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坪月商140万円の『立呑み 鉄砲玉』が自由が丘に新業態。店主に学ぶ“立呑み”戦略

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モルタルと木目を基調にした温かみのある雰囲気で、誰でも足を運びやすくデザインした『立吞み中華 起率礼』

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2.8坪で月商400万円の『立呑み 鉄砲玉』。毎日来て毎日飲める店づくりを徹底

メニュー開発については「売れる味、刺さる味が重要」と正木氏。「専門的すぎて伝わらない料理では意味がない。お店にいらっしゃる方は玄人ではく、いわゆる素人の方が多いと思いますので、わかりやすくうまくて美味しい味を意識しています。特に『立呑み 鉄砲玉』の場合は『この魚介をどう調理したら素材の美味しさを引き出せるか』という観点で、引き算の調理を意識していて、ストレートな料理が多いですね」と明かす。

アルコールは酎ハイの継ぎ足しや、ティーバッグで飲めるお茶割りもあり、たくさん飲む人にも優しいシステムを設け、毎日来て毎日飲めるお店を目指した。お店の作りやファサードも昭和っぽさを出し、オープン後1年間はSNSを一切やらないようにして、若い人だけでなく年配の方でも足を運びやすい雰囲気作りに努めたという。

その結果2.8坪、月家賃21万円、スタンディング12席で当初は月の売上が150〜160万円だったというが、現在では月商400万円で、いまだに毎月売上を更新しているというから驚愕だ。リピート客も7割と高く、週3回ほど通う常連客も多いという。

『立吞み中華 起率礼』の料理。右手前から時計回りで「熟成麻婆豆腐」(890円)、「名物 よだれ鶏」(690円)、「汁なし坦々刀削麺」(990円)、「白和え」(590円)、「煮豚(黒酢味)」(790円)、「ハムユイ炒飯」(990円)

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2023年12月には自由が丘に系列店『立吞み中華 起率礼』をオープン

2023年12月19日に自由が丘駅から徒歩5分ほどの場所にオープンした新業態『立吞み中華 起率礼』も、本格的な広東料理をそのまま提供するのではなく、手作りのラー油など本格的な調味料を使った食べやすい味わいを追求している。

「中華というと本格的な中華か街中華のどちらかが多いですし、両方とも飲酒というより食事のイメージが先行しています。もう少しお酒も楽しめる中国割烹のカジュアルなイメージのお店ができないかと昔から考えていたんです。大阪には北浜の『ヨコボリ』のようなお酒も楽しめる小皿中華のお店があって、東京にもあったらいいと思っていて。そんなときに去年の5月くらいに紹介してもらったのが井上さんで、ぜひ一緒にやろうということになりました」

料理は1,000円以下と手が届きやすい価格で、毎日来ても飽きないよう日替わりになっている

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料理長として迎えた井上史子氏は、『ザ・リッツ・カールトン大阪』の中国料理『香桃』を皮切りに『ウェスティンホテル東京』の広東料理『龍天門』、広尾の『中華香彩 JASMINE』などで合計8年間修業した一流の料理人だ。

しっとり仕上げた総州古白鶏に、数種類の香辛料で香り付けした自家製辣油と甘辛いタレを絡めた「名物よだれ鶏」をはじめ、3年熟成ピーシェン豆板醤をブレンドしたコク深い「熟成麻婆豆腐」、イシモチという魚を使った発酵食品の一種で高級食材のハムユイの香り高さを楽しめる「ハムユイ炒飯」など、本格的な料理が常時20種類ほど揃う。

お酒も店内で水出しした最高級台湾茶「UMACHA」を使ったお茶割り各種や、白酒や紹興酒を使ったサワーのほか、中華に合うイタリア産のナチュラルワインも590円〜置いている。お店は4.4坪で月家賃は27万円。目標月商は600〜700万円、坪月商150万円だ。

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中森りほ

ライター: 中森りほ

グルメ系ウェブメディアの編集・ライターを経てフリーライターに。フードアナリストの資格を持ち、現在マガジンハウス『Hanako.tokyo』や徳間書店『食楽web』、ぐるなび『dressing』、日経『大人のレストランガイド』などで飲食店取材記事や食のエッセイを執筆中。