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飲食店の間借り営業。メリット・デメリットと注意点は？

飲食店の間借り営業。メリット・デメリットと注意点は？

2023年5月23日

画像素材：PIXTA

最近見かけることが多くなった「間借り営業」の飲食店。コロナ禍で、店の売上を増やしたい貸主と初期投資をおさえたい借主のニーズがマッチして拡大しました。今回は間借り営業のメリットとデメリット、開業時の注意点などをまとめました。

初期費用が抑えられる「間借り営業」の活用が拡大中

間借り営業とは、すでに営業している店を間借りして飲食店営業をすることです。店の定休日やアイドルタイムを活用します。「ラーメン店の週1回の店休日に、違う店主が営業するラーメン店」「夕方から営業する居酒屋のランチタイムに営業する定食店」といった方法です。ほかに、既存の飲食店ではなく当初からシェアを前提に複数の店主が一つの店舗を借りる「シェア型レストラン」という業態もあります。間借りすることにより、店舗物件契約や設備投資の費用を抑えて飲食店を開業することができます。

間借り営業が近年拡大した要因には、コロナ禍があります。飲食店が店の売上を少しでも上げたいと考え、その厨房設備をテイクアウト専門店が借りて営業するといった例が増えました。ITを活用するマッチングサービスの浸透や、会社員の副業ブームなども間借り営業を後押し。アフターコロナでもこの傾向は続いています。吉野家ホールディングスは間借り営業を支援するサービス「シェアレストラン」を2018年にスタート。マッチングサービスとしてはほかに「magari」「店タク」などがあります。

間借り営業のメリット

間借り営業のメリットとして、以下があります。

■開業資金・運転資金を抑えられる

間借り営業であれば物件契約費、店舗工事費などが不要です。飲食店開業時に数百万～一千万円程度必要といわれる初期費用がほとんどかからないことが大きなメリットで、人気のエリアへの出店も可能。月々の家賃や光熱費については、物件を借りる場合の3分の1程度ということが多いようです。

■少ないリスクで始められる

会社などに勤務している人が飲食店を開業したいとき、収入源のリスクをおさえて始めることができます。会社を辞めずに週1回のペースで間借り営業してみて、経験を積んでから実店舗で開業するといった方法が可能です。

■集客がしやすい

既存店舗の常連客が間借り営業時にも来店してくれる可能性があり、集客の点で有利です。このメリットを活かしてラーメンやカレーなど、同じジャンルで間借りする例があります。

画像素材：PIXTA

間借り営業のデメリット

一方デメリットとしては以下があります。

■売上が限定される

営業時間が限定されるため、売上も限定されます。間借り営業だけで十分な収入を得ることは難しいといえるでしょう。

■設備利用に制約がある

店名を外に大きく出せないこと、設備や内装、レイアウトを変更できないことなどがデメリットです。冷蔵庫スペースが十分に確保できない場合は、自分で持ち込むこともあります。

■トラブルのリスクがある

食中毒などの事故が発生した場合には、借主だけでなく貸主も営業停止になってしまう可能性があります。そこまで大きなトラブルでなくても、SNSでの評判などにより貸主に迷惑がかかることも考えられるのです。

間借り営業の課題をクリアするには契約が重要

間借り営業する場合、貸主が飲食店営業の許可を得ていれば新たな申請をしなくても開業ができますが、自分の店として営業許可を申請しましょう。コロナ禍で支給されたような公的給付金は営業許可店舗のみを対象とするので、借主にとっても重要です。

また、貸主との間では、費用負担、店舗使用のルール、トラブル時の対応などについて取り決めて、契約書を交わします。間借り営業の形態を「業務委託」とすれば経営責任は貸主、「スペースのみを転貸」とすれば両者それぞれが責任を負う形になります。

店に来店する人が、間借り営業かそうでないかを区別していることはあまりありません。間借り営業する側は、取り決めたこと以外でも貸主が営業する店のイメージや評判を損なうことがないように配慮しながら営業することが大事です。