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怒涛の事業承継を経験した3代目代表! 「北大路」、「番屋」を運営する大東企業・北尾拓也代表の、ピンチを乗り切る心持ちとは?

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2024年01月10日

1949(昭和24)年に創業し、「個室会席 北大路」、「個室和食 東山」、「個室居酒屋 番屋」、「マルウシミート」など、人気ブランドを展開している大東企業(東京都千代田区)。現在、3代目代表取締役を務める北尾拓也氏は、歴史ある同社において、従来の日本食業界の常識に囚われない柔軟な思考で店舗経営、人材育成を進めている。今回のインタビューでは、その考えを伺った。

怒涛の事業承継を経験した3代目代表! 「北大路」、「番屋」を運営する大東企業・北尾拓也代表の、ピンチを乗り切る心持ちとは?

1971年生まれ。創業者の北尾滋次郎氏は祖父、2代目代表取締役の北尾訓一氏は父にあたる。自身は高校卒業後カプセル玩具を設置・販売する企業に就職するも、1996年に大東企業に入社。店長、マネージャー職を経て、2009年に代表取締役に就任した。

営業職を経験後、大東企業へ。入社後も持ち前の創意工夫で自身のキャリアを作っていく

―北尾社長自身の社会人キャリアは、営業職がスタートなのですね。

北尾氏:そうですね。カプセル玩具のルート営業をやっていました。もともと、大東企業は祖父が戦後に銀座で喫茶店を始めたことから始まった会社です。その後、父も後を継いで社長になっている。言ってみれば商売人一家というわけです。なので、就職するにも毎月決まったサラリーをもらうより、自分の力で業績を上げれば返ってくる方がワクワクする性質で。けれども、こういったカプセル玩具の業界は流行り廃りが激しく、徐々に仕事がうまくいかなくなってきた。そんなとき、ちょうど新宿の「番屋」がスタッフを募集していて。いちど、安定した月収を得られるところで働いてみようと思って、1996年に大東企業に入社しました。

―入社後は、どのような役職を?

北尾氏:最初は店舗スタッフとして働いていました。もともと飲食の経験は学生時代にアルバイトをしていた程度だったので、右も左もわからず。一緒に怒られながら働く、みたいな感じで。働く時間も長いし、友人とも会えないし、正直しんどいな、と思っていました。そんなとき、当時会社で運営していた洋食居酒屋があって、そこの店長が辞めるという話が耳に入ってきた。赤字店舗だったから誰もやりたがらない。で、考えたんです。「状況を打破するには、偉くなるか、辞めるかのどちらかだ」と。どうせなら、ちゃんとキャリアを積んで自由を手に入れた方がいい、そう考えて、「能力はないですが、店長をやらせてもらえませんか?」とお願いして、店長として配属された。これは正直、自分の家族が経営している会社だから、「赤字店舗がある」という情報が入ってきたのも功を奏したと思います。

―店長になったはいいけれど、赤字スタートというのもハードルが高いですね。

北尾氏:ところが、意外とうまく行って。ちょっと小洒落て若者にウケの良さそうな商品開発に力を入れていたら、とんとん拍子で黒字化していったんです。これは、学生時代にカフェでアルバイトしていた経験が役に立ったと思います。その後、その店舗は「メルカート」というイタリアン居酒屋に業態変更。その後、ビルの建て替えに伴ってウェディングレストランも手がけました。当時はレストランウェディングが流行していて、すごく勢いがあったんですよ。流行りものに乗るのが好きだった、という面もあるんですけど、それ以上に何が何でも結果を出したかった。そういう面でいうと、イタリアン居酒屋からウェディングレストランまでしっかり結果を出せていたと思います。で、その後、数字が低迷しがちだった日本料理業態に戻ることになるんです。

―こちらは、また雰囲気が違っていた?

北尾氏:そうですね。当時、弊社は良くも悪くも年功序列が色濃く残っている会社だったので、私のような若造の企画が通りにくい環境だったんです。そんな中、私がイタリアン居酒屋やウェディングレストランといった従来にない企画を通して結果を出せていたのは、もともと誰もやりたがらない赤字店舗を引き継いだから、という背景があったと思います。誰もやらない、つまり先輩がいない、ということも織り込み済みで店長候補に手を挙げたのも本音だったりして(笑)。
ところが、いよいよ先輩方がひしめき合う日本料理業態に戻ることになるわけです。それが「北大路」だったんですね。日本料理自体の経験はなかったけれど、今まで店長として結果を出してきた経験があったので、経費の節減や新店舗の立て直し、商品開発など、マネジメント面で数字を上げることができました。もちろん、板前さんには気を遣うし、向こうも気を遣ってくるし。大変でしたけどね。
気が付けば、店長という枠を外れて「部長」という立場に。そんな中、2008年に代表の父が亡くなってしまって、私が代表取締役になった。というわけです。

突然の社長就任。ピンチが会社にもたらしたものとは

怒涛の事業承継を経験した3代目代表! 「北大路」、「番屋」を運営する大東企業・北尾拓也代表の、ピンチを乗り切る心持ちとは?

