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『炭火焼き リリー』も月商1000万円超えの快挙。H VIEWが新業態をヒットさせる法則とは?

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「『炭火焼きリリー』の商品開発では5段階の消費行動モデルを常に意識しています」と取締役の榎本氏は言う

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「AIDMAの法則」を独自に進化させた「5段階の消費行動モデル」

「27歳のOL」のペルソナとともに、中田氏が繁盛店づくりのため成功法則として強く意識しているのが「5段階の消費行動モデル」である。

これは1920年代に米国で提唱された消費者心理のプロセス「AIDMAの法則」を独自に進化させたもの。AIDMAの法則はAttention(認知)、Interest(興味)、Desire(欲求)、Memory(記憶)、Action(行動)の頭文字をとったものだが、中田氏が考える5段階の消費行動モデルは「認知」「興味」「行動」「評価」「口コミ」からなる。

「認知」、「興味」に結びつくのが前述したWebマーケティング。『Instagram』と『TikTok』で情報発信をして店の認知度を高め、SNS上でバズることによってユーザーの興味を惹き付けて、来店という「行動」につなげるのである。

手巻き鮨の「ネギトロ沢庵」540円。12品を揃える手巻き鮨は握り鮨を超える売れ筋メニューになっている(画像提供:H VIEW)

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評価を高め、口コミにつなげるための「ジャブ100連発」

一方、「評価」は再来店、「口コミ」は新規客の獲得に結びつけることを意識した消費行動モデルである。そのための方法が「ジャブ100連発」だ。

ジャブとは顧客満足度を高めるための細かな施策だが、その徹底ぶりが半端ではない。

たとえば、エントランスの目の前に炉端を設置しているが、お客の入店時には客席に案内するまでエントランス付近で待ってもらうことで炉端のシズル感を印象付けている。さらに「鯖の棒寿司」1貫430円を注文ごとに炭で炙って提供して商品の付加価値化を図っており、手巻き鮨を握り鮨に並ぶ名物メニューにしたのも、「お客様自身が手で巻くという体験価値を創出するのが狙いです」と商品開発を手がけた取締役CFOの榎本 薫氏は説明する。

「鯖の棒寿司」1貫430円は注文ごとに炭火で鯖の表面を炙って提供する(画像提供:H VIEW)

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ジャブ100連発で店の評価を高め、口コミを増やすことによって新規客とリピート客を獲得する、それがH VIEW各店に共通する繁盛店の法則になっているわけだが、「口コミというのは本来の意味の口コミであり、SNSとは切り離して考えている」と中田氏は言う。

「地域に密着した息の長い繁盛店をつくるためには口コミこそが一番の集客策だと考えています。情報拡散に優れたSNS投稿は認知度アップでは効果がありますが、情報の信用度という点では口コミに勝るものはありません。ジャブ100連発の一つひとつの施策は地味ですが、その積み重ねこそが繁盛店づくりのキーになると考えています」

2024年中には同じ渋谷エリアで客単価1万円を超えるすし店の出店も計画。新たな業態にチャレンジし続けるH VIEWの取り組みに今後も注目していきたい。

『炭火焼き リリー』
住所/東京都渋谷区道玄坂1-14-9
電話番号/03-6416-9763
営業時間/月~金17:00~23:30(L.O.22:30)、土・日・祝16:00~23:30(L.O.22:30)
定休日/無休
席数/48

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栗田利之

ライター: 栗田利之

フリーランスの記者として、15年以上にわたって外食経営誌の記事を執筆。大手、中堅の外食企業や話題の繁盛店などを取材してきた。埼玉県下を中心に店舗網を拡げている「ぎょうざの満洲」が贔屓の外食チェーン。