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竹田クニ氏が語る2024年の外食トレンド。激動の世界情勢、時代と世代による消費者動向の変化を読む

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2、外食産業の変化 -消費者ニーズ・ウォンツの変化に対応し、多様化・専門化が進んだ-

■飲食店の新陳代謝が進んだ
コロナ禍によって残念ながら多くの店が閉店・退店を余儀なくされました。結果空いた物件に、意欲的な新店舗が続々とオープンしてきている印象があります。また、東京都内に新しくオープンした大型商業施設に、新たなトレンドを取り入れた意欲的な業態が登場してきています。下記のような特徴の飲食店が登場してきている印象ですが、新陳代謝が一層進んだと考えられます。

<近年登場した新業態の特徴>
・Z世代を意識した華やか、かわいさ、映えを強調………横丁や若者向け居酒屋などに見られる
・ノンアルコール、ライトカクテル………アルコール・ダイバシティ
・ジャパンプライド………古き良き日本の飲食店を現代流に再現した和食店、居酒屋業態
・クラフト………その店でしか食べられない料理人の匠
・本物・極み………和牛やまぐろ、のどぐろなど 専門特化、素材を惜しげもなく使用
・会員制・紹介制………限定感、ステイタス感の演出

新宿カブキhall~歌舞伎横丁。画像素材:PIXTA

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■インバウンド復活 ただし取り組みは店によって異なる
インバウンドが復活したことに加え、円安影響加わり訪日外国人の外食消費に期待がより高まっています。
・都市部ではインバウンドに注力するか否かは店によって異なる
・地方ではインバウンドに振り切るケースも。理由:高単価、オフピークでの集客

画像素材:PIXTA

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■「体験価値」が重要に    
「○○業態がこれからトレンド!」といった論調で、これからの市場を語ることは難しいと考えています。これからは「その店」“ならでは”の、「その店」でなければ経験できない=「体験価値」が重要になります。食の製造技術、冷凍・冷蔵など流通の技術が進化する中、その店に来なければ味わえない楽しさや満足感=「体験価値」が重要。「体験価値」を構成する要素としては、空間、料理人の技術、ホスピタリティ(接客力)であると考えられます。

6つの価値それぞれの中で、「その店ならでは」の価値を磨くことが重要

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■まとめると
外食・中食・内食がますますボーダレス化し、消費者の目も肥えてきている中「そうだ! あの店に行こう!」という「体験価値」=その店で無ければ得られない体験、忘れられない満足感……、こうした目的来店に叶う店が繁盛していくと思われます。一方で繁華街に多く見られるウォークイン期待型店、消去法的選択で選ばれる店は無くなりはしないが、コスト、マネジメント様々な要素で経営環境はより厳しいものとなっていくでしょう。

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栗田利之

ライター: 栗田利之

フリーランスの記者として、15年以上にわたって外食経営誌の記事を執筆。大手、中堅の外食企業や話題の繁盛店などを取材してきた。埼玉県下を中心に店舗網を拡げている「ぎょうざの満洲」が贔屓の外食チェーン。