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「男性育休」を取り巻く現状は?
育児休業(育休)とは、原則1歳未満の子どもを養育するための休業で、育児・介護休業法という法律によって定められています。労働者が育休の取得を申し出た場合、労務提供義務は一定期間消滅します。たとえ勤務先の就業規則に育休に関する規定がなくても、労働者は法律に基づいて男女問わず育休を取得でき、会社側は休業の申し出を拒めません。これまで育休を取得したのは圧倒的に女性が多く、男性はごく限られた人のみしか取得しない、取得できないという実態がありました。しかし、2022年におこなわれた「育児・介護休業法」の改正により、男性の育休取得がいっそう推進されるようになりました。法改正によって変わったのは次のポイントです。
■通称「産後パパ育休」の創設
子どもの出生後8週間以内に父親が最長4週間の育休を取得できる制度。女性の産後休業(産休)が産後8週間であることから、「男性の産休」ともいわれています。特徴は従来の育休とは別に取得できること、2回までの分割取得ができること、休業中の一部就業が可能になることです。従来の育休と比較して、男性がより取得しやすい制度となっています。
■育休を取得しやすい雇用環境整備
事業主には、次の措置を講じることが義務付けられました。・育休の申し出・取得を円滑にするための雇用環境の整備に関する措置
・本人または配偶者の妊娠・出産の申し出をした労働者に対する、事業主から個別の制度周知および休業の取得意向の確認のための措置
■有期雇用労働者の育休取得要件の緩和
契約社員やアルバイトなどの有期雇用労働者の育休の取得要件のうち、「事業主に引き続き雇用された期間が1年以上である者」であることという要件が廃止されました。ただし、労使協定を締結した場合には、今までどおり対象から除外することが可能となります。飲食業界でも産休・育休取得を推進する流れ
飲食業界ではこれまで、産休・育休の取得が一般的とは言えませんでした。特に、男性で育休を取得する人はまだまだ少ないのが現状です。しかし、近年は産休・育休の取得を積極的に後押しする企業・店舗も増えつつあり、採用活動時に強みにしているケースもあります。代表的なのは牛たん・とろろ・麦めしの専門店を展開する「ねぎしフードサービス」。「産後パパ育休」の創設に先駆けてパパ育休の取得を推進してきました。
慢性的な人材不足に陥っている飲食業界では「育休を取ると同僚に迷惑をかけるのでは」と思ってしまう男性も少なくないでしょう。しかし、ねぎしではすでに複数の取得実績があり、制度は社内に浸透しています。育休の推進によって従業員のモチベーションが高まっているほか、採用活動にもよい影響が出ているそうです。
求職者は「産休・育休取得実績あり」の条件で求人を探すことも
求人飲食店ドットコム内でも「産休・育休取得実績あり」の検索条件が設けられており、条件を満たす掲載が増えています。産休・育休取得実績があるのは、規模の大きい企業に限りません。運営店舗数が1~5店舗の規模でも従業員が産休・育休を取得している企業もあります。「産休・育休取得実績あり」の求人はこちら
「産休・育休取得実績あり」で検索する求職者もいることから、産休・育休取得の実績があることは採用活動における強みになり得ます。近年では、男性育休の取得を推進する中小企業に支給される助成金も創設されました。この機会に男女ともに育休を取得しやすい体制を整え、採用活動時の差別化を目指してみてはいかがでしょうか。
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