飲食店の家賃、どう考える? 家賃比率の目安や適正に保つコツ、注意点を解説
2021年3月4日
画像素材:PIXTA
飲食店や店舗ビジネスをする上で必須となる経費、家賃。上手に経営していくためには、適正な家賃比率を知り、家賃に対する売上目標をしっかり立てる必要があります。家賃に関する基礎知識から、経営に活かせるコツなどを解説します。
飲食店家賃の基礎知識
飲食店の家賃は、経費では「地代家賃」として計上されます。翌月の家賃を、前の月に振り込みなどで支払うのが一般的。物件の契約時には、2~3か月分の家賃のほか、保証金や礼金が必要となります。家賃は契約した時点から発生するため、開店までに内装工事を行ったり、メニューの試作を行ったりしている期間も支払わなければなりません。開業資金を抑えるためには、開店までの準備期間を短くすることも一つのポイント。今ある内装をそのまま使える「居抜き物件」の人気が高まっているのも、この理由からです。内装を一から作らなければならない「スケルトン物件」では、開店して収入を得られるようになるまでにかかる家賃がいくらになるかを考える必要があります。
飲食店の適切な家賃比率とは?
家賃比率とは、売上に対して家賃がいくらかかっているかを比率で表したものです。業種にもよりますが、家賃比率は売上の10%が目標だといわれています。例えば、月商100万円の店なら家賃は10万円、月商300円の店なら家賃は30万円が目安。家賃比率を10%以内にできれば、比較的利益を出しやすい傾向があるため、ぜひ押さえたいポイントです。物件は、目標月商から家賃の目安を決めて探すと良いでしょう。選ぶ際には、単純に家賃で「高い」「低い」を判断するのではなく、「この店舗で目標売上を達成できるか」という視点も忘れないようにすることが大切。たとえ予算内の物件が見つかったとしても、客席が狭かったりキッチンに十分な設備がなかったりすれば、売上の減少につながります。
こうした条件の兼ね合いから、家賃比率が高い店が多いのも事実。特に個人の小規模店であれば、家賃比率が20%程度になっているケースも多いようです。家賃がかさむことで、人件費・原材料費と合わせると売上の60%程度になるような店舗も。消耗品や光熱費で10〜15%かかることを考えると、どうしても利益が出にくくなってしまいます。やはり、家賃はできれば月商の10%程度に抑えるのが理想だといえます。
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家賃比率を適正に保つコツと注意点は?
家賃は固定費ですから、営業がスタートしてから削減することは不可能だと考えましょう。思ったように売上が伸びなかったからといって、家賃を値下げしてもらうことは難しいでしょう。そこで大切になるのが、物件を契約する前に綿密な売上シミュレーションを行うこと。例えば、家賃が20万円の店舗を契約しようとしている場合、単純に家賃の10倍となる月商200万円売り上げるプランを作りましょう。
月商200万以上を達成するための、目標客数と客単価を明確に設定します。定休日がいつなのか、営業時間は何時から何時なのかも細かく決めることで、「1か月のうち何時間営業し、1時間でいくら売り上げる必要があるのか」という視点を持つことができます。客数は多く見積もりすぎないように注意しましょう。
夜の営業だけで月商を達成できないようであれば、ランチ営業を視野に入れるのも一つの方法です。「昼はカレー屋、夜はバー」というように、二つの顔をもつ飲食店も増えています。このとき、ランチのメニュー数は最小限におさえ、必要以上に経費を増やさないことがポイント。信頼のおけるスタッフを雇うことができれば、ランチ営業を任せたり、定休日をなくしたりすることも可能になります。少しでも利益が出るのであれば、積極的に店を開けておいたほうが良いでしょう。
家賃は、原材料・人件費に次いで割合の大きな経費です。希望のエリアや内装でも、適正な家賃比率を上回れば経営は立ちいかなくなります。物件契約前に事前のシミュレーションを行い、慎重に検討してください。また、家賃の高さだけではなく、立地や客層、店舗の広さや駐車場の有無など、多角的な視点をもって物件探しを行いましょう。
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