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神田『いわし料理 大松』4店舗体制へ。ドミナント戦略を駆使する名物ママの手腕とは?

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『別館』の知久守利板長(写真左)とソ・ハン・テイン店長(写真右)

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多店舗展開の最大の理由は「雇用を守ること」

『立ち食い寿司』をオープンしたきっかけは、自身の弟が帰国したことが大きいと大沢氏は語る。大沢氏の弟は、海外でのビジネス修業を経て「お姉さんを手伝いたい」からと、4月に日本に帰ってきたそうだ。

「もともと、弟は私と一緒に日本で立ち食い寿司の経営に携わってきたノウハウがあり、海外でも寿司店経営を続けてきました。また、コロナ禍で宴会が開かれることも少なくなり、一人でふらっと来店して寿司をつまめる、神田駅前という好立地を活かした立ち食いスタイルは今の時代にマッチするとオーナーとも話し合い、認められたのです」(大沢氏)

『別館』の「いわしなめろう」880円。なお、『本店』と『別館』のメニューは盛り付けや料金が共通だが『立ち食い寿司』と『立ち飲み』では異なる

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寿司ネタについては、これまで松森氏と大沢氏が培ってきた仕入れ筋からの応援も加わり、特にマグロ専門の仲卸ルートはさらに太くしたという。

『立ち食い寿司』オープンに際し、大沢氏は自身の弟ともう一人のスタッフを雇っている。大沢氏がここで大切にしたのが、『立ち飲み』を担う石井氏やスタッフの仕事を途切れさせないこと。石井氏には、氏のファンともいうべき常連客もしっかり根付いている。雇用と常連客を絶やさないため、それまで仕込み場として使っていた『立ち食い寿司』の2階を改装して『立ち飲み』の営業を続けた。

ちょうどその頃、大沢氏は知り合いから「空き店舗があるので使わないか」と打診されていたという。新型コロナウイルスの5類移行から間もない当時、比較的人員に余裕のあった『本店』のスタッフが活躍する場を作ろうと、打診を受けた空き店舗に『立ち飲み』を移転させることを決めた。かくして、『東松下町店』はオープンした。

『本店』と『別館』のいわし料理は定番メニューだけでも25種類(写真左)、一品料理も『本店』『別館』共通の内容となっている(写真右)

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タシロアキラ

ライター: タシロアキラ

大学の教育・研究の記事を中心に20年ほど紙媒体のライターとしてキャリアを重ねる。フリー転身を機に、趣味である食、スポーツ、ガジェットのジャンルでWEB記事執筆にも進出中!