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14坪月商640万円の『貝と魚と炉ばたのバンビ』。超悪立地を逆手にとった「サプライズ戦略」とは

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写真右から、店主の宮下 悟氏、店長の山崎 賢氏

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視認性が悪く5年以上も借り手がつかなかった碁会所跡地の物件。そんなフリ客がほぼ望めない悪条件な立地にもかかわらず、14坪24席の規模で月商640万円を売り上げる東京・北千住の繁盛居酒屋が『貝と魚と炉端のバンビ』だ。いかにして悪立地を克服したのか。店主の宮下 悟氏は「店の存在を印象付けるサプライズの仕掛け」をそのポイントとして挙げる。

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北千住駅西口そばの繁華街からつながる路地の奥に立地。細い路地で曲がり角を見逃しやすいが、老舗の繁盛居酒屋である『千住の永見』と『天七 本店』に挟まれた路地のため、電話による店までのルート案内はしやすい

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道幅2メートルにも満たない路地の奥、雑居ビル3階という悪立地

『貝と魚と炉端のバンビ』の店の場所は本当にわかりづらい。北千住駅西口から徒歩2分とアクセスはいいものの、店があるのは道幅が2メートルにも満たない細い路地の奥。しかも、店は築35年の雑居ビル3階に入居しており、お客は薄暗く急な階段で2階に上がり、さらに細くて傾斜のきつい階段を登ってようやく店に辿り着く。

以前は碁会所が入っていたが、立地条件の悪さから5年以上も借り手が見つからなかった物件。『炉端のバンビ』は2016年7月にオープンしたが、やはり当初は集客に苦戦した。だが、じわじわと業績を伸ばし、コロナ禍が発生する前の2020年初頭の段階で14坪24席の規模で月商490万円を計上。コロナ禍後はさらなる売上増を果たし、客単価4,900円で月商640万円を叩き出している。

上るのを躊躇ってしまうような怪しさ満点の階段。2階にはスナック2店が入居しており、さらに細く急な階段の先に『炉ばたのバンビ』がある。立て看板の設置がNGだったため、建物の入口に設置したインターフォンが唯一の目印

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店主の宮下 悟氏は、東京都内に居酒屋6店を展開する株式会社ちゃらり在職時に、店長として『炉ばたのバンビ』を開発。2022年7月にその経営権を譲受する形で独立したが、悪立地を克服するために『炉ばたのバンビ』の開発時に宮下氏が重視したキーワードが「サプライズ」だった。

「フリ客を望めない立地ですから、集客の鍵を握るのがリピート客をどう掴んでいくかということ。1回転24人のお客様のうち5人のお客様にお店のファンになっていただく。そのために店舗造作、商品開発、接客スタイルのあらゆる面で驚きの仕掛けを施し、お店の印象付けを図りました」と宮下氏は説明する。

エントランスの扉の先はL字型の廊下。漢数字を記した扉を開けると客席につながる

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栗田利之

ライター: 栗田利之

フリーランスの記者として、15年以上にわたって外食経営誌の記事を執筆。大手、中堅の外食企業や話題の繁盛店などを取材してきた。埼玉県下を中心に店舗網を拡げている「ぎょうざの満洲」が贔屓の外食チェーン。