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名は渋く、視覚にモダンな『本田商店 中目黒』。自分がやりたいことで勝負する店づくり

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『本田商店 中目黒』をバックにした株式会社rings髙山亮氏

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2023年3月10日オープンの『本田商店 中目黒』。中目黒駅や池尻大橋駅からも近いとは言えない立地だが、連日満席の繁盛店だ。

運営は千葉県に本社を置く株式会社rings。設立から約10年の間で躍進を続け、居酒屋業態の『焼鳥酒場 本田商店』だけでなくイタリアン業態の『Cerdi』『ancer』など、直営店やフランチャイズを次々と展開している。

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人材定着には「教育」「理念」よりも「評価」が重要

ringsの特徴は、ほとんどのスタッフが30歳前後であること。若手スタッフの「働くやりがい」を生み出すことで、経験豊富な人材が定着しているのだ。

「働きがいを持たせるには教育や理念よりも『評価』ですね。1:1:8の割合で評価の重要度が高い」と話すのは、rings代表の髙山亮氏。評価制度を整え、店長以下のスタッフは年4回、相対評価を行い、店長以上のスタッフは年2回絶対評価を行っている。評価は給与に反映するだけでなく、マネージャーや店長など役職を与えることも重要だと話す。

「スタッフの昇給しない理由を探さず、減点方式ではなく加点方式でスタッフを評価しています」

髙山氏自身は現在30代後半。経営者としては若い部類に入るが、創業したのは25歳のとき。飲食店経営者として10年以上の経験がある。

大学時代に『炭火串焼 鶏ジロー』の代表に出会う

そもそも髙山氏が飲食業界に入ったのは、日本大学商学部時代に焼肉店でアルバイトをしたことがきっかけだ。『炭火串焼 鶏ジロー』などを手がける株式会社サンクチュアリ代表の渡邉裕樹氏が大学の同級生で、その影響もあって次第に飲食店を開きたいと考えるようになった。

卒業後は一旦通信会社に就職し働き始める。2年後に貯金や借入金含めた約500万円を元手にして、知り合いのテナントを居抜きで借り、25歳の時『炭火串焼 鶏ジロー谷津店』のフランチャイズオーナーとして創業を果たす。

当初は「月50万円ほど給料があればいい」と考えていた髙山氏だが、次第にその思いは変わっていった。

「中高時代のバスケ部の後輩が就職していなかったので、うちにアルバイトとして入ってもらったんです。次第に、彼の今後のことを考えるともっと活躍の場を作ってあげたいと思うようになって。彼に新店の店長を任せようと思い、2号店をオープン。そこからは2店舗やったら、3店舗、次は4店舗と出店を重ねて行きました」

その後、出店数が5店舗になった頃、『相席屋』などを手がける株式会社セクションエイトの横山淳司氏など飲食業界の先輩方と出会う。「せっかく飲食業界で活躍する方々のご縁に恵まれたのだから、そういう場に呼ばれ続けるように頑張りたいと思ったんです」と髙山氏。飲食の道を極める決意が固まった。

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2019年比で1.6倍、坪月商47万円に! 千葉エリアで好調の『焼鳥酒場 本田商店』

『炭火串焼 鶏ジロー』のフランチャイズ経営で培ったノウハウを活かしたいと、サンクチュアリ代表の渡邉氏にも相談した上で2016年、人形町に初の直営店となる『焼鳥酒場 本田商店』(※ビルの老朽化に伴い現在撤退)をオープン。店名と中身のギャップを狙い店名は渋く、中身はトレンドを反映させた内容にした。その後、髙山氏の地元であるJR総武快速線エリアの津田沼、船橋、千葉へも出店を果たす。

「フードは普遍性が高いものが絶対」という考えのもと、銘柄鶏の大山鶏を店舗で串打ちした焼鳥をはじめ、定番メニューを揃える。雰囲気は入りやすい大衆酒場でありながら、モダンさも取り入れた。

コロナ禍で打撃を受けたことで、再度店舗のあり方を見直し、メニューの価格やポーション、細かな内容を改変。この地道なリニューアルが功を奏し、現在千葉の各店舗の売上は2019年比で1.4〜1.6倍、船橋店では客単価も以前より300円アップして3,500円、17坪で月商約800万円を叩き出している。

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中森りほ

ライター: 中森りほ

グルメ系ウェブメディアの編集・ライターを経てフリーライターに。フードアナリストの資格を持ち、現在マガジンハウス『Hanako.tokyo』や徳間書店『食楽web』、ぐるなび『dressing』、日経『大人のレストランガイド』などで飲食店取材記事や食のエッセイを執筆中。