飲食店の物件探し、耐震性・耐火性は? RC造、鉄骨、木造などの構造を解説
2024年9月19日
画像素材:PIXTA
2024年8月は、南海トラフ地震や大型台風への備えが呼びかけられ、災害対策について改めて考えた人も多いのではないでしょうか。住まいだけでなく、飲食店の物件の耐震・耐火性性能についても知っておく必要があります。今回は、事業用物件の建物構造について解説します。
主な建材である「鉄」「コンクリート」「木材」の特徴は?
建物を支える基礎、柱、梁などの骨組み部分のことを「躯体(くたい)」といいます。建物の躯体に使われる主な建材は、鉄、コンクリート、木材です。これらの素材にはそれぞれ長所と短所があります。鉄はしなやかで強く、軽量で、衝撃に強い躯体を造ることができますが、高温に弱く耐火性・断熱性で劣ります。一方コンクリートは耐火性や断熱・遮音性に優れていますが、重量があるためコンクリートだけで高い建物は造れません。木材は耐火性に欠けますが、加工しやすく高い断熱性・遮音性があります。また、コストは高い順に鉄、コンクリート、木材となります。
建物のS造、RC造、SRC造、木造とは?
主な建物構造の種類としてS造、RC造、SRC造、木造があります。■S造(鉄骨造)
S造とは躯体に鉄骨を用いた建物構造のことです。厚みのある鉄骨を用いる「重量鉄骨造」は高層や大型空間を有する建物によく見られます。軽い鋼材を使う「軽量鉄骨造」は工期が短く建築コストが抑えられるので小規模な商業物件でも使われています。■RC造(鉄筋コンクリート造)
鉄筋コンクリートとは、コンクリートの中に縦横に組み合わせた鉄筋が埋め込まれた建材で、鉄とコンクリート両方の長所を合わせ持っています。RC造は耐震耐火性・耐久性があり断熱・遮音にも優れていますが、工期が長く、コストも高くなります。■SRC造(鉄骨鉄筋コンクリート造)
SRC造とは鉄筋コンクリートにさらに鉄骨を組み合わせて強度を高めた建物構造で、超高層や大規模建築に採用されます。コストは高くなりますがRC造よりさらに耐震耐火性、耐久性に優れています。■木造
日本では木造が最も普及していて、商業物件にも多く見られます。木造のメリットは建築コストが安いことに加え、加工がしやすくデザインの自由度があり、空間に温かみがあることですが、耐火性・耐久性が低いことがデメリットです。
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飲食店の店舗として考える場合、それぞれに長所と短所あり
飲食店の店舗としては、どの建物構造が適しているでしょうか。これについても、S造、RC造、SRC造、木造それぞれの長所と短所があります。まず、災害に対する性能は、高い順にSRC造>RC造>S造>木造となります。耐震・耐火性能はSRC造が最も優れていますが、RC造も安心度が高いです。S造は建物が軽量なので耐震性がありますが耐火性で劣り、ただし耐火被覆工事により対策できます。木造は耐震・耐火性能ともに他より劣りますが、耐震・耐火工事により性能を高めている建物もあります。
耐震性・耐火性によって変わる火災保険料の金額は、SRC造<RC造<S造<木造の順となります。火を扱う飲食店の火災保険料は他の事業所よりも割高です。古い軽量鉄骨造や木造の店舗物件を検討する際は、耐震・耐火性能について十分にチェックしましょう。
賃料の傾向は、SRC造>RC造>S造>木造となります。とくにSRC造の建物は耐久性に優れ立地条件も良い場所に建てられていることが多いので、築年数が経っていても賃料は高額となるでしょう。それ以外の建物では築年数や立地条件によっても賃料が異なりますが、S造や木造の建物は賃料が抑えられます。
また、内装工事のしやすさはどうでしょうか。こちらはSRC造<RC造<S造<木造の順です。SRC造やRC造の建物はコンクリートの壁に穴を開けるなどの工事がしにくく、レイアウトも制約されがちです。一方、S造や木造の建物は内装工事がしやすくデザインの自由度も高いという特徴があります。
このほか、S造の建物では外気の影響を受けやすく、光熱費が割高、騒音が響きやすいといったデメリットもあります。
以上のように、建物構造の違いは飲食店の災害対策はもちろん、コストや店づくりにも大きく関わってきます。構造の特徴を理解して、自分のプランに合った店選びを成功させましょう。
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