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渋谷12坪で月間1,000人以上を集客。スタンド酒場の新境地を切り拓く『KAMERA』の視点

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月間出数が800杯を超える「テキーラ ショット」(500円)。浪貝氏はテキーラマエストロの資格を有する

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テキーラのショットがウーロン茶ハイに並ぶドリンクの売れ筋

アルコールメニューには、特製茶割を柱にして9カテゴリー、計40種前後をラインアップ。ウーロン茶ハイ三品の月間出数は1,200杯を超えるが、それに並ぶ売れ筋ドリンクが「テキーラ ショット」(500円)だ。

その月間出数は800杯以上。浪貝氏は「そこまで強く推している商品ではない」と言うが、それでもテキーラが売れるのは『KAMERA』がコミュニティの場として機能していることが大きく影響している。

『KAMERA』は20~30代の若者が主客層だが、渋谷百軒店の顔なじみでもある常連客には幅広い年齢層の人がおり、そうしたお客が隣席の若者たちに「一杯奢る」といったシーンもたびたび見られる。スタンド酒場らしいコミュニティの場として、平時でもイベントスペースのように店内が賑わい、それが酒席を盛り上げるドリンクの一つ「テキーラ ショット」の注文につながっているのである。

そして、そういった店の雰囲気をつくり出すのが、スタッフたちの明るさや気遣い、つまり高いサービス力だ。浪貝氏は言う。

「フードとドリンクのクオリティがしっかりしていることが前提ですが、常連客をつくるには接客がなによりも大事。スタッフが生き生きと働き、気配りのサービスがある店はお客様の記憶に残り、それが再来店につながると思うのです」

「天ぷら×ワイン」の新店をオープン。鉄板焼きの新業態も構想中

軌道に乗る『KAMERA』の経営と並行し、同社は2023年3月7日に同じ渋谷エリアに新店として天ぷらとワインをメニューの柱にした『テンキ』をオープンした。店があるのは桜丘町の閑静な住宅エリアに建つビル2階。街の雰囲気は渋谷百軒店と正反対だが、「広く認知されているのに変化や進化が乏しい商品のイノベーション」というメニューコンセプトは変わらない。亀谷氏は説明する。

閑静な住宅街が広がる桜丘町の一角にオープンした『テンキ』。飲食店仕様ではないビル2階にあえて出店した(写真提供:good-eye)

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「天ぷらの料理としての構成要素は具材、衣、味付けに分解できますが、そのうち、ほとんど変化していないのが衣と味付けです。天ぷらはポルトガル語の『テンプラーポ』が語源といわれており、そう考えたら『世界のフライ』として捉えることもできる。衣と味付けを変えれば、具材との組み合わせのバリエーションは無限に広がるため、そこから業態イメージを膨らませていきました」

天ぷらのシグニチャーアイテムである「海老」(1尾770円)。ココナッツ風味の海老のつみれを衣にし、アメリケーヌソースで味つけした海老尽くしの一品だ(写真提供:good-eye)

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フードメニューは前菜、温菜など5カテゴリーで計28品をラインアップ。天ぷらは「海老」(770円)、「帆立」(660円)、「サツマイモ」(385円)など約7品を揃えているが、「海老」には海老のつみれを、衣には帆立セモリナ粉を使用するなど、既存の天ぷらとはまったく異なる料理を提供している。

「構想段階ではありますが、次にチャレンジしてみたいのが鉄板焼きです。食材に蓋をかぶせて蒸し焼きにするのがオーソドックスな鉄板焼きのスタイルですが、それならフライパンでも十分ですし、そもそも鉄板が真っ平らである必要もない。革新的な鉄板料理のアイデアがあるため、それを業態としてどう落とし込むか、目良とともに検討しているところです」(亀谷氏)

『KAMERA』でスタンド酒場の新境地を切り拓き、『テンキ』で天ぷらのイノベーションに挑んでいるgood-eye。同社のチャレンジに今後も注目していきたい。

『KAMERA』
住所/東京都渋谷区道玄坂2-20-5
電話番号/050-3552-4065
営業時間/18:00~25:00(L.O.23:00)、土17:00~24:00(L.O.23:00)、日17:00~23:00(L.O.22:00)
席数/平日9、週末4+スタンディング

『テンキ』
住所/東京都渋谷区桜丘町29-26 エクセレンスビルディング桜丘町2F
電話番号/03-6427-0503
営業時間/17:00~24:00
定休日/月曜
席数/20+スタンディング

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栗田利之

ライター: 栗田利之

フリーランスの記者として、15年以上にわたって外食経営誌の記事を執筆。大手、中堅の外食企業や話題の繁盛店などを取材してきた。埼玉県下を中心に店舗網を拡げている「ぎょうざの満洲」が贔屓の外食チェーン。