飲食店を古民家・空き家物件で開業する際の注意点。普通の物件との違いは?
2021年9月2日

趣や温もりは古民家ならでは
人気が高まっている古民家カフェ。昔ながらの日本家屋にしかない佇まいが懐かしさや癒しとなり、お客様を惹きつけています。若い世代にとっては目新しい空間であり、一般的なカフェとの差別化に成功している店舗は少なくないようです。古民家や空き家の保存状態はさまざま
多くの場合、住宅として使われていた物件なので、カフェにするにはリノベーションョンが必須です。とはいえ、開業資金を無駄なく使うには物件選びがとても大事。立地や客層を考慮するのはもちろん、物件の状態の確認を怠ってはいけません。人が離れた建物は、数年のうちは活用できる状態を維持しています。ですが、手入れがされないまま時間が経つと、雨漏りや腐食、シロアリ被害などが出て、建物に傷みが出てきます。立地や家賃・購入費用が理想的であっても、傷みがひどければ修繕費は大きくなることを念頭においておきましょう。

広さは床面積が200㎡未満の物件がおすすめ
古民家や空き家でカフェを営業していくには、工事前に建築確認申請を行い、建築基準法上の「用途変更」をしなければなりません。古民家は、その建物が建てられた当時は合法でも、現在の建築基準法の基準は満たしていない「既存不適格物件」であり、建築確認申請を行う場合は、現在の法律に従うように耐震性等の改修が求められます。ただし、床面積が200㎡に満たない物件は用途変更が不要。200㎡未満の物件を探すことが開業の近道になります。また、古民家では床面積が200㎡を超えることは珍しくないため、建築確認申請が不要になるようなリノベーションプランを準備することも手立てになります。
営業をしていくには、店舗面積と経営規模がマッチしていることも重要です。広くなればリノベーション費用がかさみますし、営業開始後には人件費が増え、それだけ売上が必要になります。床面積200㎡未満の店舗を検討することは、経営面から考えてもメリットになり得ます。
最近では、「住宅兼カフェ」の営業スタイルが増えているようです。こうした物件活用もひとつの方法でしょう。
リノベーションのポイントは?
物件にどの程度手を入れるかは物件の状態に左右されます。一般的な飲食店開業の工事では内装の変更や厨房や客席の設置がメインとなりますが、古民家のリノベーションでは本格的な害虫の駆除や外壁の補修、水回りやガスの整備が必要になることもあります。客席に趣があることは魅力となりますが、トイレや洗面化粧台には清潔感が求められるため設備は最新にすることが多いようです。そして、古民家は冷暖房が効きにくいことが考えられます。冷暖房設備を増やす、工事で断熱性を持たせるなど対策も考えましょう。古民家には、段差が多い、天井が低いといった特徴があり、ユニバーサルデザインの観点から見直すべき場所もあるはずです。
リノベーション費用の相場は600~1000万円。厨房機器や設備の導入に300万円程度必要なので、初期費用は1500万円程度用意できることが理想的でしょう。地方自治体によっては、地域活性を目的にした古民家再生の助成金や補助金制度があります。古民家をリノベーションして飲食店開業をする際にも使える制度もあるため、開業を検討している場合は情報収集をしてみましょう。
保健所への申請も必須
コンセプトや営業方法、メニューなどが固まったら、保健所へ「飲食店営業許可の申請」をします。申請時には通常、次の書類を用意します。・営業許可申請書
・営業設備の大要
・登録事項証明書(法人のみ)
・水質検査成績書
・食品衛生責任者設置届
「食品衛生責任者」は、店舗に常駐している従業員1人が所有していなければならないと定められています。事前に講習会に参加して資格を得ましょう。
一般的な物件でのカフェ開業と古民家カフェの開業は異なる点が少なくありません。古民家ならではの課題を想定し、対処していくことが大切になります。
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