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ワンオペで坪月商25万円を売る下北沢『ベルプリ』。徹底した「客目線」でグルメ好きを虜に

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『ベルプリ』を経営する株式会社EPID代表取締役・小師直樹さん

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若者に人気の下北沢で“グルメな大人”たちが足繁く通う隠れ家的な繁盛店がある。ユーラシア大陸料理という珍しいジャンル、そしてナチュラルワインを武器にする『ベルプリ』だ。

実は同店は、スパイスカレーの名店・千歳船橋『カルパシ』のスピンアウトとして、料理人でソムリエの小師直樹さんと、『カルパシ』のオーナーシェフ黒澤功一さんが共同経営する店である。オープンから約1年半を迎え、坪月商25万円を売る好調ぶりだ。一風変わった料理ジャンルでも、街のイメージと真逆のターゲットでも、客の心を掴み繁盛店となった理由を聞いた。

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「ユーラシア大陸料理? なにそれ?」と思われることも、狙いのうち

同店の料理はどれも、いい意味で尖っている。まず「ユーラシア大陸料理」とは一体どのような料理なのだろう。

「インドやエスニック、中東など、さまざまな国の料理を扱いたかったので、全部含めて『ユーラシア大陸の国々の料理』という意味で名付けました。『ユーラシア大陸料理』と謳う飲食店は聞かないので、『なにそれ?』と関心を持ってもらうことは、むしろ狙いのうちです」(小師直樹さん、以下同)

これまでに、カリフォルニア料理、タイ料理、地中海料理など、異国料理の専門性を究めてきた経験から、「幅広い料理を提供したい」という思いがあったという。しかし、幅広いジャンルを扱いつつも、自身が無類のスパイス好きであることや同店が『カルパシ』の系列店であることから、スパイスとハーブを料理の軸として据えているのだという。

左側が冷菜、右側が温菜。インド、ミャンマー、タイ、ベトナム、中東など、さまざまな国の料理のラインナップ

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スパイス料理は辛いだけではない。味と香りを引き出す幅広さ

「当店ではスパイスとハーブをふんだんに使って、料理の味や香りを引き立てています。スパイス料理と聞くと、パンチの効いたスパイスカレーや激辛料理を想像される方が多いかもしれませんが、それだけではないんです」

たとえば店名を冠した看板料理「ベルプリ」は、もともとインドの屋台で軽食として食べられている揚げ菓子の一つ。同店では、豆やスナック、パフライスなどを自家製のタマリンドソースで和えたものに、フェンネルなどのハーブと季節のフルーツや野菜を細かく刻んで混ぜ込んでいる。辛味はなく、酸味のあるシリアルサラダのような感覚だ。

手前が「ベルプリ」、奥が「ガンスー」。「ベルプリ」とはインドの言葉で、「ベル」は地名・ムンバイ、「プリ」は揚げ菓子やスナックの意味。「初めて聞く言葉でも親しみやすく、呪文みたいでおもしろいから店名にも採用しました」(小師さん)

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「2年前の開店当初は『カルパシ』を知るお客さまが多くいらっしゃって、スパイスカレーよりもさらに広い意味でのスパイス料理を、新しい発見のように楽しんでもらえました。最近はナチュラルワインが好きなお客さまが増えてきましたが、皆さん珍しい料理への関心が高いようで、面白がってもらえています」

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松本ゆりか

ライター: 松本ゆりか

東京でWebマーケターを経験した後、シンガポールへ渡りライフスタイル誌やWebメディア制作に携わる。帰国後、出版社勤務を経てフリーライターに。主に中小規模ビジネスや働き方に関する取材・執筆を担当。私生活ではひとり旅とはしご酒が好きなごきげんな人。