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新型コロナ5類移行後の飲食店の様子は? 根室食堂、立ちのみ竜馬、グローバルダイニング…

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『根室食堂』経営者兼店主の平山徳治氏

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新型コロナウイルス感染症の感染症法上の取り扱いが季節性インフルエンザ等と同等の「5類」に移行となり、感染対策としてのマスク着用や検温の実施などは、個人の判断に委ねられることになった。こうした過程で、飲食店を取り巻く状況はどのように変化したのか。コロナ禍を乗り越えた店舗の生の声をお届けする。

例年客足の鈍い時期ながら、5類移行後は絶好調の『根室食堂』

新橋駅銀座口から徒歩2〜3分。5階建てビルの全フロアで営業する『根室食堂』は、北海道・根室直送の新鮮な海産物が売りの大人気居酒屋で、昼はランチの営業も行っている。コロナ禍ではテレビや新聞などのメディアから度々取材を受け、飲食店経営者の「生の声」を訴えてきた店としても知られている。

コロナ禍前は、曜日を問わず外国人観光客で賑わっていたと店主の平山徳治氏は振り返る。コロナ禍直前の2020年元日には中国からの観光客が多数来店し、店舗の1階から4階までお客で一杯になったこともあったという。

しかし、コロナ禍に突入すると売上は低迷。酒類提供自粛期間中は通常時の1割以下にまで落ち込んだ。ビル1棟まるごと借りている『根室食堂』にとって、家賃の負担は他の飲食店以上に重くのしかかった。

「実質4店舗分の家賃が発生しているにもかかわらず、休業や時短要請への協力金は当然『一つの店舗』として給付されるため、特に固定費用の資金繰りには苦労しました。それでも、協力金があるうちはまだよかったですね。給付が終了してから現在に至る数か月は本当に大変でした」(平山氏、以下同)

現在も各階ごとに消毒液を置き、換気をするなど最低限の感染対策は継続している『根室食堂』。気になる客足だが、コロナ禍以前を上回る好調ぶりだという。

昼時はランチ目当ての客が集まる。刺身盛り合わせ定食1,390円(税込)

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『根室食堂』の総席数は80席。そのうち、予約客に割り当てる席数は50席、残りはウォークインの客を受け入れるために確保するという体制だ。GW期間中は予約席がすべて埋まったという。

「コロナ禍前まで、5月は客足が鈍い時期でしたが、今は大賑わいです。予約の内容も、新年会のような規模の団体が多いですね。今日は金曜日ですが、夕方から予約で埋まっています」

週末も客足は伸びているそうだ。

「地方からいらした方が銀座あたりでショッピングを楽しんだ帰りなどに、食事目的で新橋へ流れてくるのだろうと見ています。近場ですし、比較的リーズナブルな飲食店が多いからでしょう」

このように客足は好調だが、一度コロナ禍を経験しただけに、今後の見通しは不透明だと平山氏は語る。そうした中でお客からの温かい言葉には大いに励まされているという。

「メディアに数多く取り上げられたおかげで、『根室食堂』がコロナ禍で大変だったことをご存じのお客様もいらっしゃるようになりました。そのためか、会計の際には『頑張って』『店を続けてくれてありがとう』といった励ましの言葉をいただくことが本当に多いですね」

その名の通り、根室直送の新鮮な海産物を提供している

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平山氏いわく、最近では車を停め、店頭で記念写真を撮る人もチラホラ見かけるのだとか。ビルのフロアすべてが居酒屋である『根室食堂』は、新橋駅前のランドマーク的存在でもあるようだ。コロナ禍によって同店は大きな損失を被った一方、客からの支持が強まり、幅広い層に『根室食堂』という店名が浸透したことは間違いない。

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タシロアキラ

ライター: タシロアキラ

大学の教育・研究の記事を中心に20年ほど紙媒体のライターとしてキャリアを重ねる。フリー転身を機に、趣味である食、スポーツ、ガジェットのジャンルでWEB記事執筆にも進出中!