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神田『いわし料理 大松』4店舗体制へ。ドミナント戦略を駆使する名物ママの手腕とは?

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『立ち飲み』を改装した『東松下町店』。現在は『別館』となっている

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常連客へのリサーチを絶やさず、スピード感ある改革は続く

しかし、『東松下町店』がオープンして間もなく、再び状況が一変。『立ち飲み』時代に比べて、売上が落ち込んだのである。大沢氏が常連客にリサーチすると、次のような反応があった。

「神田駅から歩くと、以前の場所に比べて少し遠い」
「遠いのに立ち飲みだと疲れる」
「注文した品が提供される時間が、以前の『立ち飲み』の頃に比べて遅い」

『東松下町店』は神田駅から徒歩3〜4分、以前の『立ち食い寿司』の2階は駅から目の前、1分もかからない近さだった。一見すると大して変わらないような距離に思えても、実は重要な差だった訳だ。また、『東松下町店』は店舗スペースが広く、石井氏がさばく客数が多すぎたことも判明したのである。

常連客が漏らした不満は客足にも表れ、売上は落ち込んだ。ここで大沢氏は「『立ち飲み』を『立ち食い寿司』の2階に戻そう」と決断した。

ならば『東松下町店』はどうするか。だがこの問題も、たちまち解決した。折しも『本店』が多忙になってきたのである。取材で訪れた11月中旬も、『本店』は夕方18時の時点ですでに予約で満杯。その受け皿が必要だった。そこで、大沢氏は『東松下町店』を『別館』に切り替え、オープンすることに決めた。『別館』は、貸し切りなど大人数の宴会利用が多い。立ち飲みスタイルの頃は1階しか利用しておらず、そのため月の売上は100万円未満。『別館』となった現在は2階も利用して、月250万円ほどまで売上は上向いた。

大沢氏はミャンマー出身。同国では魚を使ったカレーがポピュラーだという。大沢氏が旗振り役で実現した「いわしカレー」1500円も『本店』『別館』で人気だ

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店の経営で最も大切にしていることを大沢氏に尋ねると、「スピード」と「雇用を守ること」との答えが返ってきた。改善すべきことを放置していると、「同業の飲食店に負けてしまうから」だという。改革の「スピード」は、これからも止まらない。大沢氏は『本店』でも好評のランチ営業を、『別館』でもスタートさせることを計画している。

「成り行きでやってきた」と大沢氏は謙遜するが、結果として神田駅前の大松グループはいずれも繁盛店だ。「スピード」と「雇用を守ること」がいかに大切か、身をもって証明している。

『宝山 いわし料理 大松』
住所/東京都千代田区鍛冶町2-10-7 フェスタビル 1F
電話番号/03-3252-6540
営業時間/11:15〜13:30(ランチ営業 平日のみ)、16:30~22:00(L.O.21:00)
定休日/日曜・祝日
席数/47

『立ち食い寿司 大松』
住所/東京都千代田区鍛冶町2-12-13 1F
電話番号/03-5295-5470
営業時間/11:00~22:30
定休日/日曜・祝日
席数/15

『立ち飲み 大松』
住所/東京都千代田区鍛冶町2-12-13 2F
電話番号/なし
営業時間/17:00~22:00(L.O.21:30)
定休日/日曜・祝日
席数/15

『宝山 いわし料理 大松 別館』
住所/東京都千代田区鍛冶町2-12-13
電話番号/03-6206-0086
営業時間/17:00~22:00(L.O.21:00)
定休日/日曜・祝日
席数/50

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タシロアキラ

ライター: タシロアキラ

大学の教育・研究の記事を中心に20年ほど紙媒体のライターとしてキャリアを重ねる。フリー転身を機に、趣味である食、スポーツ、ガジェットのジャンルでWEB記事執筆にも進出中!