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東大から飲食業へ。髙田賢介社長が仕掛ける個性豊かな店舗戦略と社名「Edge」にかける思い

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まるで船に乗っているかのような景色が楽しめる『Marine & Farm SAJIMA』

『Marine & Farm SAJIMA』の挑戦、地域活性化と40年商売できるという計算

「長く運営する」というコンセプトを考えた時に、忘れてはいけないのが2015年7月にオープンした『Marine & Farm SAJIMA』である。それまで店舗はすべて都心部に展開していたが、横須賀市佐島という立地で、コンセプトは「eat locally」。

——立地からして都心から離れていますが、長く経営できるという計算があったのでしょうか

髙田 車だと都心から1時間15分ぐらいで来られますが、電車とバスを利用すると最寄りは逗子駅で、そこからバスで30分かかります。周りのお店を見ても30年ぐらい経っているお店にお客さんが通っている状態で、新しい店がどんどんできるような場所ではありませんでした。しかし裏を返せば、そこでうまくいけば30年、40年は絶対商売できるお店になるな、と。そこで普通だと投資しないような額を投資して、お店を作りました。

——ローカルの食材使用というのもコンセプトですね

髙田 基本的にローカルの食材を使います。私どもの集客が増えれば取引していただける量も増えるので、そういう意味で地域の経済にも微々たるものかもしれませんが貢献できるのではないかと思っています。

こうした計算からオープンして2年、メニューの改善などを重ねて、今では週末のランチ帯は1時間待ちになるほどの人気店となった。

——経営者というより文化の創造者みたいな印象ですが

髙田 そんな大それたものではないですけど、私たちの経営理念が「Every Day Good Experience」で、その頭文字をとって社名の「Edge」です。お客様の毎日を素晴らしい体験にしようと、私たちのお店に来ていただいたことによって今日という1日が思い出に残るとか、感動したと言ってもらえるような場所であってほしいという思いがあります。最近、表参道に住まわれている常連のお客さんで、私たちのお店を気に入って佐島に別荘を買った方がいらして、そういう話を聞くと、お店を出して良かったと思いますね。

『Marine & Farm SAJIMA』の料理には地元食材がふんだんに用いられている

東京大学出身、「自分のロマンを仕事に重ねられる」と飲食業界へ

髙田社長は小学生時代、3年間スペイン・マドリードに住み、東京大学在籍中から飲食業界のアルバイトを開始。最終的に同学工学部を中退してこの世界で生きていくことを決めた。

——高校時代は勉強一色だったのでしょうか

髙田 高校はずっと硬式テニスをやっていたので、部活中心でした。

——スペインでの経験が、今に生きている部分はありますか

髙田 食に対する感覚みたいなもの、その時は何も分からずに食べていましたけど、後から振り返ると小さい時に欧州の食文化に触れたことは、自分の味覚だったり、食に対する感性みたいなものだったり、その源流になっているのかなと思っています。

——散々言われたとは思うのですが、東大を出て大企業やお役所に勤めて安定した生活ができるだろうに、ゲインも大きいとはいえリスクもある世界に、なぜ、飛び込んだのでしょうか

髙田 1回しかない人生で自分が好きなことをやることが、一番大事かなと思いました。飲食業が自分に向いていると思いますし。お金がいいから、あっちとこっちを比べてという判断はあまりしません。真に一生かけて取り組むやりがいがあるかどうか、自分のロマンみたいなものを仕事に重ねられるかという方が大きかったということです。

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松田 隆

ライター: 松田 隆

青山学院大学大学院法務研究科卒業。ジャーナリスト。スポーツ新聞社に29年余在籍後にフリーランスに。「GPS捜査に関する最高裁大法廷判決の影響」、「台東区のハラール認証取得支援と政教分離問題」等(弁護士ドットコム)のほか、月刊『Voice』(PHP研究所)など雑誌媒体でも執筆。ニュース&オピニオンサイト「令和電子瓦版」を主宰:https://reiwa-kawaraban.com/