待遇と働き甲斐、両方が手に入る環境を整備。

疑問点を曖昧にしない営業担当の姿勢が掲載の決め手に
―――経営と人材採用において大切にしていることを教えてください。
「両極端なことをバランスよくやる」、これを大事にしています。
私たちの会社は1949年小樽市で創業しました。老舗の飲食店というイメージが強い会社だと思います。今は5店舗あり、一番古いのは72年続く「炉ばた焼ウタリ」、次は62年の「きょうど料理亭 杉ノ目」です。「生ラムジンギスカン山小屋」はオープンして22年ですが、1956年に開店したラムしゃぶジンギスカンの店「景勝園」の味を継承した店です。
「景勝園」は建物の老朽化を理由に13年前に閉店しましたが、今年6月に復活させました。古き良きブランドイメージは残しつつ、今の時代に合わせてモダンな雰囲気もある店にしました。また、昨年9月にはフランチャイズのグルメバーガー店、SHOGUN BURGERをすすきのにオープンしました。
歴史を守ることと、新しい時代をつくっていくことの両方が大事だと私は考えます。一方に重きを置くことはせず、両方を進めていくことを意識しています。
なので、人材においては、多様性を大事にしています。大ベテランの従業員や中居さんたちにはまだまだ長く働いて欲しいし、新しいメンバーの採用もしたい。両極端なことがバランスよく存在する中で生まれるシナジーにとても期待しています。
―――景勝園のオープニングスタッフ募集に「求人飲食店ドットコム」を使ってくださいました。導入の決め手を教えてください。
営業担当が良かった。これが大きいです。
いろいろな求人募集の媒体を試してきて、「この媒体だから、採用できる」というのは無くなっていると感じています。募集のタイミングなどの方が採用実績に影響するのではないでしょうか。
それなら媒体は何となく選んでいいかと言ったら、そうではありません。数字の判断にアドバイスをくれる、具体的な対策を提案してくれる、そういうフォローがあることが大事だと思います。「求人飲食店ドットコム」の営業担当は、疑問点や課題を曖昧にしなかったので、「一回載せてみるか」と思えました。営業担当に魅力があることはやはり大切ですよね。
―――今回、社員1名を採用されたそうですね。
すごく良い人材を採用できました。将来は自分で旅館をやりたいと考えていて、大学卒業後、ホテルなどで経験を積んできた方です。
とても志が高いので、周囲のスタッフへの良い刺激になっていますし、彼女が求める会社環境の実現を模索することは、結果的に従業員皆にとって良い環境になっていくと思わせてくれます。

―――アルバイトの採用はどのようにしているのですか?
最近はスキマバイトの募集サービスでマッチングできています。求人広告に出している時給より低くてもマッチングできるので、ビジネスモデルの魅力や構造的な人手不足が背景にあるのだろうと思っています。
スキマバイトのスタッフのほとんどは、初めて店に来ます。初めて来た人が動けるようにするためには受け入れる側の環境が大事です。つまり、ここに何があるのか、どういう動きをすればいいのか…を、すぐキャッチアップできる環境を店側が整えておかないといけないわけです。こういう状態にしておくことは、スキマバイト以外で入った人にも馴染みやすい、働きやすい、優しい職場環境になります。これは副次的なメリットだと感じています。
働く人にとって良い会社を追求することが大事
―――求人募集記事のつくり方で工夫していることを教えてください。
できるだけ情報量を多くしています。業務内容はもちろんのこと、福利厚生、会社の歴史や沿革…求職者が必要とする情報はすべてわかるような作りを目指しています。
求職者にとって良いように募集記事を出しても、実際と違っていたら離職につながりますよね。だから、良いことを掲載できるように、働く人たちが求める環境を作り上げていくことが重要だと思っています。
―――具体的に改善したり、取り組んだりしていることも教えてください。
ちゃんと稼げて、休みも取れる。給与、福利厚生、働きがいが揃った体制を目指しています。この体制を作るのは簡単ではありませんが、私が東京から戻り家業を継ぎ、最初にすべきだと思ったのは、給料の設定の見直しでした。それから休みは週休2日制の月8日にし、連休を年に2回取れるようにしました。その他にはドラッグストアでの割引、サッカーの試合チケットの入手などもできるようにもしました。
ただ、一番大事なのはやりがいがあることだと思うので、評価制度を導入しました。実は創業以来76年間、評価制度はありませんでした。会社の匙加減で給料やポジションが決まっていたわけです。これはある意味不公平ですし、一人ひとり目的意識を持って働く環境にするために評価制度が必要だと考えました。
もちろん、目標設定を今までやってこなかったわけではありません。けれど言葉にしてみる、苦労して考えてみる、こういうことが仕事への意識やモチベーションを変えると思います。
すでに制度はスタートしていて、修正を繰り返しています。評価制度は時代に合わせて見直すことが大事なので、完成形はないかもしれませんね。

―――最後に今後の展開や展望をお聞かせください。
今私は42歳。60歳までにブランド認知度85%の会社にしたい。北海道を代表する食の総合企業を目指します。
売上と認知度は必ずしも比例はしません。老若男女に認知されて、北海道を代表する食の総合企業となるべく、飲食事業だけでなく、北海道の食に関わる事業を広く展開していきます。
今、「スギノメディア」という動画チャンネルをやっています。北海道の食材のポテンシャルと魅力を発信し、北海道の在り方を再提言していくことを目標に、現地にいって農家や畜産農家、漁師などにインタビューをし、その道を選んだきっかけや現在の食材の魅力などをお聞きし、リアルな生産者さんの「声」に迫ったりしています。
価値ある食材が安く買い叩かれている今の状態を変えたい。そうしないと、日本人が良い食材を食べたくても食べられなくなってしまう。情報発信をして食のリテラシーを高めて、社会課題になってしまう前に解決したいというのが私の思いです。
とはいえ、動画を見るのはすでに問題意識がある方で、興味がない方は見ませんから、産直トラベル事業もやっていきます。
北海道の食に特化をしたM&A仲介事業もやりたい。後継ぎ問題がある中、産業を守ることが北海道の底上げになりますし、観光客が集まる街づくりにもなります。そして、弊社の各店舗が観光客を迎える玄関口の役割を担ってくれたらいいなと考えています。
―――ありがとうございました。これからも「求人飲食店ドットコム」をよろしくお願いします。