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渋谷『有昌』10年越しの復活にファン歓喜。2代目が目指す「町中華の新しいかたち」

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渋谷・代官山『有昌 ASTAGE』軒先にて、2代目店主橋本和雄氏。看板は並木橋に店を構えていたときに使っていたもの。再開を誓い、大切に保管していた

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芸能人にもファンが多かった、渋谷・並木橋の町中華『有昌』。2013年に突然閉店した同店が、今年の夏、代官山に復活したという噂はまたたく間に広がった。2代目店主の橋本和雄氏に、再開までの経緯とともに、10年という時を経てもなおファンが絶えない『有昌』の魅力について聞いた。

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「必ず戻ってきます」渋谷・並木橋の常連客への約束

2013月3月31日、軒先に閉店を告げる張り紙を残し、渋谷・並木橋の名店『有昌』は突然に閉店した。諸般の事情で店を畳むことが決まってから、残された営業日はわずか3日。常連客へ閉店の挨拶をする十分な時間が取れないまま、42年の歴史に幕を閉じた。

「『有昌』を愛してくれたお客さんへ、『必ず戻ってきます』と張り紙を残すことが精一杯でした。その誓いを胸に、こうして店を復活させることができました。10年もお待たせしてしまいましたけど」(2代目店主・橋本和雄氏、以下同)

再開に時間がかかってしまった主な理由は、渋谷という人気エリアでの物件探しが難航を極めたことにある。

「物件サイトをくまなく見て、神田や中野などの物件も見に行ったんですよ。でも、しっくりこなかった。ほかのエリアを見れば見るほど、渋谷への思い入れが強くなりました」

『有昌ASTAGE』店内はカウンター7席と、4名テーブルが1卓。築42年ほどで清潔感のある内装

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そうしているうちに渋谷・神泉で飲食店を営む友人から、ランチタイムに『有昌』の味を提供しないかという話が持ちかかった。突然の閉店からおよそ8年、週4日のランチタイム限定の間借り営業として復活すると、かつてのファンの間ですぐに話題となった。

始まりは軒先の看板に気がついた常連客。それがSNSで拡散され、ついにテレビ番組『出没!アド街ック天国』で取り上げられると、閉店の挨拶や復活の連絡をすることができなかった当時の常連客の耳にも届いた。

提供するメニューは『しいたけソバ』と『塩スープソバ』の2品のみ。並木橋からは少し距離のある神泉の路地裏で、限られた時間での営業だったが、それでも当時の味を忘れられないファンが続々と詰めかけた。

そして2023年9月、並木橋から線路をまたいだ代官山エリアに『有昌 ASTAGE』をオープン。正式に『有昌』の第二章が幕を開けた。

「ここは和食系ダイニングの居抜き物件だったんですが、代官山駅、渋谷駅、恵比寿駅の中間で、一般的に飲食店をやるには難しい場所だと思います。でもずっと渋谷でやってきた『有昌』なら、この場所で勝負できる。『有昌』で無理なら、この場所でラーメン屋は無理でしょうね」

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松本ゆりか

ライター: 松本ゆりか

東京でWebマーケターを経験した後、シンガポールへ渡りライフスタイル誌やWebメディア制作に携わる。帰国後、出版社勤務を経てフリーライターに。主に中小規模ビジネスや働き方に関する取材・執筆を担当。私生活ではひとり旅とはしご酒が好きなごきげんな人。