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そもそも面接で健康に関する質問はできる?
採用面接は、面接者が「長く一緒に働ける人材かどうか」を確認するための大切な時間。適性を見極めると同時に、業務を任せるうえで不安がないかを確認しておきたいもの。しかし、実際に面接で既往症がないかを確認したところ「病気のことを聞くのは非常識だと反論された」といった事例もあるようです。結論から言えば、面接で健康状態や既往症について確認することに問題はありません。特に飲食店では、先にも述べた通り、勤務時間が不規則になる、忙しくて休憩がなかなか取れないといったことが起こりがちです。業務遂行に必要な範囲であれば当然、必要な質問だといえます。
健康状態の確認には「配慮」が必要
とはいえ、面接で突然これまでの病歴などについて確認されたら、面接者の中には不快感を覚える人もいるでしょう。無用なトラブルを避けるためにも、細やかな配慮を心がけましょう。以下のような点に注意してください。◆質問の「必要性」を説明する
体力面や健康面に関する質問をどうしてするのか、その理由を説明すると、納得感が高まるはずです。「休憩時間が取りにくい時がある」「立ちっぱなしとなる場合がある」「重い荷物の運搬がある」などが理由になり得ます。◆口頭ではなく書面での確認にする
病歴や既往症といったセンシティブな内容については、口頭で直接確認するのではなく、書面やチェックシートを用意し、記入してもらうようにするのも良い方法です。その際、「答えたくないときは記入しなくてもよい」旨を書き添えておくと、無理やり書かされたという印象を持たれることも避けられます。◆業務に必要な範囲を超えて質問しない
過去の病歴や健康状態の確認は、あくまでも「業務に必要な範囲に限定する」ことが原則。その範囲を超えて、あれこれ質問をするのは避けるべきです。「健康経営」への取り組みが従業員の定着にもつながる!
面接を経て、健康で業務に意欲のある人材を確保できたとしても、入社後の激務、ストレスで健康を害し、結局体力的に続かない――というようでは意味がありません。そのため今、従業員の健康増進に取り組む「健康経営」への注目度が高まっています。健康経営とは、従業員の健康管理を経営的な観点から考え、会社全体で戦略的・計画的に実践する経営手法。実際、経営課題に従業員の健康増進を掲げて労働時間の適正化や年休の取得を促進する、健康研修や勤務前運動を導入して従業員の健康意識改善を図るなど、各企業がさまざまな施策を取り入れています。
健康経営に取り組むことのメリットは?
体調不良やストレスを抱えた状態で仕事に取り組むと、思わぬミスや事故、ケガを引き起こす恐れもあります。そのため健康経営に取り組み、従業員の健康をサポートすることは、生産性の向上・リスク管理につながるといわれています。また、健康経営は、労働環境の整備や健康増進対策につながるため、体調不良による離職を防ぐ、従業員の満足度を高めるといったメリットもあります。超高齢化社会による医療費の増加、新型コロナの影響などにより、今、人々の中で健康への意識は非常に高まっています。そうした背景からも「健康経営」は、働いているスタッフはもちろん、店舗運営にとってもメリットが大きく、ぜひ取り入れたい手法といえます。
今は飲食業界においても「働く環境」の整備が問われるようになっています。ぜひこの機会に面接方法の見直しと健康経営に取り組んでみてはいかがでしょうか。
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