応募者の多様化する価値観を感じ取り、採用活動に工夫を凝らす

コロナ禍を機に、採用者の及第点が変化
―――はじめに人材採用において大切にしていることを教えてください。
「サービス業ということもあり、身だしなみは、ルールではなく相手目線からの映り方を考えてみてください」と、はじめに応募者の方々に伝えています。
例えばネイル。身だしなみがきちんとしていて、よい接客ができていれば、お客さまは「清潔感のあるネイルだな」と思えますし、「きれいでおしゃれなネイルですね」と声をかけてもらえたりする時代です。でも、身だしなみや接客が不快だとお客さまが感じれば、「あんなネイルして…」と目に余りますよね。
なので、黒髪、切りそろえた爪でないとダメというわけではなくて、個人の表現を尊重しますが、お客さまに好感を持っていただける行動、サービスが出来ているか判断できる従業員になれるように自己判断して欲しいと思っています。
それから、人に何かをして感謝された、喜んでもらえた、自分は嬉しくなったという経験をしている人を採用したいと思っています。こうした方は、お客さまにどう接すればよいかを感覚的にわかっていますし、周囲の従業員と自然と心地よいコミュニケーションが取れる傾向にあるからです。配膳ロボットやQRオーダーが使われている今、人にしか出せない能力は店の魅力になっていくと考えます。
―――面接では応募者のどんなところを特に見るのですか?
会話のやりとりが成立するかどうかを見ることが増えました。コロナ禍の影響は大きくて、学校は休校、オンライン授業だけで友人に会えない、修学旅行が無い、さらに、人と大きな声で会話をしたらいけない、声を出して笑ってはいけないと幼少期を過ごした子供たちが、今20歳前後、私たちとは違った感覚を身に付けていると感じます。飲食業に携わっていくには、きちんと目を見てコミュニケーションを取りながら会話ができること、喜怒哀楽を出せることは及第点かなと思っています。そういう人でないと、お客さまと関っていく嬉しさを感じられず、苦痛になってしまうかもしれません。
―――求職者の価値観の変化に目を向け、変えるべきところ変えながら採用活動をしていらっしゃるのですね。
そうですね。これまでは、敬語をある程度使える、一人称を使って話す、そういったところを元々、最低限のラインにしていましたが、そこは採用後に教育しても問題ないと、最近は思っています。 私たちは早い段階で若い人たちが面接を受けやすいようにしていこうと決めて、履歴書を持参してもらうのをやめ、面接に来たときに簡単に書いてもらう方法に変えました。取り組みはじめたころは応募につながっている手応えがあったのですが、最近はそれでも効果が落ちているように感じています。不安が少しでもあると面接に行こうというモチベーションが無くなってしまうのかもしれません。面接に行って、面と向かって話しても大丈夫だと思ってもらう取り組み、例えばZoomで一度顔合わせをするとか、ワンクッションが必要になってきていると感じています。

コアな人材獲得を目指し、求人飲食店ドットコムに掲載
―――現在、求人飲食店ドットコムを活用してくださっています。導入のきっかけを教えてください。
弊社にいた従業員が昼の時間の仕事を試したいということで転職をし、求人飲食店ドットコムの営業になったことがきかっけです。ある日、「ここに就職しました。是非使ってください」と営業に来たんです。当時、札幌では求人飲食店ドットコムの知名度は高くありませんでしたが、彼は信頼できる志を持った従業員のひとりでしたし、真剣に案内してくれたので、試そうと思いました。―――以前はどのような採用活動をしていたのですか?
各店舗、インスタがかなり強くて、インスタでスタッフ募集を出すと応募がありましたし、スタッフが知り合いを紹介してくれることも多かったので、人に困ることがありませんでした。今回は店舗展開を視野に入れて、コアな人材が欲しいと考えていたタイミングでもあったので、媒体を使おうと思いました。インスタや紹介で面接に来る方は店のことをいろいろとわかっていることが多く、簡単な面接で済ませていましたが、求人飲食店ドットコムで応募してくる方は、多くの掲載店から選んできてくれているのでこちらも緊張します。これまで採用活動で楽をしていた分、どうしたら選ばれる店になるかを考えるようになったのは掲載してよかったことのひとつだと思います。
―――では、求人飲食店ドットコムで来る応募者との関わり方で気を付けいてることはありますか?
髪型、ネイルはどの程度自由にできますか? カラコンはOKですか? といった質問だけがメールで届くことがあります。そういうときは真剣に対応します。バンドをやっているから金髪、カットモデルをしたばかりで茶髪など、受け答えがしっかりした方は多く、そういう方の場合には面接に進んでもらいます。最近では大企業が髪型自由を打ち出してニュースになりましたよね。弊社が設けているルールは時代とズレているのかなと思うこともありますが、ルールがなくなるとお店の雰囲気が変わってしまうので、ラインは設けておくつもりです。その分、応募者の不安や疑問の解消には努めていきます。

―――続いて、展望をお聞かせください!
海外出店が目標です。ただ出店するのではなくて、ワーキングホリデーで行った先の国でアルバイトができるような体制の店舗をつくりたいと考えています。
これまでに、ワーキングホリデーを希望し、将来に夢を持っている学生アルバイトに何人も出会い、彼らから「滞在先での働き先が決まらなくて…」という話を聞くことがよくありました。迷わず飛べるようにするには、店をつくってしまえばいいんだと考えるようになったのです。実現できれば、社会貢献もできるはずです。
―――普段から従業員とのコミュニケーションを大事にしているのですか?
はい、そうです。スタッフたちには「何でも相談できるお父さん枠」と言われていました。友人関係、恋愛のこと、就活、将来のこと…本当のお父さんにはちょっと言いづらいけどここでなら…といった相談があれば真剣に自分の経験を踏まえ、押し付けにならないように考えて答えるようにしています。当社でアルバイトを通した経験が、社会に出て多方面に活きたらいいなと思っています。
―――ありがとうございました。今後も「求人飲食店ドットコム」をよろしくお願いいたします。