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渋谷12坪で月間1,000人以上を集客。スタンド酒場の新境地を切り拓く『KAMERA』の視点

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写真左から、株式会社good-eyeオーナーシェフの亀谷剛氏、『KAMERA』店長の浪貝恭介氏

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12坪という小型店でありながら、月間客数が1,000人を超えるスタンド酒場の繁盛店、『KAMERA(カメラ)』。東京・渋谷の中でも特にディープな雰囲気が漂う百軒店エリアで、「熟成焼売」と「ウーロン茶ハイ」を二枚看板に掲げている。今回はメニュー開発を手がけた亀谷剛氏と同店店長の浪貝恭介氏に、ヒットのポイントを聞いた。

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商品、内外装、接客の三拍子が揃えば、飲食店は間違いなく繁盛する

『KAMERA』は異色のスタンド酒場として2021年10月にオープンした。同店を運営する株式会社good-eye代表取締役の目良慶太氏は現役のIT起業家であり、オーナーシェフの亀谷剛氏はビブグルマンを獲得した三軒茶屋のフレンチレストラン『Bistro Rigole』の元オーナーシェフ。異業種の二人がタッグを組んで開発した『KAMERA』だが、業態の大枠は目良氏の発想によるものだという。

派手さはないものの、青いネオンサインが目を惹くファサード

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社長である目良氏は、IT事業が本職。一方、グルメサイトのコンサルティングを手がけるなど外食事業にも見識が広い。「『飲食店は、商品、内外装、接客の3拍子が揃っていれば間違いなく繁盛する』というのが目良の持論」と答えるのは、店長の浪貝恭介氏だ。

「内外装は出店立地に合ったデザインを採り入れることが大事」と浪貝氏は言うが、立地という点において、『KAMERA』のある渋谷百軒店は、神社やストリップ劇場、ラブホテルなど実にさまざまな施設が密集する狭い地帯に、老舗の居酒屋や名曲喫茶、スタイリッシュなネオ大衆酒場など新旧の外食店が混在する独特なエリアである。

平日はカウンターに椅子5席を置く。週末はカウンターもスタンディングとし、最大30人までお客を収容できる(写真提供:good-eye)

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そのような立地において、空間デザイナーの山嵜廣和氏が手がけた店舗デザインのテーマは「エロスとカオス」。店頭に光る青いネオンサインは、目良氏がかつてオランダで目にした娼婦街がモチーフだ。店内にはピンクのネオンサインに照らされ、現代版浮世絵師の寿司テルヤ氏が描いた春画が飾られている。

だが、決して派手なわけではない。12坪の店内にはカウンター、スタンディングテーブル、ベンチシートを配しているが、テーブルや椅子は木目の簡素なデザインだし、白いタイルとコンクリート剥き出しの壁面などもナチュラルな印象だ。浪貝氏は、「シンプルなデザインの中にエロスを織り交ぜることによって、渋谷百軒店らしいカオスを表現している」という。

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栗田利之

ライター: 栗田利之

フリーランスの記者として、15年以上にわたって外食経営誌の記事を執筆。大手、中堅の外食企業や話題の繁盛店などを取材してきた。埼玉県下を中心に店舗網を拡げている「ぎょうざの満洲」が贔屓の外食チェーン。