飲食店にとっての「嫌悪施設」とは? 忌避される施設とその近隣への出店について解説
2025年5月30日
画像素材:PIXTA
好条件の物件が見つかったものの、すぐ近くにニオイが気になりそうなゴミ処理施設があったとしたら、「やはり出店はやめておこう」と考える人が多いでしょう。今回は、近隣にあると飲食店の出店をためらってしまう「嫌悪施設」について解説します。
嫌悪施設とは?
嫌悪施設とは、その存在が周辺の住民や店舗利用者に不快感や嫌悪感を与えるおそれのある施設のことです。ただし、どのような施設が嫌悪施設に該当するのか、法律などで明確に定義されているわけではありません。しかし、不動産取引でトラブルが発生することを未然に防ぐため、宅地建物取引業保証協会の見解として、以下のような施設については不動産契約時に説明が必要とされています。
■騒音・振動を発生させる施設
主要幹線道路、高速道路、鉄道、飛行場、地下軌道、航空基地、物流施設など■煤煙・臭気が気になる
工場、下水処理場、ごみ焼却場、養豚・養鶏場、火葬場、飲食店排気口など■危険を感じさせる施設
ガソリンスタンド、高圧線、危険物取扱向上、貯蔵庫、反社事務所など■心理的に忌避されやすい施設
墓地、刑務所、風俗店、葬儀場など上記以外にも、地域の状況や個人の感じ方によって嫌悪施設となり得る施設はあります。たとえば、騒音が大きいライブハウスやカラオケ店、パチンコ店、過去に事件や事故があった場所などです。これらすべてを不動産業者が説明してくれるとは限りません。
さらに、「近く」とは物件からどの程度の距離を指すのかについても、明確な基準はありません。したがって、物件探しの際には自ら周辺環境をチェックすることが不可欠です。
周辺環境をチェックするときのポイントは?
飲食店物件探しで周辺環境をチェックするときには、以下のようなポイントを押さえましょう。■自分の足で歩き、昼夜チェックする
まず何より、自分の足で周辺を歩いて確認しましょう。昼と夜では街の雰囲気や騒音レベルなどが変わるため、時間帯を変えて複数回チェックするのが理想です。■可能であれば、近隣店舗でヒアリングする
検討中の物件の近くにある店舗で話を聞くことができれば、貴重な生の情報が得られます。飲食店が望ましいですが、クリーニング店やコンビニなど、地域に根差した店舗でも情報収集しましょう。■ターゲット層の視点でチェックする
風俗店やパチンコ店など、ターゲット層が敬遠しがちな施設がないかを確認し特に女性やファミリー層をターゲットにする場合は注意が必要です。■空き地や空き家があれば建設計画を調べる
空き地や空き家は将来、何が建つか分かりません。「建築計画のお知らせ」看板がないか確認し、なければ役所の都市計画課などに問い合わせて、建設計画の有無を確認できる場合があります。■インターネットで地域の情報をリサーチする
地元民でないとわからない情報もあります。できるだけ情報を得るために、地図アプリや飲食店サイトの書き込みなどを参考にします。何が嫌悪施設かは、自店の業態やターゲット層によって異なります。例えば、活気ある居酒屋の隣は、静かなカフェにはデメリットでも、別の居酒屋にはメリットかもしれません。自店にとって避けたい施設は何かを考え、主体的にチェックすることが重要です。
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自分の店も嫌悪施設になる可能性がある
嫌悪施設のひとつとして「飲食店」もリストアップされています。深夜営業の店、臭いを出す焼き肉店や焼き鳥店などでは、自分の店が嫌悪施設とみなされる可能性があることも認識しておきましょう。カテゴリとしては嫌悪施設となるかもしれませんが、臭気が外に漏れやすい業態の店では、近隣に極力迷惑をかけないよう排気工事を万全にして、地域に受け入れられる店舗経営に努めましょう。
集客のために周辺環境のチェックが重要
今回は嫌悪施設について解説しました。周辺環境のわずかな違いで人の流れは変わるものです。嫌悪施設に限らず、周辺にどのような施設や店舗があるかをチェックすることは、集客において非常に重要です。物件探しでは、必ず自分の目で確かめましょう。<飲食店.COM>店舗物件を探す
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