飲食店のIT化をもっとお得に。ITツール導入補助金の上限額が450万円に拡大
ITツールを導入した中小企業に政府が補助金を交付する「IT導入補助金」。2018年度の交付額上限が50万円だったのに対して、2019年度は大幅に増え、450万円に決まった。
■IT導入補助金とは?
正式名称は「サービス等生産性向上IT導入支援事業」。各社のニーズや課題に合ったITツールを導入しようとする事業者に対して、費用の一部を補助する制度。補助率は導入費用の50%。
■補助対象は?
中小企業と小規模事業者(飲食、運輸、医療、保育など)。ただし、交付金の下限が40万円に設定されているため、導入費用が80万円未満の場合は補助を受けることができない。
飲食業の場合、どんなITツールを導入する際にこの制度が活用できるのか。一部のITツールと導入のメリットを、目的別に紹介する。
「集客」に関連するITツール
■店舗アプリ作成サービス「UPLink」
・ツール概要
店舗アプリ作成サービス。デザインをカスタマイズできるので、簡単にオリジナルアプリを作成することができる。再来店を後押しするスタンプカード機能やポイントカード機能が標準装備されているほか、スマホからタイムリーにクーポン配信もできる。
・導入メリット
アプリのデザインや発信する情報に工夫を凝らすことで、店のブランディングを高めることができる。クーポン系の媒体への掲載費用を抑えられるほか、クーポン発送の手間や費用を削減できる。
■「LINE@」の導入サポート
・ツール概要
LINE@を通じて友だち登録したユーザーに向けて、一斉にメッセージやクーポンを配信できる。また、LINE@内にホームページを持つことができ、住所や営業時間の基本情報のほか、お知らせやイベント告知に利用することも可能。
・導入メリット
投稿したページには共有ボタンがついているため、良い情報であればユーザーが自発的に共有してくれ、口コミ効果が期待できる。フォロワー数やタイムラインへの反応をリアルタイムで見ることができ、分析ツールとしても便利。
「生産性向上」に関連するITツール
■予約管理サービス「テンポのミカタ」
・ツール概要
さまざまなグルメサイトからの予約・キャンセル情報を自動的に選別し、通知、予約確定処理なども合わせて一元的に管理。さらに、直近の空き状況を常時システムが認識・判定のうえ、各サイトに一斉に通知・表示させることができる。
・導入メリット
予約管理の手間と時間が短縮され、スタッフの負担も軽減。お客様の端末へSMSで各種案内を送信できるマーケティング機能も備えているため、リピート来店促進にも活用できる。
■勤怠管理システム「KING OF TIME」
・ツール概要
ICカードやスマートフォンで打刻した時刻をもとに、勤怠時間を自動集計。有給やシフト管理もすべてクラウド上で実施できるため、有給の申請や承認に紙の申請書を利用したり、シフト表を社員に紙で配布したりする必要もない。
・導入メリット
集計された勤怠時間はMFクラウド給与にワンクリックでインポートでき、給与計算業務も効率化できる。位置情報も記録されるため、直行直帰の社員がいる場合にも便利。
「外国人集客」に関連するITツール
■翻訳アプリ「はなして翻訳」
・ツール概要
スマホを通じて話した言葉がそのまま相手の国の言葉に翻訳されるアプリ。10か国語に対応しており、まるで通訳がいるかのように、言語の異なる相手とスムーズな会話ができる。
・導入メリット
新たな人材確保や教育にコストをかけずに訪日外国人客への対策が可能。コミュニケーションが円滑になり、質の高いサービスの提供できる。
■飲食店向けセルフオーダーシステム「FoodFrontia St」
・ツール概要
テーブルに設置されたセルフオーダー端末を操作し、お客様自身で直接注文ができるシステム。多言語表示に対応しているため、訪日外国人客への注文業務におけるさまざまな問題が解決できる。
・導入メリット
お客様のタイミングで注文できるので、機会損失を減らすことができる。また、ホールスタッフの注文業務が軽減されるため、少ない人員でもお客様に気を配ることができ、ホスピタリティの向上が期待できる。
ここで紹介したツール以外にも、さまざまなものが補助金の対象になっている。補助金の公募スタートは3月28日(水)17時から。制度をうまく活用し、必要なITツールを導入することで、さらなる売上アップや業務効率化を目指してほしい。
■IT導入補助金ホームページ
https://www.it-hojo.jp/
■2019年度のIT導入補助金について中小企業庁が公開したPDF資料
http://www.chusho.meti.go.jp/koukai/yosan/2018/181221yosan10.pdf