飲食店を退去するとき、原状回復は必要? 退去費用を抑えられる「居抜き売却」も解説
2024年4月30日

退去時の原状回復とは?
事業用物件を退去するとき、借り手は物件を契約した時点の状態に戻す義務があります。「原状回復」とは、借り手が施した内装、設備、家具備品などをすべて撤去してもとに戻すことです。契約時の物件が建物のコンクリート壁や柱、配管がむき出しのスケルトン物件であれば、その状態に戻すというのが基本です。ただし、原状回復とはどのような「原状」に戻すことなのかについては注意が必要です。退去を決めたときはまず賃貸借契約書を確認しましょう。入居時に居抜き物件であったらその状態に戻せばいいというわけではなく、スケルトンに戻す契約になっている場合もあります。また、原状回復工事を行う業者が契約書により指定されていることもあります。
原状回復工事の内容と費用相場は?
飲食店の原状回復工事には、以下が含まれます。・店舗の内装と外装の撤去
・厨房設備、水回り設備、電気設備の撤去
・什器備品、その他すべての物品の撤去
原状回復工事の施工業者と現場を確認する際には、貸主またはその代理人の立ち会いを求め、原状回復とはどこまでかをすり合わせすることで、あとあとのトラブルを避けられます。
飲食店をスケルトンに戻す原状回復工事の費用は、1坪あたり4~8万円程度とされています。仮に坪当たり5万円とした場合、10坪の小規模店舗でも50万円で、かなりの出費となります。焼肉店、ラーメン店など特別な設備を必要とする業態、個室があるレイアウトなどでは平均より割高となります。
退去時の費用を抑える方法は?
飲食店が退去するときの費用を抑える方法として、以下があります。■原状回復工事は相見積もりをとり、コストを抑える
原状回復のための工事の費用相場には幅があるので、高額すぎる工事業者に依頼することがないよう、相見積もりをとって検討しましょう。貸主が指定した工事業者がある場合でも、相見積もりをすることにより、費用の交渉が可能になります。■できるだけ自分で作業する
什器やごみの撤去、清掃など、業者に依頼しなくてもできることは自分で作業することにより、余計なコストが発生することを避けられます。■居抜き売却の交渉をする
居抜き売却とは、飲食店の内装や設備をそのままの状態で貸主または次の借主に引き渡して退去することです。居抜き売却になれば原状回復工事が不要となるだけでなく、退去日ぎりぎりまで営業できることもメリットです。
居抜き売却の交渉は可能?
賃貸借契約書でスケルトン物件への原状復帰が定められている場合、居抜き売却を希望するのであれば貸主への交渉が必要となります。退去を検討し始めたら早めに居抜き売却が可能かを貸主に相談しましょう。居抜き物件は、貸主にとっても「次の借り手を見つけやすい」というメリットになります。前述した「原状回復工事が割高」とされる焼肉店やラーメン店の場合、居抜き物件として店舗物件市場に出れば特に人気があります。貸主がこのようなメリットを重視したときは、契約内容を見直して居抜き売却することに同意を得られるでしょう。
しかし、貸主が「次は飲食店ではなく事務所として貸したい」などの明確な意思を持っている場合には、原状回復工事とスケルトン状態での返還を避けられません。交渉成立するかどうかは貸主の意思次第といえます。
退去でコストを抑えるには早めの準備が大切
飲食店の退去を決めたときはまず賃貸借契約書の確認、次に原状回復工事の見積もり、合わせて居抜き売却の可能性を探っていくことになります。居抜き売却のための交渉や「造作譲渡契約」については専門業者に依頼することも可能です。あらゆる選択肢に備えて早期に準備を進めていくことが大事です。<飲食店.COM>店舗物件を探す
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