飲食店ドットコムのサービス

渋谷『テンキ』、オープン1年で超繁盛店に成長。姉妹店『KAMERA』と共通するヒットの法則

LINEで送る
Pocket
follow us in feedly

天ぷらと白ワイン『テンキ』の亀谷剛シェフ(右)と中澤篤史店長(左)

画像を見る

渋谷・桜丘町でイノベーティブな天ぷらが楽しめると、食通が噂する繁盛店がある。天ぷらと白ワインの専門店『テンキ』だ。渋谷百軒店商店街に店を構える、焼売とウーロンハイの立ち飲みネオ居酒屋『KAMERA』の姉妹店として、2023年3月にオープンした。

【注目記事】『渋谷 半地下酒場』24坪で月商1,500万円。「飲食店は、物件ありき」の真意を聞く

狙いは変化や変革の少ない定番料理

「『KAMERA』と『テンキ』、両店舗に共通するポイントは『定番料理を新しい手法や素材を使ってアップデートする』という発想です」。そう語るのはオーナーの目良慶太氏だ。

日本人に馴染み深い定番料理なら、一時的なブームではなく普遍的な人気が期待できる。また伝統の意識が強く固定概念を払拭しにくい料理だからこそ、イノベーティブに昇華させたとき、ほかでは食べられない差別化が図れると予想していた。こうした発想から『テンキ』では天ぷらをアップデートし、白のナチュラルワインのマリアージュで提案している。

「料理をアップデートするにあたり、まずは既存の料理を要素分解します。今回の天ぷらでいうと、具材・衣・揚げ油・味付け・提供方法という5つの要素に分けています。その要素別に突き詰めると、一般的な天ぷら専門店では、衣は1種類で、味付けは天つゆか天然塩。箸で食べるスタイルばかりであることに気づきます。こうした固定概念にアレンジを加えていくのです。具材に合わせて衣や味付けを変えられないか、提供方法を変えて新しい天ぷらのスタイルを提案できないか……といった検討を行いながら料理をアップデートしています」(目良氏)

『テンキ』が目指すのは「記憶に残る店」

ともにメニュー開発に携わるのは、シェフの亀谷剛氏である。亀谷氏はオーナーシェフとして三軒茶屋の『Bistro Rigole』でミシュラン・ビブグルマンを獲得したのち、『KAMERA』に続き『テンキ』でも腕を振るっている。

「僕は長くフランス料理をやってきたので、メニュー開発においてもフランス料理の技法がベースにあります」(亀谷氏)

同店のスペシャリテ「えびの天ぷら(700円/2人前から)」

画像を見る

たとえば同店のスペシャリテである「えびの天ぷら」は、世界中で食べられているえびのフリットを参考に作られた一品だという。本体はえび一尾をココナッツ風味のえびのつみれで包み込み、衣をつけて揚げている。使われているソースは2種類で、1つ目は天ぷらの中に仕込まれたアメリケーヌソース。小籠包のように、噛んだ瞬間にソースが溢れ出る驚きを演出している。2つ目は下に敷いた特製のソース。天ぷらに合うようライトに仕上げたオランデーズソースにさまざまなハーブで風味づけをし、キレのある口当たりと奥行きのある味わいに仕上げている。

Pocket
follow us in feedly
飲食店ドットコム通信のメール購読はこちらから(会員登録/無料)
飲食店ドットコム ジャーナルの新着記事をお知らせします(毎週3回配信)
松本ゆりか

ライター: 松本ゆりか

東京でWebマーケターを経験した後、シンガポールへ渡りライフスタイル誌やWebメディア制作に携わる。帰国後、出版社勤務を経てフリーライターに。主に中小規模ビジネスや働き方に関する取材・執筆を担当。私生活ではひとり旅とはしご酒が好きなごきげんな人。