深夜営業や24時間営業には許可が必要? 深夜営業のルールを解説
2023年12月21日
画像素材:PIXTA
コロナ禍以降、深夜営業の店が激減したのは記憶に新しいところです。しかし2023年は、春にファミレス業態の一部が深夜営業を再開し、他の深夜営業の飲食店も少しずつ増えてきました。外国人観光客の深夜需要も顕著です。今回は、飲食店が深夜営業をするために必要な手続きやルールについて解説します。
深夜営業の届出が必要な場合とは?
まず深夜営業の「深夜」の定義ですが、これは0時~6時の時間帯です。深夜営業をする場合の手続きは、「深夜酒類提供飲食店営業開始届」という正式名称ですが、略称として「深夜営業許可」と呼ばれています。すべての飲食店について深夜営業許可が必要というわけではありません。バーや居酒屋など、「お酒をメインで提供している」飲食店は届出が必要ですが、ファミレス、ラーメン店などは24時間営業だとしても、そして多少のアルコールを提供していても、届出は不要です。
つまり、以下2つにあてはまる場合のみ深夜営業許可の届出が必要です。
1) 深夜0時以降に営業する
2) お酒をメインに提供する
深夜営業できる店舗の条件とは
さらに、深夜営業をしてもよい店は、いくつかの条件が定められています。以下の7つの条件を満たしていなければ、深夜営業許可の届出を出すことはできません。1 店舗のある場所が住居専用地域でないこと
店舗のある地域の用途地域の区分が「住居専用地域」であれば深夜営業はできません。深夜営業を考えている場合は、店舗探しのときに確認しておく必要があります。2 客室(個室)の床面積が9.5㎡以上(客室数が1室の場合は除外)
客室1室あたりの床面積が9.5㎡以上という制限があります。つまり小さな個室がある店舗では深夜営業ができません。3 客室の見通しを妨げる障害物がない
半個室のような見通しを妨げる設備はNGです。4 客室部分を施錠しない
客室部分と営業エリアの出入り口に施錠設備を設置できません。客室から屋外への出入り口は施錠できます。5 公序良俗に反する装飾を設置しない
アダルトや賭博などに関連する写真、掲示物、装飾などは禁止されています。6 店内照明は20ルクス以上にする
一定の明るさが必要です。7 騒音や振動は条例の範囲内
騒音が想定される場合は防音設備が必要です。上記それぞれの項目について、具体的にどうすればいいのか悩む部分もあるでしょう。どの程度の設備であればOKなのかは警察署の判断となるので、所管の警察署に問い合わせるか、行政書士など所管の深夜営業許可にくわしい専門家に事前に相談しましょう。
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届出先と必要な書類について
「深夜酒類提供飲食店営業届出」の届出先は、店舗の所在地を所管する警察署です。届出期限は営業開始日の10日前までで、用意する必要書類は次の通りです。
・深夜における酒類提供飲食店営業営業開始届出書
・営業の方法を記載した書類
・営業所の平面図
・定款及び登記簿の謄本(法人の場合)
・住民票(本籍地が記載されているもの)
このうち、「届出書」「営業の方法」の書式は以下よりダウンロードできます。
警視庁「深夜酒類提供飲食店営業(様式一覧)」
提出書類のうち「営業所の図面」については、決まった書式はありません。「平面図」のほか、店の正確な面積を算出した「営業所求積図」や「客室その他求積図」、照明や音響設備の配置とワット数などを記載した「照明・音響設備図」が必要です。さらに警察署によっては他の図面も求められる場合もあるため、事前に必要な書式について確認することがおすすめです。
届出義務に違反すると50万円以下の罰則規定もあるので注意しましょう。
以上、深夜営業をするために必要な手続きについて解説しました。多くの書類を整えなくてはならず大変な面もありますが、一度きりの手間です。全国の繁華街には深夜の人出が戻ってきている今、深夜営業で店の坪単価を上げていく戦略もひとつの選択肢。前向きに検討していきましょう。
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