタージュ。パセリのパウンドケーキを添えるひと手間で満足度の高い内容に

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笹木理恵

ライター: 笹木理恵

飲食業界専門誌の編集を経て独立。スイーツ・パンからフレンチ、ラーメンなどまで、食のあらゆるジャンルを担当。飲食専門誌を中心に、一般雑誌やWEB、書籍などで活動している。「All About」「Yahoo!ニュース個人」でも執筆中。 https://foodwriter-rie.com/