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店舗を売却する際にM&Aを検討しよう。売り手が知りたい基本的な流れや注意点とは?
2019年03月29日
飲食店を手放したい場合に、M&Aという選択肢があります。M&Aを行うことで、自店をより有利な条件で売却をすることもできるでしょう。近年は飲食業界のM&Aが活発化していることもあり、個人店でも検討している方が多いのではないでしょうか。そこで今回は、特に店舗売却を考えている方が知っておきたいM&Aの流れや注意点をご紹介します。
M&Aを行うための事前準備とは?
M&Aを実行するにはまず現在の状況を把握し、どのような方向性で売却したいのか決める必要があります。
事業概要等の整理
現在の営業状況がわかる資料を整理してみましょう。整理する資料には、例えば以下のようなものが挙げられます。
- 店舗の収支がわかる資料
- 月次の損益計算書(できれば3年分)
- 事業所(店舗)の賃貸借契約書
- 譲渡対象店舗の賃貸条件がわかる資料
- 従業員名簿:社員数、アルバイト・パート数、勤続年数、雇用条件
これらを改めて見つめ直すことで店の現状を理解できるほか、売却する際に買い手が店の価値を判断しやすくなります。
売却スキームの検討
売却スキームとはすなわち、店舗の売却方法のことです。代表的なものは主に3つ、自社株式を一部または全部引き継ぐ株式譲渡、自社事業を全部または一部引き継ぐ事業譲渡、そして店内設備などの所有物を売却する造作譲渡があります。ほかにも事業提携など様々な進め方があるため、専門家に相談しつつ自店に合ったものを選択しましょう。
売却希望額の設定
売却スキームが決まったら、次は売却希望価格を設定します。売却スキームによって事業価値の算出方法が異なるため、それぞれに合わせて設定価格を検討しましょう。例えば株式譲渡の場合は現状の資産や負債、今後の収益力などを加味することで会社全体の評価を行います。
具体的な数字を提示すると商談はスムーズに進みやすいですが、移行する資産や負債、店舗ごとの収益力などを精査する必要があるため、こちらも専門家に相談しつつ話を進めていくようにしましょう。
売却先はどう探す? 譲渡先の見つけ方
ある程度条件や資料がまとまったら、次はM&Aの買い手を探します。知人などで譲り先を見つけられることもあるかもしれませんが、すぐに適切な譲渡先を見つけるのはなかなか難しいでしょう。
そこでおすすめなのが、M&Aの仲介会社のサービスを受けることです。条件に合う買い手にたどり着きやすいほか、専門家のアドバイスを受けられる、直接交渉せずに済むなどメリットも多くあります。特に飲食業界のM&Aを専門としているところであれば、譲渡先をより効率的に見つけることができるでしょう。
契約締結までの流れと注意点
買い手が見つかれば、後は条件をすり合わせつつ契約を進めていきます。具体的には、下記のステップが考えられます。
1. 条件をすり合わせる
納得のいくM&Aを行うためにも、条件のすり合わせは積極的に行いましょう。こちらの希望の条件だけでなく、営業状況(売上)や従業員の雇用条件、店舗の賃貸借契約の条件などの買い手にとって知りたい情報をしっかりと話せるようにしましょう。
2. 基本合意契約を行う
ある程度の条件が決まれば、「基本合意契約」を締結します。このときに譲渡資産や売買条件、引継ぎ方法などの契約内容に合意できるかどうかを確認します。契約内容は条件によって変わりますが、有効期限を設定することが一般的です。
また買い手側から「意向表明書」と呼ばれる書面を提出してもらうのも良いでしょう。買い手の希望条件がまとめられているために意向を知ることができ、より納得して譲渡を進められるようになります。
この契約後に「買収監査」が行われます。買収監査とは、買い手が買収する企業や店舗を再度調査し、情報が正確であるかを確認する作業のこと。これが終わると正式に最終契約が進みます。
3. 最終契約・引継ぎをする
基本合意契約をして買収監査が完了すれば、いよいよ最終契約です。契約後は譲渡代金を受け取り、受け渡しの引継ぎを行います。事業譲渡や造作譲渡の場合は、賃貸契約の引継ぎも行う必要もあるでしょう。
また、従業員への告知もこの段階で行います。特に事業譲渡の場合、従業員は売り手側の企業を退職した後の再雇用となります。従業員の将来に関わるため買い手側としっかり話し合い、納得できるような引き渡しを行いましょう。
M&Aは譲渡先探しや条件のすり合わせなど難しい点も多くありますが、専門家に相談しながら行うことでスムーズに進めることができます。店舗売却を考えているのであれば、一度M&Aを検討してみてはいかがでしょうか。
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