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若者の魚離れを救う? 『ゆずブリ』や『みかん鯛』など、西日本で人気の「フルーツ魚」って一体なに?
「フルーツ魚」という魚をご存知でしょうか。フルーツ魚とは魚独特の臭みを少なくするため、抗酸化物質を多く含むみかんや柚子、オリーブなどを飼料に添加させて養殖した魚のことです。ここ数年、『無添くら寿司』や『だんまや水産』といった店舗で期間限定で提供されるようになり、特に『無添くら寿司』では通常の寿司よりもフルーツ魚を用いた寿司の方が高い人気を獲得。通常の寿司よりも約2倍の売り上げを上げているそうです。
フルーツ魚の養殖は2004年からスタート。高知大学の研究チームと地元の漁協がタッグを組み、“養殖魚の評価を上げつつ、美味しい魚を育てたい”という願いのもと、このプロジェクトはスタートしました。対象魚はブリ。当時、問題となっていた血合い肉の褐変を、飼料を工夫することで解決し、さらにブランド魚として売り出すことを目的としていたそうです。

photo by Vinci Tan「Fish」
特徴から探る、フルーツ魚が人気の理由
以前は魚食大国と言われていた日本。しかし「生臭い」「小骨が多い」などの理由から、魚嫌いの消費者が増加し、魚の消費量は年々減少しています。では、同じ魚であるフルーツ魚が人気の理由とは一体何なのでしょうか。ここではフルーツ魚の特徴をご紹介しながら、その人気の理由を探っていきます。
■魚特有の臭みを抑制、身はかんきつ系の香りが
かんきつ類の皮にはリモネンという物質が含まれています。リモネンは魚特有の生臭さを和らげるほか、香気成分も含む物質。これにより、通常の魚よりも臭みがなく、かんきつ系の香りもするため、フルーツ魚は魚嫌いな消費者でも食べやすい味わいとなっています。
■旨味・甘味成分が増加する
品種によって、旨味成分が増える魚もあるようです。「マハタ」はその一例で、旨味成分のグルタミン酸は通常の2倍、甘味成分のグリシンは通常の4倍に増加することが確認されています。
■抗酸化作用により傷みにくい
みかん・柚子・レモンなどのかんきつ系のフルーツには、抗酸化作用を持つポリフェノールやクエン酸などが含まれています。抗酸化物質は魚の変色や傷みを抑える効果を持つので、フルーツ魚は通常の魚よりも傷みにくい特徴を持ちます。
魚臭さを抑えられるフルーツ魚は、魚が苦手な方にも受け入れてもらいやすく、若者の魚離れを食い止めるために生産されているのも納得できます。また、傷みにくいという点では、飲食店にとっても非常に扱いやすい食材と言えるかもしれません。
特産品×魚がキーワード。代表的なフルーツ魚をご紹介!
さて、続いてはフルーツ魚の種類をご紹介していきます。愛媛県のみかん、高知県の柚子など、四国地方を中心にその地方の特産品と魚を掛け合わせたフルーツ魚が続々と人気を獲得しているようです。早速ご紹介していきましょう。
■ゆずブリ
名前の通り、ゆずブリは養殖ブリの飼料に柚子の皮と柚子果汁を加え育てたフルーツ魚。ゆずブリはフルーツ魚の元祖とも言われています。ゆずブリのおすすめの食べ方は、塩焼きとしゃぶしゃぶ。柚子の香りがいっそう引き立ち、美味しくいただけます。
■みかん鯛
みかんを特産品とする愛媛県を中心に養殖されているみかん鯛。みかんに含まれるビタミンCが生臭さを和らげ、また通常の養殖真鯛よりも身が大きく、柔らかい特徴を持っています。香り・旨味ともに抜群で、切り身にしても色落ちが少ないことも特徴のひとつです。
■かぼすヒラメ
養殖ヒラメとかぼすの生産量が日本一である大分県発祥の「かぼすヒラメ」。飼料には約1%のかぼす果汁を添加。その影響で、香気成分のリモネンが蓄積され、肝臓やえんがわの臭みを少なくするそうです。また、透き通った肉厚な身は甘みを持ちつつ、さっぱりとした味わいが特徴。刺身はもちろん、洋食で使用されることも多いフルーツ魚です。
■オリーブハマチ
適度な歯ごたえがあり、さっぱりとした味を楽しむことができる「オリーブハマチ」。飼料には粉末状にしたオリーブの葉を添加。その資料を20日以上与えて養殖しています。ちなみにオリーブの葉は抗酸化作用の強い「オレウロペイン」という成分を豊富に含んでいます。そのため「オリーブハマチ」は、酸化や変色をしにくい特徴を持っています。またさっぱりとしたヘルシーな味わいが魅力で、女性からも高い人気を博しているようです。
さて、今回はフルーツ魚についてご紹介しました。西日本ではブランド魚として確立されつつあり、全国各地で売り出されています。まだ、飲食店での取り扱いが少ないため、メニューのひとつに加えれば大きな“売り”になるはず! 珍しさと話題性のあるフルーツ魚をぜひ取り入れてみてはいかがでしょうか。
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