飲食店に「事故物件」はある? 特徴とチェックすべきポイントを紹介
2024年8月29日
画像素材:PIXTA
殺人や自殺、孤独死などの“事故”が起きた物件は、「事故物件」や「訳アリ物件」と呼ばれます。飲食店を出店するとき、多くの方はこうした事故物件は避けたいと考えるでしょう。そこで、そもそも飲食店の物件の中に事故物件はあるのか、もし事故物件だった場合どうすべきなのかをご説明します。
「事故物件」の定義とは?
「事故物件」には、法律上の定義はありません。一般的に、入居者が物件内で亡くなると、その物件は「事故物件」と言われるようになります。ですが、凄惨な殺人事件が起きた物件と病死によって人がなくなった物件を同等に事故物件とするかどうかには議論があります。病死や自然死、孤独死などの日常で起こる不慮の事故は事故物件としない、ただし、発見が非常に遅れ、特殊清掃が必要になったケースは事故物件とするケースが多いようです。物件情報においては事故物件というワードは使用されず、「心理的瑕疵有り(その物件を借りたくないと思うような事情がある)」といった記載がされていることほとんどです。また、「心理的瑕疵有り」の記載は、その物件自体には特に問題がなく、すぐ近くで凄惨な事件や事故があった、指定暴力団などの事務所があるといった場合にも使われます。
事故物件(心理的瑕疵有り物件)の告知義務はいつまで?
不動産会社には、買主や借主に心理的瑕疵について告知をしなければいけないという義務があります。売買においては告知義務に期限はなく、賃貸の場合は事故から概ね3年間は告知することが原則とされています。過去に事故が起きたことを、不動者業者は知っていたのに告知をしなかったとなれば、のちのちのトラブルに発展することもあります。入居希望者から問い合わせがあれば、告知期限を経過していたとしても答える義務が不動産業者にはあります。そのため、隠さずに告知する業者が多いようです。
国土交通省は「宅地建物取引業者による人の死の告知に関するガイドライン」として事故物件に関する決まり事を2021年に制定しましたが、法的な拘束力はありません。物件の分類や告知の取り組みは不動産業者に委ねられているのが現状と言えます。
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飲食店など、店舗物件にもある「事故物件」。その特徴は?
人が亡くなる理由には「殺人」「自殺」「自然死」の3つがありますが、どれも飲食店内で起きることはありえます。飲食業は客商売なので「縁起」や「福」を大切にしたいと思うものですし、噂や評判は営業に差し支えることもしばしば。事故物件と分かれば、出店を見直すこともあるでしょう。気になる場合、業者にしっかりと聞いてみることをおすすめします。事故物件かどうかは自分で推測したり、調べたりすることもできます。次の点に着目してみましょう。
・その物件の家賃だけが近隣より安い
事故物件は資産価値が下がるため、家賃が下がる傾向があります。特別に安い場合、この数年間に何らかの事故があった物件かもしれません。
・不自然なリフォーム工事の跡がある
適切にリフォームすることは心理的瑕疵を軽減するとともに、下がってしまった物件の価値を上げることができるとされています。目に留まるような壁紙や床材の張り跡や不自然な間取りがないか見てみましょう。リフォームをしても告知義務は残ります。業者に問い合わせれば、工事の理由を教えてくれるはずです。
・情報収集する
インターネットを活用し、建物名で検索してみると情報を得られることがあります。建物の近隣にある店舗や人に聞いてみるのも有効な方法です。
家賃の安さを理由に出店するケースも
事故物件であることを理由に家賃交渉をし、安く物件を手に入れるという考え方があります。確かに事故物件の資産価値は低くなる傾向があるものの、すでにかなりの時間が経過している、何回も賃借人が変わっている場合、交渉は難しいかもしれません。事故物件だからといって、家賃を下げなければいけないルールもありません。借主は物件の事情を受け入れて契約したとしても、事故物件特有の難しさは伴うでしょう。例えば、その事実を知っている近隣の人たちは亡くなった理由の憶測を話していたり、借主が変わったことを事故と結びつけて考えていたりし、利用を避けるかもしれません。
中には事故物件を理由にいたずらをされ、不快な思いをするケースもあるようです。その他、契約更新のタイミングで家賃が上がる、インターネットに事故物件として紹介されるといったことも起き得ます。事故物件に出店をする場合、さまざまなトラブルを想定しておくことが求められそうです。
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