飲食店で立ち退きを迫られたら? 立退料はもらえる? 交渉のポイントを紹介
2024年9月26日
画像素材:PIXTA
飲食店を借りていて、ごく稀に発生するのが、大家都合での「立ち退き」です。物件売却や老朽化など理由はさまざまですが、借主は応じなければならないのでしょうか?また、立ち退く場合の交渉条件や、交渉のしどころについて解説します。
すぐに立ち退きに応じる必要はない
大家が借主に物件からの退去を要求するとき、「立ち退き」という言葉が使われます。借主の契約違反、大家側の理由とケースはさまざまあるものの、日本の法律では借主が守られているため、大家が一方的に賃貸借契約を解除することはできません。大家と借主の両者の建物を必要とする事情を比較し、立ち退き要求が正当かどうかが判断されます。また、正当な理由がない立ち退き要求は、借主が拒否する限り認められません。立ち退き要求で考えられる大家側の事情は?
では、大家側が立ち退きを要求してくる事情には、どういったケースがあるのでしょうか?・大家が物件を使用する
「その物件に住まなければならない」、「その物件で営業しなければならない」ことに対する正当な理由はあまりないと考えられます。そのため立ち退きを要求する理由としては強くありません。
・建物を売却する
なんらかの理由で建物を売るという事情も正当な理由とは言えないでしょう。大家側の一方的な都合であり、賃貸しながらも売却は可能であるためです。
・建て直しの必要がある
建物が古く耐震性に不安があり、建て直しが必要な状態である場合、これは立ち退きを要求する正当な理由になり得ます。一方で、建物の老朽化や耐震性の低さは、立ち退きの正当な理由として大家側からよく主張されるものです。そのため裁判になった場合には、本当に安全性に問題があるのか、具体的に検証し判断されるケースが多いようです。
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「立退料」が正当な理由を補完する
正当な理由が成り立たないとき、大家は借主に立退料を支払い、交渉をしようとします。大家側の建物を必要とする事情が借主側の事情よりも大きければ、立退料は少なくなり、反対ならば多くなります。借主がその物件で飲食店を経営している場合、建物を必要とする事情は大きいと考えられます。まず、飲食店を経営するために資本を投下していますし、立地が変われば集客に影響が出ることも想像できます。そのため、立退料は多くなる傾向があります。
飲食店側はどこまで請求できる?
飲食店は、立ち退き料として次のような金額を交渉できます。・引っ越し費用
・新店舗の内装費や補償金
・移転を顧客に通知する費用
・借家権価格(飲食店が入っている物件の価値が高まっている場合に、飲食店側が貢献した分の価格)
・営業利益の補償
・従業員の給与補償
中でも積極的に交渉したいのは、「営業利益の補償」です。立ち退きをせず、営業をしていれば得られるはずだった利益の損失分の他、新店舗が軌道に乗るまでの期間の補償、改装工事が計画より延びた場合も補償も考えられます。
立地の強みがなくなる場合、その影響による顧客の損失、売上減少分も補償の対象となり得るでしょう。ただし、近くに代替可能な店舗物件が多い場合、移転による損失が認められにくくなる傾向があるようです。
なお、建て直しの必要性があり、正当な理由と判断できるケースでも、多くの判例が立退料の支払いを要求する権利があるとしています。
立ち退き料の相場は?
立退料には決まった計算方法があるわけではありません。「家賃の何か月分」という情報もありますが、店舗の立ち退きの場合はそうした計算は行われないでしょう。双方の事情に合わせて話し合いをするのが一般的です。賃料10万円前後の小規模の飲食店でも1000万円から1500万円程度の立退料が支払われるケースが多いようです。一方、借主に契約違反があれば立ち退き料は支払われません。代表的なのは借主が家賃の滞納をしているケース。そもそも正当な理由かどうかは問題とならないので、立退料が発生しません。
立ち退き料の交渉では、互いに妥協点が見つからず、話し合いが決裂してしまうこともあるでしょう。弁護士や不動産鑑定士などの専門家に相談するのもよい方法です。
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