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月商700万円『酒場アカボシ』が2号店を開業。三軒茶屋で挑む「長く愛される店づくり」

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コの字カウンターとキッチンの間に通路を作ることで、スタッフがサーブしやすいだけでなく、お客との間に適切な距離感を生んでいる

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「料理の質」「値頃感」「雰囲気」の総合力で勝負する三軒茶屋『赤星』

そんなplowが三軒茶屋駅から徒歩4分、トレンドと下町情緒が同居し食に対する感度の高い人々が集まるエリアに『酒場アカボシ』の2号店『赤星』をオープンした。

このタイミングで居酒屋激戦区である三軒茶屋に出店した経緯について「三軒茶屋は10年以上住んでいたことがあって、エイジアキッチン時代には三軒茶屋の『氣ウラ』で働いていたこともあり親しみを持っていました。また、以前からもう1店舗『酒場アカボシ』ブランドを展開したいと思っていて、この街にマッチすると感じたんです」と久我氏。株式会社上昇気流が提供する独立・開店パッケージを利用し、茶沢通り沿いという視認性の高い場所に店を構えることができた。

入口の暖簾をくぐると、1号店同様大きなコの字カウンターが現れ、中央にキッチン、そして奥にはテーブル席が目に入る。内装を手がけたのはデザイン事務所「A-SWITCH」だ。担々麺屋の居抜き物件だが、テーブルなど木の温かみを活かしつつ、古い喫茶店のような味わいのステンドグラスをあしらい、カウンター内の動線を調整するなど少し手を加え、三軒茶屋の街に馴染むノスタルジックで心地よい空間に仕立てた。グラスなどにあしらわれた店名ロゴは、『タートル』同様「NEWoMan新宿」なども手掛ける新進気鋭のアーティスト・AZUSA IIDA氏によるものだ。

『タートル』に比べると色味の数も少なく、落ち着いた雰囲気の『赤星』のデザインについて「渋谷は人が集まる場所ですし、明るい気持ちで帰って欲しいという思いでカラフルな壁を設けたりしました。三軒茶屋はどちらかというと『おかえりなさい』という雰囲気でお客様を迎えたい。日常の中での使いやすさを追求した店づくりにしています」と久我氏は明かす。

左手前から時計回りで「焼きポテトサラダ」(660円)、「エビパントースト」(858円)、「鶏の唐揚」(528円)、「肉詰めPマン」(638円)、「茄子オランダ煮」(638円)、「豚足」(茹で、1個275円)、「パク鶏―(パクチー)」(660円)、「肉豆腐」(748円)

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『赤星』ではあえてターゲット層を定めていない。「今日どこで飲もうか?」という時に「とりあえず『赤星』に行こうか」と選択肢に上がるような、気軽に足を運べる店を目指した。

料理は茹で・揚げ・冷やの3種類から選べる『酒場アカボシ』名物の「豚足」(1個275円)をはじめ、大衆酒場の定番メニューが揃う。カリッとジューシーなまん丸の「鶏の唐揚」(528円)や生卵をつけてすき焼き風に食べる「肉豆腐」(748円)、茄子の揚げ浸しの「茄子オランダ煮」(638円)や、エビのすり身とガーリックを塗った「エビパントースト」(858円)など、気取らない酒場料理にひと手間加えた“ひとつ上”のクオリティに仕上げている。

「長く愛されている酒場を見てまわって分析した結果、派手さよりも気取らない美味しい料理を手に取りやすい価格で提供されていると気づいて。我々もこのお店を長く続けたいという思いから、今回このようなメニューのラインナップ、価格設定にしました」と久我氏は語る。

またコロナ禍を経て、深夜営業を行う飲食店が減ってしまったことにも着目し、『赤星』では深夜2時まで営業を行う。「2軒目で飲もうと思っても、お店がやっていないことも多く、そういう方たちの需要も取り込みたいと考えました。また、再び飲食業界を盛り上げたいという気持ちもあります」と胸の内を明かす。

左端の「綱島サワー」は青紫蘇の葉のピクルスを使用した名物ドリンク

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ドリンクは店名にも冠された「赤星ラガービール」(660円)をはじめ、「酎ハイ」(440円)、「日本酒」(650円〜)、「ホッピーセット」(473円)、「焼酎」(660円〜)など、1,000円以内に抑えてある。

じつは同店、生ビールを置いていない。これは「カウンター席で瓶ビールを注ぎ合うコミュニケーションを生み出したい」という久我氏の思いによるものだ。また瓶ビールであれば注文を受けたらすぐに提供も可能で、スタッフが人数分の生ビールを注いだり、サーバーの手入れを行ったりする手間も省けるというメリットもある。

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中森りほ

ライター: 中森りほ

グルメ系ウェブメディアの編集・ライターを経てフリーライターに。フードアナリストの資格を持ち、現在マガジンハウス『Hanako.tokyo』や徳間書店『食楽web』、ぐるなび『dressing』、日経『大人のレストランガイド』などで飲食店取材記事や食のエッセイを執筆中。