坪月商60万円と好発進の『虎ノ門 楽㐂』。2TAPSに学ぶ“商業施設出店”の兵法
客単価は7,000〜8,000円に設定。ハイパフォーマンスな料理とサービスで集客に成功
『下北六角』も「ミカン下北」という商業施設内にオープンしているとはいえ、路面店に性質は近く、縦型の商業ビルに入居するのは「虎ノ門ヒルズステーションタワー」が初めてとも言える。『虎ノ門 楽㐂』では“NEXT JAPAN”をテーマに、日本の居酒屋文化をマルコグループならではの感性でアップデートし、グローバルなビジネス拠点として世界中の人が集まる虎ノ門から発信していくことにした。
このコンセプトについて河内氏は「うちのお店で働いてくれている人は若い世代が多く、日本の古典的なものも彼らなりに解釈した上で見えているのではないかと思って。古典的なものを重んじるOLD JAPANではなく、日本の職人の文化をフィーチャーしつつ、スタイルは新しくした “NEXT JAPAN”で勝負しようということになりました。また、周辺には外資系ホテルも多く、大使館も多くあるため、海外からのお客さまや港区の方々がペルソナになることも踏まえています。海外の方は『和食』という日本語は知らなくても『寿司』や『居酒屋』という言葉は知っていて、居酒屋が日本の文化として受け入れられているので、そこはしっかりアピールしていきたいと思いました」とその背景について明かす。
画像を見る料理は、従来のお店と同じく季節の食材を使い丁寧に仕上げる定番の居酒屋料理や、和食をベースにしながらも、「一つ驚きをプラスした」と話す通り、オリジナリティのあるメニューとなっている。例えば「楽㐂酒菜盛り」は、その日の旬の食材で仕立てたつまみを一度に楽しめる5種盛り合わせで、訪れた日には、うどとアスパラの蕗味噌和えや金柑とフルーツトマトの白和え、生麩ブルーチーズなど洋のエッセンスも感じられた。
特筆すべきは、江戸前の寿司屋で修業した職人がカウンター前に立っていること。赤酢を使った江戸前だが、蛤の貝殻の上にシャリと蛤の天ぷらをトッピングしたり、本マグロに大分産のブランド卵の卵黄醤油漬けをのせたりとお客に嬉しい驚きを与えるものばかりだ。しかも海外の人でも食べやすいよう、醤油をつけなくてもそのまま味わえる寿司というのも面白い。
画像を見る料理は約40種類ほど用意し、価格は550〜3,800円で中心価格帯は1,500円程度だろうか。港区という場所柄「安すぎると受け入れてもらえない」と考え、フードの単価は従来の店より高くなっている。一方でコストをかけたハイパフォーマンスな料理に注力し、しっかりお客の心を掴んでいる様子だ。
ドリンクは日本酒にフォーカスし、クラシックな銘柄から次世代の造り手によるものまでラインアップ。燗酒などさまざまな飲み方を提案する。
また、岐阜『はっぱすたんど』、京都『一保堂茶舗』、沖縄の紅茶専門店『ティーファクトリー』など、全国のお茶屋から取り寄せたお茶を使ったカクテルやチューハイで、日本らしい新たなドリンクで魅せる。ビールはハートランドや赤星の中瓶が800円、酎ハイが650円、グラスワインが1,000円といったレンジだ。