月商650万円を売る池尻大橋『ランタン』。フレンチ版の大衆居酒屋が業態開発のキー
東京・代々木上原の1号店は18坪40席の規模で月商800万円、池尻大橋の2号店は20坪37席の規模で月商650万円。独自性の高い大衆居酒屋のスタイルを確立し、大ヒットを連発しているのが『LANTERNE(ランタン)』だ。
株式会社シェルシュの丸山智博社長は代々木上原の繁盛ビストロ『メゾン サンカントサンク』のオーナーシェフとして外食事業をスタート。フレンチのシェフがなぜ大衆居酒屋を開発したのか。その狙いと業態開発のポイントを丸山氏にうかがった。
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フランス語でランプや灯籠を意味する「Lanterne」。東京・代々木上原のビストロ『メゾン サンカントサンク』を運営していた株式会社シェルシュの丸山智博社長はこれを「赤提灯」と解釈し、自分なりの考え方で大衆居酒屋を表現したのが『ランタン』だ。
代々木上原の『ランタン』1号店は2014年3月、池尻大橋の2号店は2019年5月にオープン。両店とも客単価は4,200円を推移しているが、代々木上原店は18坪40席の規模で月商800万円、池尻大橋店は20坪37席の規模で月商650万円を弾き出し、いずれ劣らぬ繁盛ぶりを見せている。
画像を見るビストロのオーナーシェフがなぜ大衆居酒屋を開発したのか。この問いに丸山氏は次のように説明する。
「修業時代を含め、何度も渡仏していますが、フランスのビストロは普段着で利用できる店なんですね。お酒を楽しむ人や食事をする人が混ざり合い、談笑に花を咲かせる。日本だとビストロというだけでどうしてもかしこまってしまいますが、大衆居酒屋であればそうしたビストロの本来の姿を再現できるのではないかと考えました」
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そして、大衆居酒屋を表現する上で丸山氏が着目したのが「ハイカラ」、すなわちハイボールと唐揚げという大衆居酒屋のゴールデンコンビだ。
『ランタン』の看板メニューは「鳥もものからあげ おろしポン酢添え」(800円)。1個50~60グラムとビッグサイズの唐揚げだが、そのレシピにはフランス料理に素地を持つ丸山氏の調理技術が随所に活かされている。
「鶏肉のサイズを大きくしたのはフレンチには塊肉の旨味を引き出すさまざまな調理技法があるためです。また、フレンチでは塩が肉料理の味の決め手になる。そのテクニックを唐揚げに応用しており、味付けも醤油の使用量は控えめにしています」(丸山氏)
画像を見るそのほかのメニューにも随所に商品価値を高める技が潜んでいる。
フードメニューは代々木上原店と池尻大橋店でやや異なるが、池尻大橋店ではおでん、ポテトサラダ、フライドポテトなど居酒屋の定番料理を中心に36品をラインアップ。たとえば、「ポテトサラダ」(600円)にはタクアンととともにコルニッションのピクルスを合わせ、そこにオリーブを添えている。フライドポテトは「スイートチリとサワークリーム」(700円)、「ペコリーノチーズと青のり」(800円)を添えた商品2品を用意し、酒とアテにも「アンチョビ茶豆」(550円)など居酒屋の定番料理を一捻りしたメニューが揃う。
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