―予期せぬ社長就任、ということだったと思いますが、苦労されたことなどはありますか?

北尾氏:この年はリーマンショックが起きた頃で、お店自体も会社自体も売上がどっと下がってしまっていた。特に、「北大路」なんかは接待ブランドなので大打撃を受けて、会社全体として売り上げは3分の1ほどに落ち込んでいたのではないかな。それ自体も大変でしたし、私自身、管理職の経験がほとんどない。ウチは中間管理職というものがない会社だったので、私が部長という役職にいたときもほとんど現場で実務をしていたんですよ。「自分でやった方が早い!」という感じで。宴会なんかガンガン回したりして。
けれども、いよいよそういうわけにはいかない。でも、自分では答えがわからない。そんなわけで、他の会社の社長さんにやり方を尋ねて回りました。「これこれこういう風に困っている。どうしたらいいですか」って。意外と出し惜しみせずに教えてくれる。そうして、課題がでてくるたびに教えを乞うて、クリアしていきましたね。

―危機的状況というと、コロナ禍が記憶に新しいですが、こちらはいかがでしたか?

北尾氏:これもまた、会社の売上的には厳しくなりましたし、なにより先が見えなかった。そうは言っても、結論としては「売上が悪ければ、良くするしかない」という話に至るわけです。
売上が下がったことで時間ができたので、商品開発や人材育成など、体制の立て直しに力を入れました。特に、広告媒体や予約システムをインターネットにシフトしたことで、お客さまの集客導線をつくることができたのが大きいです。「北大路」なんかは、検索してヒットした人が多くて、かなりハマったと思います。 また、これはコロナ禍によってプラスの面なのですが、社内の雰囲気が、変化に対して前向きになったと思います。例えば、デリバリーを始めたり、出張板前を始めたり、従来だったらやらなかったような新しい試みに対してみんな協力的になってくれた。やはり、日本料理の業界は古風でお固いですからね。板前さんも照れくさくて出張で人前に出るなんてやりたくないんですよ。けれども、コロナ禍で危機感を持ったのか、進んでやってくれるようになった。最近では「YouTubeで動画を出そう!」なんて言い出してるんですよ(笑)。けがの功名ではないですが、これは大きな変化だと思います。

今後は海外展開と人材育成に注力。M&Aにも興味を示す

怒涛の事業承継を経験した3代目代表! 「北大路」、「番屋」を運営する大東企業・北尾拓也代表の、ピンチを乗り切る心持ちとは?

―今後、どのような展開を考えておりますか?

北尾氏:海外展開と人材育成。この2点ですね。今、バンコクに1店舗出店しているのですが、7年間運営している中で、昨年が一番良い業績を上げまして。やはり、海外での日本食のニーズの高まりは無視できません。直近では、向こう3年で海外に3店舗出店することを考えています。
また、そのためにも人材育成も重要です。日本食業界の人材というと、時間をかけて育成をするか、高所得化して人材を集めるか、二極化すると思うんです。けれども、高所得化でキャリアのある人を採用していくにも、限界がある。おのずと職人の高齢化に拍車がかかって、最終的には人材の新陳代謝ができなくなってしまう。
ウチの会社は、出店するとき「今後10年は愛される店づくり」をテーマにしている。
だから、今は時間とコストをかけてでも育成に力を入れていくことにして、教育のカリキュラムを作っています。

―では最後に、M&Aについても考えを聞かせてください。

北尾氏:私自身、自分が意図せずに事業承継をすることになったわけで、当時は苦しいことがあっても「やるしかない」と言ってひたすら頑張ってきました。だから、実際に戦略的にM&Aをしている企業にはちょっと憧れがありますね。例えば、売れるラーメンブランドを作って、それを売るとか。ブームの兆しを見つけて、ヒットするブランドをつくるセンス。半ば、アーティストみたいな、すごくクリエイティブだと思います。私自身、具体的にアイデアがあるわけではないのですが、そういったことも考えていきたいですね。

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