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スパニッシュイタリアンで坪月商58万円! 学芸大学『カルボ』に学ぶ洋食居酒屋の作り方

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株式会社Visca代表の由利拓也氏(右奥)、根津直樹氏(中央)と『囲炉裏バル カルボ』のスタッフたち

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中目黒のスペイン料理店『Pablo(パブロ)』や、学芸大学のスパニッシュイタリアン『囲炉裏バル カルボ』などを運営する株式会社Visca。学芸大学の『囲炉裏バル カルボ』は洋食居酒屋という気さくな雰囲気と客単価5,000円程度ながら、坪月商58万円を売り上げるなど店作りのうまさが光る。Visca代表でありオーナーシェフの由利拓也氏に、お客に喜ばれる洋食居酒屋の作り方を聞いた。

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テーマは「友達がフラッと来られる店」。1号店の中目黒『パブロ』は坪月商70万円

レコールバンタン卒業後、中目黒のダイニングバー『モノポール』で学んだのちスペインへ渡り、バルセロナの一つ星レストラン『エルスカサルス』や『アルキミア』、三つ星レストラン『ラサルテ』などで4年ほど修業した経験を持つ由利氏。「国際パエリアコンクール」日本大会で2年連続準優勝、全日本タパス選手権でも優勝はじめ各賞を連続受賞している。そんな由利氏が独立して最初に開業したのが、2018年4月オープンの中目黒のスペイン料理店『パブロ』だ。

「自分の中でお店を展開する上でテーマにしているのが『友達がフラッと来られる場所』です。『パブロ』は自分がスペインで経験したことを日本の方にも体験してもらえるよう、メニューの半分は昔ながらのスペイン料理にしています。残り半分はモダンなスペイン料理、そしてほんの少しだけ自分がアレンジを加えた料理をラインナップさせました。ドリンクもワインなどのほか、スペインの食後酒も置くなど、現地らしさを反映させています」

店内9坪、テラス席1坪の計10坪に23席を配置し、現在客単価は約8,000円。オープンからこれまで売上は右肩上がりで、2024年3月には過去最高売上を記録するという好調ぶりだ。ディナー営業のほか土日祝はコースのみのランチ営業も行う。平日ディナーは1〜2回転、土日祝ディナーは2〜2.5回転しており月商は約650〜700万円、坪月商は約70万円にも上る。

“市民の台所”と呼ばれるスペインの市場をイメージし、現地から取り寄せたタイルをカウンターに貼り、食材を並べた『囲炉裏バル カルボ』

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学芸大学に『囲炉裏バル カルボ』をオープン

中目黒の『パブロ』の経営が安定し、次第に「自分たちがしたいことを実現できるお店を作りたい」と考えるようになった由利氏。「国際パエリアコンクール」や独立前の日本一周旅行も共にしたスタッフの上村氏とも「仕事終わりに立ち寄れる、パスタやレモンサワーを楽しめるようなお店が欲しいよね」と話していたという。

その後、以前より知り合いだった、福岡の名フレンチ『Restaurant Sola』などで研鑽を積んだ根津直樹シェフに声をかけた由利氏。一度は断られたものの、引き受けてもらうことができ2020年1月に『囲炉裏バル カルボ』が学芸大学に誕生した。

店名はスペイン語で「炭」を意味する「カルボン」に由来する。その名の通り、囲炉裏や薪火で調理した、スペインやイタリアなど各国の郷土料理とお酒が気軽に楽しめるお店だ。

カウンターの目の前で薪火焼きや藁焼きを行っており、ライブ感あふれる

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「日本で炭焼きというと囲炉裏で魚を焼くイメージですが、アルゼンチンでは牛を丸ごと焼きますし、スペインだと豚を焼く。素材は違えど、火を囲んで楽しく会話をしながら、お酒を飲む風景は一緒だなと思っていて。これってマンモスを狩って食べていた狩猟採集民の時代から続いている、人間の根源的な営みですから多くの人に受け入れられると思ったんです。スペインでは薪火料理がメジャーで、藁焼き料理もあるからそれらをメインにしようと思い、囲炉裏バルというコンセプトにしました」

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中森りほ

ライター: 中森りほ

グルメ系ウェブメディアの編集・ライターを経てフリーライターに。フードアナリストの資格を持ち、現在マガジンハウス『Hanako.tokyo』や徳間書店『食楽web』、ぐるなび『dressing』、日経『大人のレストランガイド』などで飲食店取材記事や食のエッセイを執筆中。