飲食店物件は「地域」でなく、「立地」で選ぶ。繁盛店になる物件の選び方・探し方

「飲食店が多く出店している人気スポットで開業したい」「自宅と店の距離はこのくらいがいい」などの理由で、飲食店の物件を「地域」で絞って探す人は多いでしょう。ですが、実際に開業した経営者の多くは「立地が良かった物件」を選んでいることをご存知でしょうか。「地域」よりも注目すべき「立地」について、重要性や選び方のポイントをご紹介します。

どうして「立地」が重要？

物件探しをする上での「立地」とは、駅前、繁華街、商店街、ビジネス街、ロードサイドなどの区分のことです。「○○は人気エリア」「賃料が高い地域は集客力がある」といったことが言われますが、飲食店の業態はさまざまなので、どの店にとっても最適な地域というものはありません。成功するには、自店の業態とターゲットを立地にマッチさせることが王道の選び方といえるのです。

立地の種類と主な特徴

立地選びの参考になるように、代表的な立地の特徴をご説明します。

■駅前・駅近

人通りが多いため、広告を出したりせずとも一定の集客が見込めます。人材の確保も比較的しやすいでしょう。激戦区であるため、賃料は高め。しっかりと事前に計画を立て、経営をしていけるかを判断しなければなりません。駅の周辺環境により駅を利用する人は異なるため、飲食店の利用者も変わります。アルコール需要が大きい、ランチ需要があるなど傾向はさまざま。駅前・駅近で一括りにせずに、立地を見極める必要があります。

■繁華街

商業施設をはじめ、さまざまな施設や店舗が集まっていて、人の流れがにぎわっているような地域が繁華街と呼ばれます。公共交通機関が発達しているためアクセスがしやすく、曜日や時間帯を問わず集客はしやすいといえるでしょう。一方で、競合が多い、賃料や人件費が高くなりがち、出店したくても空き物件の競争率が高いといったマイナス面があります。

■商店街

家族層に人気のところがあれば、中高年が集っているところもあるなど、特色がはっきりしているのが商店街。そのため開業したい業態との相性をみることが非常に大事です。商店街内での店舗間のつながりは強く、商店街をあげてイベントを開催したり、ショップカードを近隣の店舗に置いたりできるため、効率的に宣伝できます。近年は衰退している商店街もあり、地域活性化を目的に、開業に対する補助金がでることも。こういった情報にも積極的に目を向けましょう。

■ビジネス街

オフィスビルが集中しているため、ビジネスパーソンのランチタイムと退社後の利用が期待できます。客層や利用時間がはっきりとしているため、営業戦略は立てやすいでしょう。一方、土日や祝日などオフィスが休みのときは集客が難しくなりがち。平日と週末とで営業方法に変化をつける、店休を入れるなどして不要なコストを抑える運営が不可欠です。

■ロードサイド

幹線道路や生活道路沿いに店舗を構える場合、商圏は広いので、十分な駐車場の確保は必須。道路からの視認性の高さも重要です。駅前や繁華街の物件に比べると、面積は広く、賃料は安い傾向があります。アルバイトの時給も中心部に比べると多少低く設定できるため、コストを抑えることができるのも魅力です。ただし、店舗も駐車場も広いため、清掃・整備に手間がかかると感じるかもしれません。

■住宅街

コロナ禍でリモートワークが広まりました。家にいても出勤時と同じようにランチは外食にしたり、テイクアウトにしたりする人は珍しくないため、住宅地での開業は盛んになっています。住宅街の場合、競合が少ない、リピーターを得やすいといったメリットもあります。
さらに、駅周辺やビジネス街などのテナントに比べて家賃は低め。経営しやすい立地と言えます。ただし、物件数はあまり多くありません。

物件を探すにはインターネットが効率的

物件を探す場合、一般的には、自分で歩いて探す、不動産屋に相談する、インターネットで検索するという3つが考えられます。歩いて探す場合、物件の実際の雰囲気がわかる、周辺の様子も把握できるというのがメリット。不動産屋に相談する場合は、タイミングが合えば、よい物件の情報を最初に得ることができるかもしれません。とはいえ、この２つの方法では得られる情報が限られてしまいます。そこで、まずはインターネットで検索をしてみることがおすすめ。どこからでも手軽かつ小まめに物件探しができます。また、多くの物件を見ることで希望の物件をより具体的に考えられるようになるはずです。

「売上の５割は立地で決まる」と言う人がいれば、「売上の7割は立地で決まる」という人もいます。開業後もメニューや内装、外装は変えられますが、立地はそう簡単には変えられません。ぜひ戦略的な立地選びを進めてください。

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