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魚介類は産地直送で安く仕入れられるのか? その可能性を考察した
すっかり秋めいてきたこの頃。松茸やかぼちゃといった秋の味覚を、メニューに並べ始めた飲食店も多いのではないでしょうか。秋の味覚といえば秋刀魚や鮭、かつおといった魚介類も忘れてはいけません。今年は台風の影響で秋刀魚が不漁だというニュースも報じられていますが、これらの魚は季節感を演出するための大切な食材なので、ぜひとも仕入れておきたいところですね。

photo by halfrain「明石鯛」
ところで、魚介類を仕入れる際、皆さんはどのような方法で仕入れていますか?ほとんどの飲食店が卸業者を利用していると思いますが、なかには漁業者と直接交渉して、産地直送で仕入れている店舗もあるでしょう。
産地直送といえば、「新鮮」「価格が安い」「店のブランディングになる」などの利点が想像できます。しかしこれらの利点は本当に正しいのでしょうか。今回は特に「安さ」の部分について考察していきます。
水産業界でいわゆる「中抜き」は有効なのか?
一般的に水産業界はサプライチェーン(流通の過程)が長いと言われています。ここで一度、魚がどのような流れで飲食店に届くかを簡単にご説明しましょう。今回は地方で獲れた魚が、東京の飲食店に届くまでの流れをご説明します。
1.漁業者(漁師)…魚を獲る
2.浜仲買商…漁業者から魚を買い付けて卸売市場(生産地)へ販売する
3.卸売市場(生産地)…築地の卸会社へ販売
4.卸売市場(築地)…仲卸商へ販売する
5.仲卸商…卸売市場内に持つ店舗で鮮魚小売商や飲食店(買出人)へ販売する
6.鮮魚小売商…飲食店へ販売する
7.飲食店…仕入れた魚を調理して消費者に提供する
こうしてみると、魚が獲れてから飲食店に届くまで、5つほどの業者が関係していることがわかります。それぞれの業者が利益を上乗せして販売しますから、値段は徐々に高まる結果に。いわゆる「中抜き」をして、安く仕入れたいという心理が働くのは当然と言えそうですね。
しかし、そう簡単にいかないのが鮮魚流通の難しさ。その理由は配送にかかる手間です。水揚げから飲食店へ配送するまでには以下の手間が掛かり、それが産地直送の大きな壁となっています。
・水揚げした魚の中から質のいいものを選別
・注文内容や受注金額にあわせて種類の違う魚を組み合わせる
・魚が傷まないように丁寧に箱入れする
通常、漁業者はこうした作業を行いません。そのため、産地直送をお願いしても「割に合わない」と断れてしまうことがほとんど。上手く口説いて承諾してもらっても、上記のような手間が掛かるため、結局は市場価格とさほど変わらない…なんてケースも。産地直送に「安さ」だけを求めるのは、少々難しいと言えそうです。
産地直送のメリット・デメリットを知るにはWEBを利用するのも手
もっと気軽に産地直送を試してみたいという方には、漁業者に直接WEB発注をできるというサービスもあります。欲しい魚を欲しい量だけ注文でき、しかも産地直送されるため市場を通すよりも新鮮な魚が手に入るという利点もあります。一度きりの注文も可能なので、産地直送とは一体どのようなものなのか、そのメリット・デメリットを量るうえで役立つサービスと言えそうです。
魚の仕入れにおいて大切なのは、価格を抑えることだけではありません。新鮮かつ、良質な魚を仕入れることこそがまずは大前提と言えます。だからこそ、水揚げされた魚を評価し、適正な価格で買取・販売する仲卸商、そして鮮魚小売商も重要な存在です。こうした卸業者を利用した仕入れ、そして産地直送も双方にメリットがあるので、自店舗に合った仕入れ方法を検討することをおすすめします。
さて、今回は魚介類の仕入れ方法について考察してみました。「食材仕入れ先探し」では、昔ながらの卸業者からITを活用した卸業者まで、様々な仕入れ会社を紹介しています。魚・水産物の仕入れ先一覧よりご覧ください。
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