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学芸大学『警視鳥』、空中階でも1日80人を集客。「焼き鳥×オシャレ空間」の意外性で大ヒット

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前列左が泉氏。常時7人のスタッフで営業中。少し高めに設置されたオープンキッチンゆえ、厨房からお客の様子を確認しやすいのはもちろん、お客も調理のライブ感を楽しめる

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東急東横線の学芸大学駅周辺は、住宅街でありながら良店が立ち並ぶグルメ激戦区として、いま最も注目を集めるエリアの一つだ。そんな学芸大学で2022年10月にオープンした居酒屋『警視鳥(けいしちょう)』は、店名のインパクトはもちろん、居酒屋とは思えないスタイリッシュな内装と目を引くメニューで人気を集め、毎晩多くの客でにぎわっている。周囲にライバル店も多い中、繁盛店としての地位を確立できた理由を取材した。

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始まりは1号店『鳥せん』の開業から。最初は苦戦も、朝5時までの営業が転機に

入口の看板は控えめで、外から2階を見上げてもそう目立たない店構え。それでも18時を過ぎると、会社員やカップルが次々に階段を上がり、席を埋めていく。「居酒屋っぽくない居酒屋」をコンセプトに、Nowhereの泉優祐代表が手掛ける焼き鳥居酒屋『警視鳥』は、平日は80人以上、週末は100人以上が来店する繁盛店だ。

縫製業界から飲食業に転身し、三軒茶屋の焼き鳥店で働いていた泉氏は、「いつか独立したい」と思いながら経験を重ねてきた。2016年に一念発起し、別の焼き鳥店で働いていた同級生と一緒に、1号店となる焼き鳥店『鳥せん』開業を決意。あちこち物件を探す中で出合ったのが、学芸大学駅前にある雑居ビルの3階で、広さは約7坪だった。駅には近いが路面店ではないため、お客が1人の日もあるなど、最初は集客に苦労したという。

「でも家賃は安いので、赤字が出なければ何とかなると思っていました。まずはお客様に来店してもらうことを一番に考え、朝5時まで店を開けることにしたんです」

結果、この決断が転機となる。近隣の飲食店のスタッフや店主たちが、自分の店を閉めたあとで食事に来てくれるようになったのだ。有名店のオーナーがお客を紹介してくれたこともあり、飲食店関係者だけでなく一般のお客も増えていった。同時に気軽に足を運んでもらえるよう、可能な限り料理や串の価格を下げ、ボリュームを増やすなど、お得感を生む努力も重ねた。また、オープン当時はシンプルなモルタルの内装がまだ珍しく、一つの特徴に。気が付けば不利に感じていた3階の立地も「隠れ家風」と支持されるようになり、いつしか「安くて味もいい焼き鳥店」といわれるまでに成長した。

「学芸大学駅周辺の飲食店関係者は、皆、顔見知りで仲がいい。お客さんも町の人も、いい人ばかり。東横線沿線のステータスを感じるほどです」と話す泉氏。経営難のピンチを救ってくれたのは、この町で商売をする仲間だったと深い感謝の気持ちを口にする。そんな『鳥せん』の経営はその後も順調で、次第に満席のためお客の入店を断ることも増えてきた。泉氏は、もっと広いスペースでの2号店出店を考えるようになる。

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門田聖子

ライター: 門田聖子

広告代理店勤務を経て、ライター&フォトグラファーとして活動。 新聞、雑誌、WEBサイト、広報紙、メルマガ、ラジオ原稿、キャッチコピー、校正など実績多数。 小説、写真の受賞歴あり。FP技能士2級。ただいま日本百名山挑戦中! https://mondenseiko.net/